私鉄

ゆいレールに初乗車~絶景の駅

儀保駅ホームからは絶景

もうひとつの最寄り駅

首里城ではいくつかの門に案内の方がいらっしゃいます。散策を終えて首里の駅に戻るのですが、念のため、他に駅はないのか尋ねてみると「儀保駅も行けますよ」との返答。「とにかく真っ直ぐ行ってください。そうするとレールに出てすぐ分かりますから。時間的にはそうですね。儀保の方がほんの少し近い」とのこと

元から儀保には行くつもり(というか全駅訪問が前提です)だったので、喜んで参ります。それにしても首里より近いのに、なぜ公的に案内が行われていないのかは歩いているうちに分かりました

本当に真っ直ぐです。住宅街の間の路地のような所を歩いていきます

そして到着

おっしゃる通り、私が尋ねた場所からは儀保の方が近い。ただ写真の通り普通の住宅街の間を歩く必要があるので駅から首里城へ行くとなると首里からの方が分かりやすい。今は携帯のアプリもあるので行けるでしょうが、そうでないと困難かもしれません。そして結構な坂。首里城→儀保はずっと下りなので楽でしたが、逆となるとかなりしんどいかもしれません

ゆいレール公認?の絶景

その儀保駅ですがホームには、このような案内があります

すべての駅をくまなく見たわけではないので断言はできませんが、ホームでこのような案内があるのは儀保だけでした

訪問日がくもりだったのが惜しまれるのですが、ホームから那覇の街と海までが一望できます

なぜこのような眺望が見られるかというと、古島駅あたりから急勾配となるゆいレールの、その途中にあってレールの向きが海に向かう角度になっているから。ちなみにここ儀保から首里の間は60パーミルというゆいレール最大の勾配となります

那覇空港側からの電車がやって来ました。軌道の向こうはうまい具合にさえぎる山や建物もなく、きれいに海までが一望できます。もちろん再建工事中の首里城も見られます

こちらは那覇空港方面に去っていく電車。本当に雲がうらめしい。晴天だと地平線の向こうに電車が進んでいく姿を見られるはずですが

首里城観光のついででなくとも、ぜひ訪問してほしい駅です。できれば晴れた日に。そして首里城に行く場合は儀保駅→首里城ではなく、首里城→儀保駅と歩くことをお忘れなく

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ゆいレールに初乗車~首里城公園へ

首里城の久慶門

かつての終着駅

古島駅から市民病院前駅への行程については先に触れているので先に進みます

この時の道程上、儀保駅については後述します。実際の私の行動はというと沖縄到着の初日だった24日は北谷に宿泊。翌25日はバスで旭橋に向かい、フリー乗車券を購入。ホテル最寄りの美栄橋駅に向かってホテルで荷物を預け(まだチェックイン可能な時間ではなかった)、再び美栄橋駅に戻ってから真っ直ぐ首里に向かいました。早い話、最初に目的を持って行ったのが首里でした

首里駅は2003年のゆいレール開業から、てだこ浦西駅までが延伸開業した2019年までの16年間、終着駅でした

こちらは駅舎です

首里城へ

なぜ真っ先に首里に行ったかというと明白すぎますね

改札を出ると案内図とは別に大きく目立つように首里城公園への道案内があります。徒歩15分に加え、城といえば坂道を登るのに決まっているので元気なうちに真っ先に訪れたわけです

ということで今回、ここから先は鉄分は全くありません

入口に到着。もちろん初訪問

城壁に沿って歩きます。高台になるので、かなり離れているはずの海が一望できる。もう少しスッキリ晴れ渡っていたら、絶景だっただろう、なんて思いながら歩いていくと

このような注意書きを見てハッとなる

守礼門をくぐる

守礼門をくぐります。ちょうど団体さんが来ていて、皆さんも経験があるでしょうが横にいると詳細な解説を「無料で」聞くことができる(笑)

