※訪問は2025年3月10日
貴重な駅舎のある駅

中央弘前から4駅目。千年駅で下車。写真で目に入るのは真っ白な雪だろうが、惹かれるのは「千年」という駅名だ。何か縁起物の風情が漂う。またご覧の通り、当駅はすれ違い可能な構造で、なおかつ駅舎のある駅。この2つを満たす駅は大鰐線にはなかなか少ない
元々は村名

ホームから構内踏切を渡って駅舎に向かう
当駅の開業は1952年(昭和27)。大鰐線の前身である弘前電気鉄道が開業と同時に設置した。「ちとせ」駅というと、誰もが思い浮かべるのは北海道の千歳駅だろう。他にも「千歳駅」は全国に多い
かつては内房線の千歳駅を紹介したこともあるが、こちらは千年と文字が異なる。かつて当地にあった千年村に基づく。それでも開業時の駅名は津軽千年で「千歳」に気遣ったようにも感じるが、昭和の終わりごろに旧国名は外され現駅名となった
地図で分かるように今でも千年の地名は残っているが、駅舎のある場所は堀越村にあった。それでも駅名となったのは、千年という地名が由緒あるものだったからと推察される。江戸時代に津軽藩の殿様専用の行楽地として千年山と名付けられた場所があったことに基づいて村名となった。なお千年村は駅開業の3年後に弘前市に編入されている
背丈よりも高い雪

としいえ、どうしても目が行くのは雪の高さだ。私のような平素は雪が積もることはまずない地域に住んでいると「すごいな」と思ってしまう。後方の自販機と比べると、その高さが分かるだろう
しばらくすると人がやって来た

もっと分かりやすくなった
駅舎はかつては有人駅だったが現在は無人。駅名板の文字のかすれ具合が歳月と風雪を感じさせる。寒冷地の駅ながら駅舎は扉があるわけではなく、開放されたまま、悪い言い方をすれば吹きっさらし。その分、ホームの待合所はしっかりした部屋となっている

さらに特徴的なのは、駅舎の裏側。裏側というよりもうひつとの出入口。こちらはほとんど除雪されておらず、積雪の際は使用されないのかと思っていたら、後に当駅付近を通過した際、雪を踏みしめながら歩く人がいた。雪国の人はたくましい

駅にはこのような注意書きが残る
要は火気厳禁、燃えやすいものはダメということだろうが「有毒ガス」から「多量のマッチ」まで守備範囲が広い。そういえば子どものころ、セルロイドのおもちゃはストーブに近づけてはいけないと習ったことを思い出した。半世紀も前のことだ

こちらはホームの周辺案内図。4駅目といっても10分で到着する。中央弘前駅から4キロで、周辺は市街地。ふだんのローカル線駅巡りのクセで、すぐ駅から至近にあるコンビニ2軒に目が行ってしまうが、あっても不思議ではない場所である


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