2026年の北海道&東日本パス旅~ようやく降りた「周辺には一切何もございません」駅

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※訪問は2026年7月14日

下調べをせずとも見れば分かる

千曳駅に到着。当駅は今回の旅で「起点駅にもかかわらず、なかなか行けない」目時駅と並ぶ絶対条件の駅だった。時刻表は調べるが、駅についての事前情報の入手はしないというのが私の主義だが、当駅については昨年そして一昨年の車窓から事情は丸わかり

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何もございません

電車が去った後に残された私を待っていたのは、ただただ静寂だった。写真で分かるようにどちらのホームも森に囲まれている。ただし普通、駅というのはたとえ森や林に囲まれていても、ちょっと歩くと民家の1軒、2軒はありそあなものだが、ホームから外に出ると

砂利道があって頭上を道路が横着るのみ。旧東北本線なので、もちろん複線だが、上下ホームを結ぶ跨線橋や構内踏切というものはなく、この道路が跨線橋代わり

青い森鉄道は時間帯によっては女性のアテンダントの方が乗車していてきっぷの回収を行うのだが、下車する際に北海道&東日本パスを提示しながら「この駅で降りる人っていますか?」と尋ねると「昨日、この駅で降りてみたかった、というお客さんが降りられました」と答えが返ってきた。おそらく、やって来るお客さんはかなりの割合で同業者(鉄道ファン)なのだろう

向かいのホームへ行くために跨線橋となる県道を行くと、全景が見える。左奥に見えるのは農地で、あとは森というか林というか、木に囲まれている。駅前広場というたぐいのものもない

明治来の歴史を有する

こういう駅というのは、かつては信号場で、その後に正式駅に昇格したケースがほとんどだ。信号場を設置するような山奥にあったりするため、もともと人はいないのだ。ただここ千曳駅は1910年(明治43)と、116年もの歴史を誇る駅である。千曳という地名は奈良時代に征夷大将軍坂上田村麻呂が北進いる際、大きな岩に行く手を阻まれ、千人で曳きあげたという伝承に基づく由緒あるもの。かなり以前からのものだったと考えられる

そもそもその時代の駅というのは、あまり人のいない場所には設置されない。というか、少しぐらいいてもスルーされて後から設置というパターンとなる。では、昔は周辺に人がたくさんいたのかというと、この雰囲気では昔はにぎやかだった、という感じでもない。この場所に駅がある理由と歴史があるのだ

実を言うと、もともと千曳駅はここにはなかった

約2キロ離れた国道4号に近い場所にあった。現在地に移ったのは、複線電化工事のため。1968年と60年近く前のこと。さらに言うと、もともとの千曳駅は南部縦貫鉄道の起点駅で東北本線と接続する重要駅だった。ただ、南部縦貫鉄道の駅も一緒に山中に引っ越しするわけにはいかない。そこで南部縦貫鉄道のとった作戦は、東北本線の旧線をそのままいただいて、野辺地まで延伸(というかレールの主が変わった)するというもの。ただ千曳駅が2つというわけにはいかないので、旧千曳駅は西千曳と駅名を変更。途中で駅の位置が多少変わったものの、2002年の廃線まで営業が続いた。南部縦貫鉄道の乗り入れにより、野辺地の要衝具合はさらに上がった

向かいホームにやって来た。といっても、構造はほとんど何も変わらない

待合室はきれいで

もちろん駅ノートもある

そんな千曳駅は普通の一部も通過するため、時刻表を調べずに下車すると2時間ぐらい待たされることもある。少し前までの私なら、こんな駅を独り占めできるなんて、こんな素晴らしい体験はなかなかできない、と喜んでいただろう。だが実際に駅に滞在したのはわずか7分。跨線橋代わりの道路まで昇って、渡って、また坂を下りてと、かなり迅速にというか余裕なく動いた

そして、それは時刻表を眺めに眺めて発見した時間帯だった

昨今、こにような山中では動物との出会いが危険である

防雪林に囲まれた駅で、この林の中からのっそり怖い動物が現れたのではシャレにならないので、現実的には「行きました、下車しました」というだけだ

そんな千曳駅。実は調べていて一番驚いたのは、1日あたりの利用者数で、なんと11人(2023年度)。もちろん青い森鉄道25駅(八戸、青森をのぞく)の中では最下位なのだが、このシリーズで紹介した下から2番目の小川原駅の17人、目時駅の19人と、そう大きくは変わらない。私は限りなくゼロに近い一ケタを予想していたが、さすがは旧東北本線というところなのだろうか。もちろん私が滞在した7分とそれぞれの電車では乗降ともにゼロだった

向かいホームにある青い森鉄道のマスコット入りの待合室は、つい先日、きれいにされたものらしい。ということは、周辺に全く何もないこの駅は、またまたしばらく静寂の空間をわれわれに提供してくれそうである

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