団体さんとは、ここでお別れ。中に入り

階段を登る。首里駅の改札からここまで20分ほど。この日の那覇市は気温26度。もう蒸し暑かった

駅からだとふもとの入口までは10分もかかりませんが、そこからは歩き方次第。景色を眺めながらのんびり歩くと20分はかかります

再建工事を見る

入場券を購入。フリー乗車券の項で説明しましたが、フリー乗車券を持っていると80円割引なのですが、その張り紙に気付いたのは購入してから。もっとも80円ぐらいは義援金と思えば、なんてことはない

首里城は2019年の火災を受け現在、再建工事中です

こうして見ていると、やはり悲しい気持ちになります。正殿の完成は2026年の予定です

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ゆいレールに初乗車~ひらがな駅の歴史

※実際の道程とは異なります

歩いた方が近い?

「安里(あさと)」駅に到着しました。こちらは牧志駅からレールで600メートルしかなく、極めて近いのですが実はもっと近い

駅の周辺案内で分かるように道路に沿った構造上、レールが大きく弧を描くようになっています

この周辺図は南北が逆になっているのでGoogleマップだと以下のようになりますが、注目は所要時間で

徒歩6分。昼間は10分に1本の運行なので場合によっては歩いた方が圧倒的に早い位置関係にあります

沖縄伝統の壺屋焼の「壺屋やむちん通り」の最寄り。また駅を降りるとすぐ栄町市場があり、飲食店も並んでいます

訪問時は、始めるにはちょっと早い時間でした

新都心として再開発

次いでゆいレールでは、唯一のすべてひらがなの駅、「おもろまち」に到着です

関西人の私は駅名を聞いて「おもろい(おもしろい)街なんかなぁ」と勝手に連想してしまうのですが、意味合いも歴史も全く異なる。「おもろ」とは沖縄の古い民謡で「思い」という意味

一帯は沖縄戦の激戦地で戦後、元の住民の帰還が一度認められた後に、数年が経ってから米国による強制接収で米軍の住宅地となった場所。沖縄返還後、土地の一部が少しずつ返還され、すべての返還が終了したのは1987年。再開発が開始されたのは平成になってからでした

「おもろまち」は公募によって名付けられました

現在は日本国内でも購入できる巨大免税店などが入居する新都心となり、ペデストリアンデッキで結ばれているほか、バス交通の拠点ともなっています

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ゆいレールに初乗車~旧那覇駅から市内中心部へ

牧志駅を出るとすぐ国際通り

※実際の道程とは異なります

かつての那覇駅所在地

旭橋に到着しました

ゆいレールは2面構造と島式構造の2パターンがあり、当駅は2面構造

那覇市内線を含め、沖縄各地へと向かうバスが発着する那覇の交通の中心地となる那覇バスターミナルの最寄り。バスとの乗り換えで多くの人が利用します

那覇バスターミナルのある場所は、かつての沖縄県営鉄道の那覇駅でした。沖縄戦で破壊されたため、駅の遺構はほぼ何も残っていなかったのですが、8年前に再開発のため一度閉鎖して工事を行った際に転車台の一部が発見されたそうです

ゆいレールができるまで、沖縄の鉄道は約60年の空白となります

国際通りの端と端を結ぶ

続く県庁前から那覇市の中枢部に入ります

駅名をローマ字表記にする際、県庁や市役所のような公的施設も都庁前(tochomae)のように、そのまま日本語表記にすることが多いのですが、当駅は英語表記となっています

ビルの間をぬうように、すっかり都市モノレールの表情。そして、こちらは最大の繁華街である国際通りの端の部分となります

国際通りは当駅と牧志駅で、それぞれ接続していてモノレールは久茂知川に沿って迂回するように走ります

那覇港の最寄り

続いて美栄橋に到着。こちらからは国際通りまで徒歩10分ほどの沖映通りの入口付近にあたり、沖縄本島周辺の離島への航路が出ている那覇港「とまりん」の最寄りにもなっています

