延岡駅

宗太郎の「お隣」市棚を訪問(前編)~ダイヤは同じです

市棚駅の国鉄式駅名標

※訪問は2023年10月5日

夜明け前の出発

朝の5時40分、ホテルを出て延岡駅へと向かう。この日の延岡の日の出は6時でまだ暗い

4カ月前と同じ景色が私を出迎えてくれて

あの時と同じ普通という名の特急列車に乗車する。3カ月前にも宗太郎から北側となる大分県内の閑散ダイヤに挑んだ時も同じ列車に乗っているから、4カ月で3回。かなりの頻度で足繁く通っていることになる

宗太郎と同ダイヤ

今回目指すのは宗太郎のひとつ手前の「市棚駅」。この時にも記したが、クローズアップされるのは宗太郎ばかりになりがちだが、延岡~宗太郎の各駅はすべて同じダイヤ

先に市棚の時刻表を掲載すると

朝に2本、夜に1本。延岡から北の北延岡、日向長井、北川、市棚、宗太郎はすべて同ダイヤである。夜の1本は遅すぎる上、下車してしまうとそこから動けない。早朝の1往復を利用するしかないのだ。つまりこれはどういうことかというと、この5駅をすべて鉄道で訪ねようとすると、5日間を要することになる。延岡~宗太郎は約25キロ。東京~横浜が約29キロだから、これより短い距離の各駅訪問が5日もかかるという、壮大な旅程となってしまうのだ

ということで

4両編成のうち先頭の1両だけが開放されている普通に乗車。旅客は私を含め5人。4カ月前と似たような数だが、ちょっと異なるのは、うち2人が若い女性だったこと。大きなスーツを持っている。男性の1人は地元の方といった風情で、もう1人の私と同世代ぐらいの方は、おそらく同業者(鉄道ファン)。最近はスマホアプリの発達により、車内でパラパラ時刻表をめくる姿が少なくなり、同業かどうか見分けはつかなくなりつつあるが、この路線については確認が可能である。私は宗太郎まで行かないが、同業者なら後で必ず出会うことになるからだ。宗太郎から延岡に向かう列車も特急車両の1両のみを開放するシステムなので、すぐ分かる。やはりというか、市棚からの折り返し列車でしっかり同乗となった(笑)

路線バスでも困難

電車に揺られること20分。市棚に到着。すっかり夜は明けている

宗太郎を除く4駅のうち、なぜ市棚を選んだかというと、当駅は宗太郎と同じく付近にバス路線がないからだ。この後、先に進まなければならないので今回は市棚の1駅のみの訪問で終わるわけだがコミュニティバスはあるものの、それは2時間後で北川駅付近には行けるが、どこかの駅で再び長時間待機となる(北川まで歩いた方が早いが結末は同じとなる)。いずれにせよ途中駅の乗下車はかなわない

おそらく、いつの日にか再び来なければならないが、できれば何とかあと1回で終わりたい。その意味で先に市棚を回収しておこう。また車窓からの市棚駅に大きくひかれたこともある

車窓からはホームを降りると駅舎が出迎えてくれる、と思っていたが実際は違った

駅舎のように見えるが実際はお手洗い。お手洗いの裏手のホーム側が待合所になっていて実態は待合所のみの駅ということになる。ただ駅訪問の際、これは実にありがたい。そもそもが近い方なので、大変助かる。男女別できれいなもの。20年ほど前にかつてあった駅舎が解体されて現在の姿になったようだ

宗太郎は15分ほどの滞在時間しかないが、こちらは「時差」がある分、30分の時間がある。周囲の散策を開始しよう

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宗太郎駅に行ってきました(後編)

2023年5月9日6時40分

周辺には民家が数軒

宗太郎駅の駅名標です。山中の峠越えの駅だけに両隣の駅も7キロ前後離れています

駅からの俯瞰。奥に見えるのが国道10号。日豊本線はこの国道沿いに走っていて幹線国道だけに駅への訪問は比較的容易(ただし見る限り、国道からの道路は決して道幅は広くない様子)です

ユニークな地名

かつては駅舎が存在したと思われる場所にポツンと、きっぷの回収箱がありました。一応、ラッチ(改札)に囲まれています。年間にどれだけの切符が投入されるかは分かりません

この駅が有名なのは「宗太郎」という愛らしい駅名によるものも大きい。大分と宮崎の県境付近の峠越えは古代から交通の難所として知られ、江戸時代に管轄の岡藩(「荒城の月」で知られる豊後竹田城で有名)に命じられた洲本宗太郎という人が付近の調査、管理をしていたことにちなみ「宗太郎峠」と名付けられ、以降、列車や車の時代が到来しても難所の横断は宗太郎越えと呼ばれ続けています

記念碑や井戸も

駅は2面2線構造。1日1・5往復はあくまで停車列車の話で、当駅を通過する特急列車は終日バンバン走っています。そのため、佐伯~延岡間は特急の停車駅はないものの、すべての駅がすれ違い可能な構造です

駅の出入り口は小さな階段。ただ前述した通り、通過列車は多いため、上下ホームは跨線橋での移動が必要

跨線橋から見ると、長大編成のすれ違いに備え、構内の複線部分は大きくとられていることがよく分かる

駅入口側には

井戸がありました。現役ではない様子

跨線橋を渡ったところには

記念の石碑。手前まで入れるようになっているので近づくと

肝心な部分が歳月のおかげで読めません。左側にうっすら残る文字からは「大分保線事業所長」によるものだと分かりました。宗太郎駅は大正期に信号場として開設され、戦後間もなく駅に昇格。おそらくその時のものだと推察されます

