伊勢八太駅

永遠の未成線・名松線を全駅訪問~独特のダイヤに苦戦必至

家城駅では必ず列車交換がある

2013年3月15日7時15分

青春18きっぷでの全駅訪問に向け松阪泊

朝の松阪駅。今や全国でも貴重な存在となった「JRと大手私鉄の中間改札のない共同駅」。三重県には津、松阪、伊勢市がまだ残っています。立派なJR側と比べ、かわいい近鉄側の駅舎。ただ列車の本数と利用客は近鉄が圧倒しているあたりがおもしろい

本日は名松線の全駅訪問を達成するため、松阪からスタート。前日、名古屋で用事があったので、松阪まで移動して宿泊しました。水曜日の朝7時過ぎなので、駅はにぎわっています

手には青春18きっぷ。名松線はJR東海が週末に販売している青空フリーパスのエリアでもあるのですが、水曜日ということに価値があるため、青春18きっぷの使用となりました

昨秋から2度にわたり、沿線を訪れています

昨秋は名松線と近鉄大阪線の乗り換えをどうしてもやってみたくなり、一志駅→川合高岡で乗り継ぎ体験。寝過ごすてしまって、一足先の伊勢八太駅から川合高岡まで歩くという余話までついてしまいました

もう1回は年明け早々で、この時は終点の伊勢奥津まで行って前回、乗降のなかった一志駅で下車。再び川合高岡から近鉄に乗車しました

年明け1月8日のことです

この時は廃駅の池の浦シーサイドを訪問した翌日でした。伊勢奥津には過去何度か訪れていて、台風による被害で2009年から2016年まで家城~伊勢奥津間が長期運休する前にも足を運んでいます

伊勢奥津といえば、この給水塔ですね

名松線とは

名松線は松阪と伊勢奥津の43・5キロを結ぶローカル線です

松阪を出るとしばらく近鉄と併走。その後、山中へと入っていきます。名松線の「松」は松阪ですが、「名」は名張です。名張といえば近鉄大阪線の駅で、三重県と奈良県の県境付近の都市。元々はこちらを目指していたため、名松線と名付けられたものの、1935年に線路が伊勢奥津に到達した時点で工事は中断。現在に至ります

なぜ工事が中断したかというと近鉄(当時は参宮急行電鉄)が先に松阪からの線路を敷設したため。名松線は計画段階では「桜松線」。名張を経て奈良県の桜井までつなげる計画でしたが、その桜井までも近鉄によって敷設されたため、工事をする意味がなくなってしまいました

地図を見ると、名張へ向けては近鉄の線路が真っ直ぐ進んでいるのに対し、名松線は随分と山中へと入っています。地図だけ見ると、こんな調子で名張までたどり着くのかと思ってしまいますが、これには現在の津市と伊賀市の間にある青山峠の存在が大きい。分水嶺があるような峠を避けて名張に向かった国鉄に対し、近鉄は長大トンネルを完成させることで名張に到達。このまま名松線の延伸工事をしても近鉄の方が圧倒的に有利になることは分かっていたため、伊勢奥津から先は工事すら行われていません。つまり名張の名前は残されているものの「永遠の未成線」となったわけです

ラッシュ時のないダイヤ

全駅訪問を決めたのは、1月に車窓を見てから。特に家城~伊勢奥津の車窓には強くひかれるものがありました

ただダイヤがなかなか難関で

これは松阪から1駅目の上ノ庄の時刻表ですが、上りも下りもほぼ2時間おきの運行となっていることが分かります。1日に8往復あるダイヤで、こういう均等パターンは珍しい。同じ8往復でも朝の通勤通学時間帯に本数を増やして、お昼は休みというのが多くの形。早朝のまだ暗いうちから宿を出て駅巡りをするのは、比較的本数の多い朝の時間帯を狙ってのもので、このダイヤはちょっと困ってしまう。しかも松阪からの始発が7時32分と結構遅い