こちらは駅名標

ホームは1面2線です

そして牧志駅へ到着

車内のアナウンスでも国際通りへの案内が行われます

多くの人でにぎわっていました

ソーキそばをいただきました

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ゆいレールに初乗車~最南端と最西端

那覇空港駅の駅名標

※実際の道程とは異なります

到着すると最西端

沖縄へ向かう、ほとんどの方が利用する玄関口の那覇空港

迷いなくモノレールの那覇空港駅に向かうことができます。ただ那覇空港の到着ロビーは1階で駅は2階にあるためカート利用が可能

改札には京成スカイライナーの割引チケット発行機もあります

先の車止め部分。さすがに延伸はありません

延伸がないのは地図でお分かりだと思います

改札手前にあるのが「日本最西端の駅」の記念碑。こちらでもSuica利用可のアピールに余念がないようです

モニュメントは飛行機の翼をイメージしたもので中央にはめ込まれているのは、ひとつはゆいレールの車体でもうひとつは大根。かつて空港付近は島野菜である「鏡水大根(かがんでーくに)」の産地であったことに基づくものだそうです。那覇空港の所在地は「那覇市字鏡水」

わずか1駅で最南端へ

那覇空港駅を出ると、わずか3分、たったの1区間で今度は最南端の駅である赤嶺に到着します

ゆいレールそのものは空港から北東へと向かうのですが、軌道は一度南側に向かうので、こちらが最南端となります

こちらが駅舎。周辺にはマンションが立ち並んでいます

コンコースには最南端駅にやってきたことを証明してもらえる顔はめパネルが設置されています

最南端駅を示す記念碑は屋外に

2003年のゆいレール開業翌年に設置されました。まだ20年経過していませんが、雨や台風の多い沖縄だけに、かなり頑張っています

駅南側のロータリーにあります。駅を降りると両方ロータリーがあって、駅からは眺めると、どちらに降りようか、意外と分かりにくいかもしれません。駅員さんに場所を訪ねたほどです

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ゆいレールに初乗車~急勾配とカーブがみどころ

ゆいレールの運転席

運行は10分に1本

現在のゆいレールは昼間の運行は10分間隔。コロナ禍前は8分に1本でしたが現状は10分間隔。朝のラッシュ時は5分前後、夕方のラッシュ時は7分の間隔で頻度が上がります。1本逃すと困るというレベルではありません。沖縄も車社会で計画時は電車なんかに乗ってくれるのかな、という不安の声も大きかったようですが、那覇中心部の渋滞に悩んでいた人や、遅延の目立つバスにイライラしていた観光客にとってモノレールの登場は大きかったようです

2両編成のため、那覇空港から市内中心部の間は、昼間もかなり混雑します。ホームは3両分を確保しているため、数年以内には3両編成になるそうです。運転はワンマンで各駅には基本的に駅員さんがいます

と、ここまでは一般的なモノレールとほとんど同じですが、車窓が大きく異なります

カーブが多い理由は

モノレールを設置するのにあたっての最大の問題点は用地の確保でした。街もすでにできているので今から鉄道用に用地を、となると街から離れたところばかりを通さなければなくなり、それでは都市モノレールとしての意味がない

そこで既存の道路に沿って建設したところ、カーブだらけの構造になりました。もっとも幹線道路沿いなので那覇市内の中心部を網羅できるようになったわけです

そして道路に沿って建設したために発生したのが「坂」です

特等席からの眺めは最高

那覇の中心部を抜けて乗客もかなり落ち着いてきた古島駅

ここからが見どころの一つとなります

お隣の市立病院前駅へと向かう際、直角になろうかという大きなカーブを描いているのが分かります

それを楽しめるのがこちらの特等席

ロングシートのゆいレールですが、運転席の真後ろのみ、このように「パノラマシート」となっています。この席が大人気で乗っていると、空いた瞬間にまたたく間に埋まってしまう。空きに気づき後方車両から、素早くやって来る人も

