牟岐線の木造駅舎紹介12~DMV導入で思いがけず終着に

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阿波海南駅の駅名標

※訪問は2023年7月20日、音声注意

唐突に終わる鉄路

牟岐線の終着駅である阿波海南駅に到着。ご覧のように単式ホームの先でレールは唐突に終わっている

2019年10月にも現地を訪問したが、同じような角度で撮影したものがこちら

間違い探しのクイズにもならないぐらい分かりやすい。鉄路ははるか先まで伸びていたし、そもそも駅名標には隣駅が記されている

当駅は2020年11月1日に牟岐線の終着駅となった。元々は牟岐線の終点だったお隣の海部までの区間が廃線となったからだ。廃線といっても鉄道路線がなくなったわけではない-と書くとなんだかややこしいが、この区間はJRから切り離される代わりに阿佐海岸鉄道に編入される形となったからだ

阿佐海岸鉄道に鉄道兼バスのデュアル・モード・ビークル(DMV)が導入されたための措置

こちらは海部駅(2019年10月撮影)。ご覧の通りの高架駅で道路上から線路へと入る切り替えポイントとしては不適切だ。そのため地上駅である阿波海南が接点に選ばれ、と同時にこの1区間はJRではなくなった

戦後に国鉄の新路線となるはずも

牟岐駅の項でも触れたが、1942年に鉄路が牟岐まで到達した時点で延伸工事はストップしている。その先は「国鉄阿佐線」として高知県に入り、室戸岬をグルリと回って奈半利を経由。後免で土讃線と合流して高知駅に向かう計画だった。壮大な計画すぎて戦時中に工事が一度終わったのは当然のこと

機運が再び高まったのは戦後10年以上が経ってから。工事が再開され、1973年に阿波海南を含む海部までが開通。この時点では新線は、わずか11キロだったことで牟岐線に組み込まれた

その後も工事は続けられたが、おりから国鉄の赤字が問題となっている時期で国鉄再建法により、工事は1980年に中断。ただ工事はほぼ完了しており、せっかくの設備がもったいないと海部から先のすでに出来上がっている区間については1988年に新たに設立された阿佐海岸鉄道によって工事が続けられることになり、1992年に海部~甲浦8・5キロが開業。甲浦は高知県に入ってすぐの場所にある

牟岐以南は鉄建公団によって工事が行われたため高規格。特に海部~甲浦はすべて立派な高架線となっている

時を同じく土佐くろしお鉄道によって後免から室戸岬を目指す鉄路もでき、2002年に後免~奈半利が開業。しかし工事はそこまで。奈半利と甲浦の間はバスで結ばれたまま現在に至る。そしてDMVの登場である

海陽町の中心駅、数奇な運命

途中駅時代から阿波海南は海陽町の中心駅。駅前にはコンビニなど商業施設も多い。駅にはタクシーも常駐している

かつては駅舎もあり、駅員さんもいたが撤去。代わりに駅前に建てられた海陽町海南駅前交流館が事実上の駅舎となっている。ちなみに旧国名の「阿波」が冠せられる駅は当駅までである

こちらがDMVの停留所。ここでバス↔鉄道に変換するため、正式には「信号場」と呼ぶそうだ。牟岐線との連絡も図られたダイヤとなっている

DMVに乗車するのは別の機会にするとして、私はここで折り返し。ただ乗車すると撮影できないバスから鉄道への変換は動画で撮影

何かレールとしっくりこなかったのか一度チェックが入った

無事にさっそうと去っていった

DMVについては改めて時間を作ってじっくり乗ってみたい

それにしても単式ホームの途中駅から終着駅になった阿波海南駅については数奇な運命を感じてしまう

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