時刻表を眺めて困ってしまいましたが、とりあえずは作戦を考えて始発で出発です

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一度やってみたかった名松線と近鉄の乗り換え~その1

伊勢八太駅の駅名標

2022年10月29日13時

松阪から名松線に乗る

せっかくこの沿線までやって来たので

今回の旅で初めて快速みえに乗車。さすがに一度くらいは乗っておきたいですよね

松阪までやってきました

国鉄型コンクリート駅舎が健在。しかも3階建ての立派な建物は、もはや希少価値です

ここから名松線ホームに向かいます

JR東海のキハ11。少し前までは同社の非電化区間で広く見られましたが、武豊線の電化により余剰となったキハ25が各地に配置されたため、現在は名松線の専用車両になっています。JR東海で単行(1両編成)が見られるのも当路線のみ

車内はこんな感じ。これが発車10分前で、この後バタバタと乗ってきた数人のお客さんとともに出発です

名松線についてはあらためてじっくり訪問してみたいと思っているので今回は軽く。過去に2度伊勢奥津~松阪間を乗車したことがありますが、いずれも2009年の台風による家城~伊勢奥津の長期運休前のことで6年半ぶりに復旧した2016年以降では初めてです

50分の乗車で家城に到着。今回はこちらで折り返します。ダイヤ上、必ず家城での列車交換があり、家城から先はJRでは他に越美北線の越前大野~九頭竜湖でしか見られない通票区間になっているので、それなりの停車時間があります

今回はその様子を見て戻ります。実は年明けの田丸駅訪問後にも来て、その時は伊勢奥津まで行っているのですけど

通票の手渡し作業があるため当駅は有人駅。窓口は閉まっていますが、列車が来た際はホームでの仕事があるためです。なかなか忙しいのです

駅舎内は手作り感であふれていて温かみを感じます。訪問の価値ありです

当駅は5年前の第100回夏の甲子園に初出場して話題となった県立白山高校の最寄り駅。平日は高校生であふれますが、この日は週末だったので静かでした

軽く、と言いながらも随分と詳細になってしまいました

ここからが本日の最後の目的です

目的にしながら寝過ごす

目的は「名松線と近鉄大阪線を乗り換える」です

名松線と近鉄の乗り換えなんて松阪でできるし、おそらくほとんどの方がそうするでしょうが、もうひとつ乗り換え駅があるのです。それが名松線の一志駅と近鉄の川合高岡駅。ちなみに運行は一体となっていますが近鉄の松阪は所属は山田線。川合高岡は大阪線なので「名松線と近鉄大阪線が唯一乗り換えできる駅」とも言えます

家城から一志は約20分。伊勢奥津と家城以外の名松線の駅で降りたことがないのでワクワク感でいっぱい。にもかかわらず

寝過ごしてしまいました(泣)

考えてみれば朝の5時台には名古屋駅にいたので、そろそろ眠くなるころ。ああ~、と思ったら発車した直後で、もう「降りま~す」とは叫べない

まぁ、しかしこれは軽傷で済むはず。次の伊勢八太駅で降りればいいのです

このように近い。名松線は2時間に1本の運行なので一志に行く列車はしばらく来ませんが徒歩可能です。乗車の際、なんとなく駅間の距離を見ていたのが役立ちました。欠点があるとすれば、せっかく初めての乗り換えを楽しもうとしているのに川合高岡駅が見えてしまっていること(笑)

しかもこの伊勢八太。なかなか味わいのある駅なんです

私一人の下車で出発を見送ると

単式ホームに秋のきれいな空と農地の風景が広がります

駅舎はなく待合所と妙に印象に残る駅名板がポツリ。そもそも「いせはた」とはなかなか読めない。人名としても通用しそう

ホームにはスロープで入るようになっています。この微妙な高さと空間は何でしょう。昭和初期の名松線開業時からの駅なので駅舎らしきものがあったのか、その予定地だったのか。調べましたが分かりませんでした。ただ駅名も雰囲気もとても気に入ったので、1日1駅紹介しているツイッターでは

さも普通に訪れたかのように紹介してしまいました(謝)

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