最初は「子供がいるわけでもないのに、みっともないなぁ」などと思っていたのですが、古島駅の手前あたりで車内がガランとなったタイミングで空いたので座ってみました

動画だとこんな感じです(音声注意)

すると、これがメチャおもしろい。人気の理由がよく分かりました

道路に沿って建設したため、坂も同時に発生することになりました。ゆいレール全線は17キロしかないのに高低差は120メートルもあります

映像の勾配は50パーミル(‰)越え。50‰となると一般の鉄道では、車輪の空転が怖くて、なかなか普通には上り下りできないレベルで、かなりの減速を必要としますが、ゴムタイヤのモノレールは摩擦にもしっかり耐え、やすやすと登っていきます

この区間より少し先の儀保~首里では最高の60‰に達します

うまい具合に特等席が空いたら、ぜひ急カーブと急勾配を体感してほしいところです

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ゆいレールに初乗車~基礎知識ときっぷ

ゆいレールの車両

空港から那覇市内に向かう必需アクセス

GWの直前、沖縄に行ってきました。私にとって沖縄は37年ぶり。つまり最後に訪れたのが「昭和」だったわけで、初めて訪れたに等しい。で、そこで行ったのが「ゆいレールの全駅訪問」(笑)

沖縄に行ってまで鉄オタ活動かと思われるかもしれませんが、初乗車ゆえに感じたことをつづっていきたいと思います

まずゆいレールとは何か?ですが、正式名称は「沖縄都市モノレール」

那覇市の「那覇空港駅」から市内中心部を抜け、浦添市の「てだこ浦西駅」までの17キロを37分で結ぶモノレールです。駅数は19。開業は2003年8月で「首里駅」からてだこ浦西の4・1キロが2019年4月に延伸開業しました。言うまでもなく、日本で最も南そして西を走る鉄道路線

地図を見て分かる通り、モノレールの特性を生かした急カーブが特徴。そのおかげで那覇市内の主な場所を網羅しています

そしてもうひとつの特徴は急勾配。こちらは前面展望を楽しめます

沖縄を訪れるほとんどの方は飛行機利用でしょうから、那覇市内に向かう際は、かなりの確率でお世話になると思います

紙のきっぷもIC乗車

入退場はすべて自動改札。そして私も最初、一瞬戸惑ったのですが

自動改札には紙のきっぷを投入する場所がありません。長年IC乗車ときっぷによる乗車ばかりに慣らされていて「えっ?」と思いますが、紙のきっぷもICタッチによる入退場です

便利なフリーきっぷは時間制ただし暑さには注意

私が利用したのはフリー乗車券。通年販売しています

私の旅程は初日に北谷まで行き、バスで那覇市内まで戻ってきたため、購入はバスターミナルとつながっている「旭橋駅」での発券となりましたが、もちろん、どの駅の券売機でも当日その場で購入できます

1日乗車券は800円、2日乗車券は1400円。私のような全駅訪問してやろうという特殊な人間にとっては、もちろん必須アイテム(ありがとうございます)ですが、那覇空港から那覇市内の主要駅までの運賃が270~300円、最低運賃が230円ですので滞在ホテルへのチェックインや荷物を預けてから市内に繰り出したり、首里城観光を行ったりすると、すぐ元が取れてしまいます

最も有名な繁華街である国際通りの端から端には県庁前駅と牧志駅があり、その中間には那覇港に近い「美栄橋駅」もあります。私のホテルは美栄橋の近くでしたから、駅訪問以外でも食事に行く際など、栄町市場の最寄りである「安里駅」も含め何度も利用しました

フリー乗車券のポイントは「時間制」だということ。こういうきっぷは日で区切るものが多いのですが、名古屋市と同じく時間制。つまり1日乗車券だと購入から24時間利用できるということ

