松浦鉄道その2(古い駅舎に癒やされる)

旧松浦線を引き継いだ松浦鉄道は、三セク鉄道の多数の例に漏れず三セク移管後に設置された駅が多い。有田~伊万里間は明治に敷設されたが、戦後に設けられた駅もかなりあります。これらの駅の特徴は簡素なホームと待合所。利用者数などからも、これで十分だったのでしょう。

というか、最初に設けられた駅は本当に少ない。途中駅は2つだけ。なぜこのようなことになったのかというと、元々の目的が貨物運搬だったから。有田、伊万里と聞いて思い浮かべるものとは?

まさにその通りで陶磁器を運搬するために敷設された路線でした

数少ない最初からの駅が蔵宿。ある意味難読ですが「ぞうしゅく」と読みます。地名です

今回、松浦鉄道最大の目的はこちらだったといっても過言ではありません

その蔵宿駅は有田から、わずか3駅目。3駅といっても各駅間が短いのでレールにして4キロほど。徒歩でも行けそうです(列車で向かいましたが)

降りたホームは駅舎とは逆側で渋い駅名標と、待ち望んだ駅舎が私を迎えてくれました。構内踏切で向かいます

駅の正面はこんな感じ

いやいや、これは素晴らしい。最近まで駅舎内に店舗が入っていて、その時は窓はアルミサッシで補強されていたようですが、撤退の際にそれも消えたようで「元の姿」に戻っている。松浦鉄道のホームページには「1898年(明治31年)伊万里鉄道開通時から存在する最古の駅」とあります。駅舎内の財産票には大正2年(1913年)と記されていました。駅舎そのものも、もう100歳を超えています

完全に木造の一軒家ですね

来た甲斐がありました。話の本筋には全く関係ありませんが、私が到着した際、駅前には止めて休憩中のサラリーマンらしき姿が

今時そんな言葉があるのかどうか分かりませんが、いわゆる「サボリーマン」? 私もついこの間までサラリーマンだったので気持ちはよく分かります。勝手な邪推ですが、こうやって紹介するからには、写真に写り込むのは好ましくないでしょう。「後で原付ごと修正しなければならないかな」と、ちょっと困っていたら、シャッター音に雰囲気を感じてくれたのか、以心伝心というか、そっと移動してくれました

松浦鉄道その1

6月中旬(16~17日)、松浦鉄道に乗ってきました

JR以外の鉄道には基本的には2つの種別があって、生まれた時からずっと私鉄のものと旧国鉄の路線を引き継いだものがあります

後者については「第三セクター鉄道」と呼ばれるものがほとんどで、新幹線が開通したため第三セクター化された路線も含め、第三セクター=旧国鉄orJR路線のイメージがあるかもしれませんが、それはちょっと違います

そもそも「第三」とは何か?意外と知らない方が多いのではないのでしょうか?

「第一」は、いわゆる「官営」です。運営主は国や地方公共団体です。「第二」は「民営」で運営主は純然たる民間企業。公共交通機関の第一については国鉄はなくなりましたが、現在あるものでは都営地下鉄や各地の市営地下鉄を思い浮かべるといいでしょう。ただ民営化された現在のJRや東京メトロ、大阪メトロなどについてはカテゴリーとしては第二に入りますが、公益性の高さや株主構成など、純然たる第二とは言えない側面(赤字路線といえども簡単に廃線にできない)もあります

これに対し「第三」は鉄道とそれ以外のジャンルで微妙に使われ方が違いますが、鉄道においては官民が共同出資した会社が運営に携わるものを指します。よく地方ローカル線で、この表記が使われますが、実は都市部でもかなりあり、各地のモノレールなどは、ほとんどが第三セクター。大阪の東西線も利用者の感覚からすると完全にJRの路線ですが、第三セクターです

と、細かい話から始まってしまいましたが、今回お世話になった松浦鉄道は、よく耳にする旧国鉄を引き継いだ(移管期にJRが1年間運行)第三セクター

佐賀県の有田から長崎県の佐世保までの運行。有田~佐世保といえば、JRの佐世保線で約20キロ。特急なら30分で着いてしまいます

ところが松浦鉄道はこんな感じで佐世保を目指します(経由地入り検索が自動車でしかできなかったので、一部がショートカットになってしまいました)

そりゃあ遠い。距離にして93キロ。しかも通勤時間帯の一部区間を走る快速を除くと基本的には普通列車の運行なので時間はかかります。伊万里で運行が分断されていて乗り換えが必要となる(乗り継ぎは考慮されています)ため所要時間は3時間!

かなり乗りごたえのある(専門用語では「途中でしんどくなってくる」ともいう)路線です。まぁ私の場合は途中駅で降りることを主目的としているため、一気に乗り通すことはなく、気分転換もできるのですが、となると今度は膨大な時間を要します。当日は早朝に新神戸の始発に乗り、博多経由でいくつかの駅で降りつつ有田に到着したため、有田到着は14時半すぎ。年間で陽が最も長い季節で路線には九州の最西端駅も含まれる日没の遅い地域とはいえ、ここはさすがに全線は無理

起点駅の有田は2面3線。元々は国鉄同士ということで、改札口は共用(ただし駅としては別々)。うち1線が松浦鉄道

こちらの駅名標は国鉄時代のものを残しているのでしょうか

かわいい車両が1両単行で止まっていました

松浦に宿を確保して列車に乗り込みます

 

はじめまして

はじめまして

降り鉄です。乗り鉄、撮り鉄などメジャーな鉄道ファンではなく、駅訪問がメインの鉄オタ40年生の高木と申します

本数が少なく到達しにくい駅もできるだけ公共交通機関で訪ねます。そんな記録をここに残していきたいと思います