牟岐線の木造駅舎紹介9~周囲に全く何もなくてヤバイよヤバイよ

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阿波福井駅の駅名標

※訪問は2023年7月21日

元の終着駅、目の前に国道があるのみ

阿波福井駅に到着

1937年(昭和12)に桑野~当駅が開業。以降2年間は終着駅だった

財産票にも記されている。つまり開業当時からの駅舎が手を入れられながら使用されているということ

以前は1面2線の島式ホームだったものが、片側がつぶされて単式ホームになっている。牟岐線では何度も見た形

ホームを降りた景色はこんな感じ。駅舎はというと

さて、阿波福井駅について語ると「周囲に何もない」。それに尽きる

「何もない」というのは正確でないのかもしれない。駅舎の前は幹線国道である55号が走って、車はひっきりなしに走るが、その車が停まる可能性がある施設もない。かつては駅舎内でうどん店が営業していたようだが、今は閉店している

パラパラと民家があるだけだ。この時代にできた駅舎のある駅なら駅前にロータリーがあるはずだが、車を止めるスペースは全くない。国道工事の際になくなってしまったのか。なくなったのなら、当時すでに周囲は何もなかったことになる

国道を渡った駅舎の様子。車が途切れるタイミングが大変だった

駅舎の横にあるのは周辺図というよりハイキングコースの案内。一体どういうモチベーションで駅が生まれたのだろう。戦前に駅が設置れるというのは何らの事情があるはずだが、それが分からなかった

テレビを見ていてナゾが解ける

それが、テレビ東京で出川哲朗さんのバイク充電旅を見ていた時のこと。スタートが室戸岬(だったと思う)でゴールが徳島の椿泊だった。椿泊は阿波福井駅から見ると東方にある半島。線路からはかなり離れているため私は行ったことがないが、古代は阿波水軍、現在は漁港として有名

徳島県の各地が出てくるため楽しく見ていたのだが、画面越しに分かったことがあった。福井の町は駅から離れているのだ

椿泊は福井の町中で国道から分岐する県道で向かうのだが、テレビでその福井の町が出てきた。かつての福井村(現在は阿南市)の中心地は駅から2キロ以上離れている。国道に沿っているので商業施設もある集落だ

牟岐線は桑野、新野の町を通ってくるので、海沿いではなく山中を進んでくる。おそらくその時、福井の町に鉄道がないということで最も町に近い所に設置されたのだろう

当駅から山中を抜ける

徳島県の東部は海岸が迫っていて、平地部分が少ない。徳島側の隣駅となる新野とは線路で2・7キロだが、牟岐側の由岐駅とは山中を進むため6キロも離れている。この先、日和佐までの到達に2年以上を要したことも理解できるし、かつては阿波福井での折り返し列車が設定されていたことも納得である

阿波福井の駅名板。文字はJR化後のことか

もちろんと言っては何だが、現在は無人駅。「きっぷうりば」の文字がよかった

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