私の例だと4月25日の12時27分に購入したので27日の12時27分まで利用できました。全くの偶然でしたが私は27日正午発の飛行機に乗ることになっていたので、最後に那覇空港に向かう際まで、ちょうど利用でき、事実上3日間利用できることになりました

ただ、こういう磁気ICというのは乱暴な使い方をすると磁気が弱っていきます。私は他路線で何度か失敗しているのですが、夏場に胸ポケットやお尻のポケットに突っ込んでいると汗を吸ったりして反応が悪くなっていきます。これからの沖縄はもちろん暑いので、その点には留意ください

施設への割引と他のIC乗車

多くの駅で、このような告知がありました。3年前からSuicaが利用できるようになり、Suicaと連携するIC乗車券も利用できます。JR各社のIC乗車券のほかPASMO、manaca、PiTaPa、はやかけんの利用が可能

主要駅にはチャージ機もあります

首里城公園などフリー乗車券の提示によって割引が適用される施設もあります

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大都会に残る未成線跡~南方貨物線最終項

名鉄常滑線。上に見えるのが新幹線で手前が南方貨物線

2022年11月10日12時

小学校の土地を売却→戻る

堀川を渡れば本日のゴールである道徳駅まではすぐ。そしてハイライトにもなります

新幹線の高架沿いに歩くと

橋脚が復活し

その下に小型の倉庫が並んでいます

レンタル倉庫として利用されています。ただし県道を渡ると、すぐに小学校があって橋脚の北側を迂回して歩く必要があります

こちらの明治小学校は南方貨物線の予定地に敷地の一部があり、建設に協力してその一部を売却したものの、未成線になったことで返却されたという経緯があります

空港連絡線構想?

橋脚に沿って歩くと名鉄の常滑線が見えてきました。この先で交差します。もうゴールは目前

さらに先に進むと

東海道新幹線、名鉄との交差部分となります。ここが散策のハイライトのひとつ。一見、3線が交わるところで、うちひとつが建設中のようにも見えますが、言うまでもなく手前の橋脚は未成線。そもそも見て分かる通り、架線がじゃまして、この高さでは進めません

1983年から84年にかけて名鉄は高架化されています。南方貨物線の工事が再中断(以降、工事が行われることはなかった)した直後。南方貨物線の施設の再利用については名鉄常滑線に合流させて中部国際空港(2004年開業)を目指す、という案もあったそうですが、1989年に新装なった金山総合駅が具体化した後です。名鉄にとって何のメリットもないので、あっさり却下されています

結局、南方貨物線の計画は貨物ターミナル駅が1980年に開業しただけで終わり、投入された400億円近いお金は全くムダになってしまいました

国道側から見ると、国道と名鉄の間の部分だけポツンと残されています。撤去工事を行うには名鉄の運行にも影響しそうです

ここから名鉄の駅は豊田本町も道徳も同じような距離ですが、6月は道徳駅までだったので今回も道徳駅をゴールとします

道徳に到着したのは12時40分。愛知県武道館を出たのが10時ちょうどだったので2時間40分の散策でした。この間、2度の休憩と1度の買い物タイムをはさんでいます

おすすめ散策路

堀川を渡ってからのコースです。実際は公園の中は突っ切って進んでいます

さて昨年11月に全路散策を終えてから今日まで記事にしなかったのは、その後の寒さを考慮したからです。今はちょうど良い季節です

未成線や廃線跡の探索というのは基本的に進み始めたらゴールまで行くか、引き返すかの二択となりますが、南方貨物線についてはJRの笠寺から、あおなみ線の中島駅の間に名鉄、地下鉄の駅があるほか、バス路線もあり、途中離脱が可能。道中に飲食店やコンビニの店舗や公園もあり、お手洗いも含めて休憩ポイントも多い。大都会とはいえ、ここまでの「至れり尽くせり」は他になかなか例がありません