駅の入口側とは逆側のホーム(延岡方面)には待合所がありますが、ここには駅ノート入れとともに石がズラリ。ひとつひとつにメッセージが書き込まれていて、風変わりな「駅ノート」となっているようでした

宗太郎駅に対するダイヤの誤解

駅を去らなければならない時間がやってきました。わずか15分の滞在。もう少しいたかったですが、さすがにこれに乗らないわけにはいきません

手元に2017年3月の時刻表(ダイヤ改正版)があります。当時は現在と同じ早朝の1往復のほかに南延岡発16時43分の佐伯行き、佐伯発17時14分発の南延岡行きがあり、それに乗車すれば17時20分に宗太郎に到着して18時10分に離れられるという、今の季節なら十分明るいうちに行動できる運行がありました。また夜の20時台も0・5往復ではなく1往復運行されています。それ以外にも南延岡から宮崎県の端にあたる市棚まで朝に1往復の設定がありました(ただし市棚からの折り返しが8時37分発で延岡着が9時1分と微妙に通勤通学帯からは遅い時間です)。それらの運行は2018年3月のダイヤ改正で姿を消し、現在のダイヤとなっています

宗太郎駅のダイヤについては多少の誤解があって、先日紹介した羽越本線にも存在した「普通列車も多くが通過する駅」と一部で思われているようですが、それは違って、そもそも運用がこれだけしかないのです。つまり宗太郎だけがクローズアップされるのであって宗太郎~延岡の5駅はすべて同じダイヤなのです

ただ少し驚いたのは延岡行きの宗太郎6時54分発の列車には数人の乗客がいたこと。今回の旅は青春18きっぷの期間でもないGW直後の平日という最も旅客の少なそうな日を選んでいます。宗太郎にやって来る時とは逆で1号車部分のみが開放されているため、車両の半分を占めるグリーン座席も座れるようになっているため(グリーン券は車内で購入のシステムだが、当然のように誰も乗っていない)、普通座席部分が狭くなっていることもあるのでしょうが、宮崎県に入ると駅に停車する度に通学の高校生が何人かずつ乗り込んできました

こちらは列車交換のために3分間停車した日向長井駅でホームに降りて撮影したもの

高校生は全員が延岡で降りていきました。延岡発の佐伯行きは20時7分発。高校生の帰宅としては、ちょっと遅い。おそらくコミュニティーバスを利用するのでしょうが、どうやって帰宅するのだろう?と思ってしまいました

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宗太郎駅に行ってきました(前編)

宗太郎駅の駅名標

2023年5月9日午前6時

早朝から注釈付き列車に乗車

前夜のうちに宮崎県の延岡に入り駅近くのホテルに宿泊

そして朝の6時には駅にいました。5月上旬ですが、西国だけに、まだ夜が明けつつある雰囲気でした

乗車するのは6時10分の普通佐伯行き。奥に見えているのは6時2分の宮崎方面行きで、今から乗車する電車とは違います。そもそも電車の形が違います

今から乗車する列車には注釈があって

何やら不思議なことが書いてあります。文脈だけを読み取ると4両編成で、そのうち1両にしか乗れないことになっている。2両編成で、うち1両が送り込み用の回送扱いというのはJR四国でよく見かけますが、4分の3が乗車不可というのは、あまり聞いたことがありません

やって来たのは特急列車

間もなく乗車列車がやって来ました。6時6分南延岡始発の佐伯行き。なんと特急車両が運用に入っています

九州ではおなじみの787系。 1両分しか客扱いしませんが、車掌さんも乗車しています

30分ほどですが、優雅に特急車両の旅を楽しむことにします。1両分しかお客さんがいないので乗車状況は分かりやすい。南延岡はひとつお隣の駅で、ここからの乗車はなかったようで無人で入線。延岡から乗車したのは私を含め3人。一目で分かりますが、当の私を含め3人とも目的地は同じ「同好の士」です

宮崎県からしか行けない大分県の寝坊厳禁駅

普通という名の特急車両に揺られること30分。目的地の宗太郎に到着しました

延岡から25キロ。宮崎県から大分県に入ったところにある県境の駅。「宗太郎」という駅名と県境ならではの雰囲気に加え、1日の利用者が1人にも満たないことで鉄道ファンの中は知らない人がいないほど有名ですが、特筆すべきは時刻表

ご覧の通り、1日1往復半。しかも朝の6時台に大分方面と宮崎方面の列車が1本ずつあった後は20時35分の佐伯行きがあるだけ。延岡方面に至っては6時54分が始発にして最終電車です。日本中に閑散路線は数多くありますが、これはもう究極のダイヤ

時刻表もあまりに余白部分が多すぎて告知ボードのようになっています

そしてこれが何を意味するかというと、当駅を訪れようとすると私が乗車した列車に乗り、15分後の延岡行きで引き返すしかない。つまり大分県にあるにもかかわらず宮崎県からしか行けず、寝坊は絶対に許されない。もっと言うと、日常的に当駅に行く(人がいるかは不明)には南延岡~宗太郎間に住むしかなく、それ以外の地域からだとホテルが多数ある延岡に前日から宿泊するしかないわけです

なおバス路線ですが、大分県にあるため延岡側からのバスはなく、宗太郎のバス停は地元の方向けの予約制デマンド運行。県境を越えて1時間ほど歩けば延岡市のコミュニティーバスが来ていますが、週3回の運行で、なおかつ延岡まで直接は行けないという状況。また両隣の重岡、市棚両駅にも徒歩では1時間半以上かかる上、駅まで行ってもダイヤ的には変わりがない(重岡駅からは佐伯中心部まで行けるバスがありますが本数は少ない)ので、まさに「脱出困難」駅

貴重な15分間を堪能することにします

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