池の浦シーサイド駅

参宮線、今のうちに~期待にたがわぬ駅からシーサイドを去る

松下駅の駅名標

1月7日13時

選択肢はいろいろあるが

名残惜しいですが池の浦シーサイド駅を去らねばなりません

前記事で少し触れましたが、ここから伊勢市方面へのアクセスは複数の選択肢があり、まず最も簡単なのは鳥羽から乗ってきた「CANばす」は1時間に1本の運行ですから、ここに1時間滞在して次のバスに乗ればいい。その場合、二見浦(駅ではなく観光地の「ふたみがうら」の方です)近くも通るので夫婦岩を眺めるという観光も可能(もっとも廃駅訪問と夫婦岩観光をセットにする人がどれだけいるかは疑問です…笑)。このバスは鳥羽にも向かうので鳥羽駅まで折り返すという方法もありますが、これは廃駅滞在時間が10分ほどになってしまうので最初に却下しました

ただ真冬ですので1時間の滞在はちょっと厳しい。となると後は鉄道駅まで歩くことになります。その場合、近鉄とJRの2つの方法がありますが、まず近鉄の池の浦駅は

こんな感じ。続いてJRは

と所要時間はほぼ互角。列車の本数はこの時間帯、近鉄が1時間に2本、JRが1時間に1本で明らかに近鉄が勝っています。となると出した結論は

「松下駅に決まっとる」(なんでやねん)

もっとも理由はあって現実に近鉄を利用していないので何とも言えないのですが、地図だけ見たところJRは、ほぼ国道に沿って線路があるのに対し近鉄は国道を折れて駅に向かうところでウロウロする可能性がある。また上り坂が待っているのではないか、との危惧もありました

何といっても線路をずっと見ながら歩けるのが大きい。今はアプリのナビがありますが、私のようにそれ以前から駅間徒歩を行っている古い人間は線路から離れると不安になるものです。また過去に何度か記事にしていますが、地図アプリでは何度か痛い目に遭っています

まぁ、しかし何といっても、この松下駅にはいろいろ期待大なのです

とにかくそう決めたからには歩き始めましょう。次の伊勢市行きは13時30分で30分しかないので早足で。途中、全く民家のない山中のような場所を歩きますがコースとしてはほぼ平坦。国道にはしっかりした歩道があり、民家はなくともレールはあるので大丈夫

凄いぞ松下駅

こういう駅間徒歩を行っているとマラソンが冬に行われる理由がよく分かります。マラソンの記事は何度も書いたことがありますが「気温10度で晴天、無風と絶好のコンディション」とか枕詞のようにしていたものです。あまり寒いとそれはまた大変ですが、ちょうどこの日は、その絶好のコンディションでした

人里が見えてくると駅が左手に見えてきて国道を折れるとすぐ

階段が見えてきました。これは間違いなく駅。20分で歩いてきたので列車には余裕で間に合いました

ちょっと大きい車だと慣れていないと入りにくい道路と駐輪場。駅前に車が行きにくいという時点で期待がふくらむ

ホームと待合所そしてキロポストだけの駅。こういうのを待っていたのですよ

こちらは待合所

時刻表です。基本的に快速は通過ですが、普通が運行されない時間帯は停車します

戦後に二見浦と鳥羽の間に新設されました。ということは臨時駅で廃駅となった池の浦シーサイドと含め、2つの駅が誕生したことになります。設置時から駅舎はなく単式ホームです

そのホームからの眺めですが

国道は電信柱が立っているあたりで、やや離れていますがその間は農地でしょうか、草むらでしょうか、とにかく建物は見られません。集落は国道とは逆側の少し歩いたところにあり、そちら方面を見てもホームからは見えない。地図を見て、こういう景色を期待していました

と逆側を撮影していると列車がやってきてしまいました。もうちょっといたかったなぁ。待ち時間が長いと文句を言い、短すぎるとまた文句を言う。暑すぎ、寒すぎと天候にまで文句を言う。勝手なものです