休憩もなく迷うこともなければ、おそらく全行程は徒歩3時間ちょっとだと思われますが、多少迷ったり、食事を含めた休憩を行うのも、ある意味楽しいものです。もちろん、前述した公共交通機関を利用して、ほんの一部だけを見るのも可能。昭和の国鉄時代の遺構がこれだけしっかり残っているのも珍しいことなので、鉄道貨物の栄枯盛衰を感じながら、春の陽気とともにぜひ訪れてほしい場所です

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大都会に残る未成線跡~南方貨物線その5

愛知県武道館横の南方貨物線橋脚

2022年11月10日9時30分

今度こそ大願成就を

前回から1カ月半が経過。またもやあおなみ線に乗車し南荒子駅で下車。今日こそは完全走破しますよ。妙に暑い日があると困るので10月はパスして11月まで待って、もう朝はかなり冷え込むぐらいとなっています。さすがに歩くことは苦にならないでしょう

私も前回の失敗を踏まえ少し賢くなりました

前回ギブした武道館前からリスタートですが、荒子ではなく南荒子からバスに乗るのが効率が良いようで1時間に2本という時刻も調べてバスに乗車

武道館前で降ります。紅葉した木が物語るように季節は冬に向かって進んでいます

武道館の横には橋脚。現地では何も思いませんでしたが、こうして見るとなかなかのコントラストです。武道館の開館は1993年なのですでに橋脚はあり、所有者が国鉄からJR東海となって、せっかく建設した路線をどうしようかと論議していたころです。旅客路線として使う案もあったので「武道館前」という駅ができていたかもしれません。確かに武道館は鉄道のアクセスはそれほどよくはない

貨物の因縁がここにも

橋脚の北側は南郊公園となっています。ここは中川運河の一部を埋め立てた公園です

となると中川運河とは何か、という説明が必要になってきます。現在のあおなみ線「ささしまライブ駅」近辺は「笹島」という貨物駅でした。だったら笹島駅まで列車で運んだ貨物を名古屋港まで運べばいいじゃないか(もちろん港から鉄道という経路も成り立ちまて)、となったのが大正時代。昭和初期に掘られた運河は大型船も運行できる立派なものでした

今でも船たまりは残っていてクルーズ船が運行しているようです。あまり歩くことはないと思いますが、これから歩く南郊公園付近をゴールとしてみました。徒歩だと1時間というかなりの距離ですが地図を拡大すると運河は南北だけでなく細かく掘られていたことが分かります

ただこの笹島駅は結局のところスイッチバックせざるを得ない構造となっていて、その解消も兼ねたものが南方貨物線というわけです

この中川運河は排水に対する考えが今ほどなかった昭和初期のものですから、その後、現在に至るまで水質汚染が名古屋の大きな問題のひとつにもなっています

南方貨物線は用地獲得が容易なこの部分を走りました

橋脚の上は屋根がついているようだけど何に使用されているのだろう、なんて思いながらスタート

気持ちよく歩いていこうとすると、ちょうど公園の地図がありました

いつ掲げられたものか分かりませんが、興味深いというか一帯を明確に示してくれています。南北が逆になっています。右の縦の線路があおなみ線で左の縦の線路が今も現役の貨物の名古屋港線(現役といっても本数は極めて少ない)

あおなみ線から分岐する白い線が南方貨物線。未成線なので白で描かれているかもしれませんが、前回の9月、私はあおなみ線からの分岐をたどって南郊公園の南側(地図では上)にある武道館まで来たわけです。武道館が描かれているので少なくとも93年以降の地図ですね

地図は、とにかく公園を歩いていけばいい、と教えてくれています

ということでズンズン歩く。散歩の方が、いいナビゲーターをしてくれます。そして橋脚もズンズン進む。それなりの年齢の方のようなので南方貨物線について聞いてみようかと思ったぐらいです

歩いていくと遊歩道が狭くなっていって

この青い建物が地図で示したTOTAL GAKUENです

橋脚を再利用していますね

今は営業していないのでしょうか

と、ここで大きな問題が

目の前の中川運河を渡れません

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大都会に残る未成線跡~南方貨物線その4

南方貨物線の橋脚

2022年9月26日12時40分

北海道の山中を思い出す

森の中に入っていくと公園というか遊歩道のようになっていました。貨物線の敷地が名古屋市に払い下げられて森になったと推察されます

そして現れた橋脚。高架線の遺構とポツンと置かれたベンチの対比がシュールすぎる。同行者がいれば、間違いなくここに座って記念撮影をしていたはず

橋脚が2つあるのは、ひとつが中部鋼板の工場への引き込み線となっていたからでしょう

この部分は橋脚がスパッと切断されています。下が遊歩道になるにあたって危険を考慮したのか。だったら、どうして他の部分が残されているのかは分かりません。単純に撤去費用が惜しかったからか

この光景を見て思い出したのは北海道の山中で見た越川橋梁です

訪問は2010年9月。こちらは斜里(現知床斜里)と根室標津(廃止)を結ぼうとした根北線の未成線部分で橋梁は早々にできたものの、斜里~越川の部分開通から十数年で廃線となったため、橋梁は使用されることなく終わりました

こうして今、写真だけを見ると戦前にできたものだけあって全く違いますが、国道の改良工事で国道の上の部分だけが切り取られている構造が似ているな、と思い浮かんだ次第

そもそも斜里町の山中と名古屋市内では随分と到達難易度が異なる。初めて行ったのは、これより数年前で携帯の電波が入らなくなり「こんなところでレンタカーにトラブルがあったら、どうしよう」と不安になったのを覚えています。南方貨物線沿線は携帯電話が広まった初期から圏外になったことはないはず

ただし越川橋梁

登録有形文化財ですが、南方貨物線はそうではありません

季節外れの猛暑

話を戻しましょう

遊歩道を歩いていくと看板で名古屋市の土地になっていることが分かります。そして写真ではよく分からないかもしれませんが随分ニャンコに出会う

器用に乗っかって決めポーズ。お見事!

ホーム跡のようなものがありました。ホームにしては小さすぎるし低すぎる。何でしょう?

この後は工場の敷地の南側に沿っていくことになります。道路も途切れ途切れで回り込みを必要とする。その道中で正保小学校の前を通ります。開校が1979年。南方貨物線は73年から80年にかけて住民の反対により工事が中断されています。ちょうどそのさなか。現在の「沿線」はすっかり住宅街ですが、工事の計画時では、まだそうでもなかったことが事象として分かります

再び橋脚。建物の入口部分だけ撤去されています

橋脚の下の部分は駐車場となっていますが、こうして見ると完全に現役の橋脚です

さて、この日の名古屋は9月末にもかかわらず最高気温が30度超えという真夏日。歩き始めて20分ほどで、かなりバテバテになってしまいました。ネコの写真を撮っていたのは休憩中です

建物と一体化した橋脚が途切れているのは名古屋市道環状線とぶつかるから

右側にチラリ写っているのは愛知県武道館。この橋脚から向こうが「本番」なのは、よくよく分かってはいたのですが、申し訳ありません。炎天下にギブアップ。たった30分の散策でした

近くにバス停がありました。あおなみ線の南荒子駅~地下鉄高畑駅~あおなみ線荒子駅という路線のようです。考えてみれば、朝のもっと早い時間帯に廃線跡を回ってからエアコンの効いたリニア・鉄道館に行くべきでした。あおなみ線のフリーきっぷを買うのだから、1度離れてもまた名古屋から乗り直せばいいのです

徒歩コースは、おおよそこんな感じ。正確にはあおなみ線の東側にある遊歩道を歩いています

ということで、もっと涼しくなってから再々チャレンジすることにしました。それにしても家電量販店や駐車場付きのコンビニがあって、これだけ交通量の多い200万都市の片側3車線道路に未成線があるなんて想像がつきません

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