当駅は1日に60人の乗降があり、駅として立派に機能しています

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参宮線、今のうちに~貴重なJR東海の廃駅

池の浦シーサイド駅は閉鎖されている

1月7日12時15分

鳥羽駅からバスに乗車

以前お伝えした「田丸駅と最後のお別れ」(1月27日アップ)当日の最初の行動です

この日は朝から大阪から近鉄特急に乗り、鳥羽で下車。駅と直結している鳥羽のバスターミナルへ行きました

規模の大きいターミナルです。長距離便もこちらから出ているようです

バスに乗車して10分もかからず

池の浦で降ります。この「CANばす」は二見浦駅の記事(1月29日アップ)でも紹介した宇治山田駅、伊勢市駅、伊勢神宮から二見浦近くまで直行するバスで鳥羽までを結んでいます。その途中バス停がこちら

国道42号から海の方にそれるように5分ほど歩くと

見えてきました。池の浦シーサイド駅です。いや正確に言うと駅跡です

ホームは残っていますが入れません。この日の目的のひとつでした

池の浦シーサイド駅とは

平成の声を聞いた平成元年に夏季臨時駅として設置されました。海水浴客の利便性と誘致を目的としたもので、当初は1ヶ月以上営業され、快速「みえ」も停車するなどテコ入れもされていたようですが利用者がどんどん減っていき、末期はひと夏で4日間の営業で停車列車も朝夕の上り下り1本ずつというありさまで3年前にひっそり廃駅となりました。ですから現在入口にある「池の浦シーサイド駅は閉鎖しております」の案内板は臨時駅時代からのもののように感じます

「ひっそり」と記したのは地元から大きな反対の声もなかったからです。ただバスで向かった際、地元の方が何人か降りたので、当初あった常設駅の要望が実現していれば、どうなったかは分かりません

私は利用者激減→廃駅という事実は知っていましたが、利用者が減った理由については分かっていませんでした。「マイカー利用が増えたのだろう」ぐらいにしか考えていなかった。今回初めて現地を訪れて知ることになります

写真で一目瞭然なのですが

ご覧のように「シーサイド」ではあっても「ビーチサイド」ではないのです

海水浴場は向こうに見える観光旅館「海の蝶」のプライベートビーチである池の浦シーサイドパークで徒歩10分とかなりの距離。当然、歩くのは盛夏ですから泳ぐ前に疲れてしまいそうです

しかし1日2往復、営業日は年に4日と言われると、それを見逃さないのは私と同部類の人々で末期は旅客すべてが鉄道ファンという日もあったようです。確かにバスの本数もあるし近隣のJR駅、近鉄駅も徒歩20分ぐらいと「この手の駅」としてはアクセスは良好。「最終」を見送っても大きな問題にはなりません

歴史的には貴重

上り下りともすぐにやってくる時間帯。というか参宮線も普通が1時間に1本に加え、快速みえもあるのですから上下合わせると列車はすぐやってきます

こちらは伊勢市方面行き。速度制限表示で分かるように現役の駅ではないので、かなりのスピードで通過していきます

国道から俯瞰した鳥羽行きです

さてJR東海は廃駅というのがほとんどなく、旅客営業を行っていた駅について、私の知る限りでは愛知環状鉄道に移管された岡多線(他の三セク移管は国鉄のうちに行われた)とナゴヤ球場正門前(臨時駅)しかありません。ただし後者については直後に尾頭橋という代替駅が正式駅として誕生しているため、事実上「唯一の廃駅」となります

実は過去にも一度当駅を訪問しようとしたことがあります。今から5年半前の2017年9月。営業日でないので駅には入れず結果はほぼ同じだったでしょうが駅名標はあったはず

しかし、どしゃ降りで車窓に映る自分を見るだけで断念しました

それに対し今回は

季節は冬ですが穏やかな内海が広がる光景。来て良かったです

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