高山本線

グリーンきっぷの2日間~高山本線の駅の奥深さ

千里駅の駅名標

2月22日12時40分

昭和2年からの木造駅舎が残る

千里駅に到着しました。高山本線は富山県の富山~猪谷がJR西日本、岐阜県の猪谷~岐阜がJR東海と棲み分けされていますが、富山県内のわずか36キロも富山~越中八尾と越中八尾~猪谷で本数が大きく異なります。千里は越中八尾のひとつ手前。現在は富山市ですが、かつて婦中町でした

駅前に地図がありました

婦中鵜坂駅も描かれていますが設置は富山市になってから

1927年の開業以来の木造駅舎が残ります

お隣の速星でも見た駅名板に風格を感じます

ホーム側。まだまだしっかり使えそう。駅舎と逆側からもホームに入れるようにんっています。周囲は住宅街

嘆息する長い有効長

越中八尾からの折り返し列車に乗車。この時間帯は富山~越中八尾でも前後2時間運行が空いているため列車の混雑ぶりも納得できます。ちなみに猪谷までの普通は4時間運行がありません

富山のひとつお隣の西富山で下車

こちらの特徴はなんと言っても有効長。「立入禁止」の文字の先も複線状態のレールが続いています

近くまで行くとよく分かります

先ほどまでの写真は富山方面でしたが高山方面もずっと複線状態が続く

当駅はJR貨物の駅にもなっています。といっても今は貨物の取り扱いは行っておらず、貨物については臨時駅扱い。写真で見ると駅周辺は新しい家が並んでいますが、かつては貨物設備があった場所。平成に入ってもその光景は見られていました。今も駅の敷地そのものは広く、長大な貨物列車に対応するため長い長い有効長がとられています

さらに言うと貨物もなくなり、ほとんど使用されていなかった駅舎と逆側のホーム(富山方面)ですが、婦中鵜坂駅が設けられ、高山本線が増発した影響で「復活」。ローカル線で1度使用されなくなったホームが復活する例は少なく、いろいろな意味で奥が深い

千里と同時期に開業した木造駅舎が残ります。車寄せの部分は千里と似ていますね

昭和2年の財産票

駅名標は婦中鵜坂を追加していますね

さて高山本線は富山から迂回するような形で伸びてきています

目と鼻の先とは言いませんが、富山大学のキャンパスも近い

JR製の駅名板を見ながら富山大学方面に向かうこととしましょう

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グリーンきっぷの2日間~富山から再度のキハ120

富山駅に停車中の高山本線のキハ120

2月22日11時

思いつき旅のスタート

糸魚川駅に戻ってきました。同駅は海に向いた以前からの日本海口と新幹線開業に際して整備されたアルプス口の2つの出入り口を有し、新幹線用地確保のため撤去された大正時代からのレンガ車庫の一部が玄関に移設されています

アルプス口には「糸魚川ジオステーション ジオパル」があり、かつて大糸線を走ったキハ52が展示されています

解説文はなかなか詳しい。トワイライトエクスプレスの車両も展示されています

さて前日の早朝に家を出て「やくものパノラマカー」「スーパーはくとの全線完乗」「JR西日本の未乗区間の完乗」と予定していたミッションはすべて果たしました。ここからの時間は、いつものケセラセラ思いつき旅とします

前年の積み残し回収へ

こちらの行動は何となく決めてはいたのですが、糸魚川から新幹線で2駅

富山で降ります。約30分の乗車はさすがにグリーンではなく自由席

北陸本線は「あいの風とやま鉄道」に三セク変換されていて駅の管理も同社が行っていますが、JR西日本の高山本線のホームもその中にあり、主に専用の切り欠きホームを使用します。このあたりの構造は糸魚川と同じ

案内表示にある12時19分発の越中八尾行き普通に乗ります

昨年9月、夏の青春18きっぷの5回目利用で富山駅にいたところ、電話がかかってきて急きょ、お昼過ぎに帰宅しなければならなくなったことで行けなかった駅の回収を行う予定

持っているきっぷは猪谷までなら特急「ひだ」にも乗車できる。ひだは越中八尾にも停車します。このようにホイホイ特急に乗車できる機会はなかなかないので、あーでもない、こーでもない、といろいろ考えたのですが、特急に乗車した場合、その後のダイヤがあまりにも薄いので断念

でもいいではないですか。私にはキハ120という強い味方がいる。そもそも普通しか停車しない駅に行こうとしています。高山本線のキハ120は他地域と大きく異なり2両編成。キハ120=単行のイメージとは少し違う仕様となっていますが、2両編成にふさわしいというか乗り込むと満員で座ることもできない状態でビックリしました

ほとんどが高校生で制服を見ると、いろいろな学校の生徒さんがいるようです。平日のお昼過ぎにこの状態は驚きましたが、試験でもあったのでしょうか。しかし朝の通勤通学帯はここに勤め人も加わるのでしょうから、おそらくもっと凄い数。2両での運行も納得。青春18きっぷの季節でない限り、こういう状況のキハ120に乗車したことのない私は何だか頼もしいというか、うれしくもありました

20分ほどの乗車で千里に到着しました

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~JR西日本区間そして、また来ます

9月9日12時

4時間の空白も不安なし

笹津駅前にあった付近の案内図。さすがに50年近く前に廃線となった富山地鉄の線路は描かれていませんが、往時を感じさせるものです

そして当駅の時刻表をといえば

11時21分の富山行きに乗ってきたので、次の富山行きは4時間後、猪谷行きも3時間半後と、おそろしく長い空白区間があることになります

ただ私に全く焦りはありませんでした。JRの時刻は分かっていて、それからのことをろくに調べもしていません。これが飛騨の山中だったら、いろいろな交通機関を必死で調べていてから下車したはずですが、ここはまず大丈夫

なぜかというと、富山地鉄の廃線跡だから。もう富山の市街地ともいえる場所なので、廃線後を担うバスがあるはずです

これは楡原の駅前で見たバス停。猪谷~富山を結ぶバスがあって、これだけの本数がある。きっと笹津も通るのでしょう

そして結果から言うと、私の考えは半分正しく、半分間違っていました

笹津駅前のバス停。1時間に1本の富山行きがあります。12時5分の富山駅行きバスまで45分の待ちです(※訪問当時のバス時刻表です)

駅舎は立派でお手洗いもあります。駅に着いた途端に雨が降ってきたのですが問題ありません。こちらの駅舎でしたら、原稿を書いている今の冬の季節でも大丈夫だと思います

バスに乗って富山駅へ向かいます

ただ後で分かったことですが、猪谷から出ているバスとは異なる路線のようで、猪谷からのバスは駅前を通らず国道41号を走って行くので、こちらのバス停から徒歩5分ほどの次の停留所まで行けば、さらにもうひとつの路線もあって1時間に3本ほどの便利な区間だったのです

JR西日本区間内でも温度差

全長225キロにもなる高山本線でJR西日本区間は36キロしかありません。全体の6分の1ほど。しかし、その中でも随分と温度差があります

こちらは婦中鵜坂の時刻表。明らかに笹津とは違う。特に7時台は高頻度です

これは運行形態を富山~越中八尾の17キロと越中八尾~猪谷の19キロで分けているから。前者の区間運転が設定されていて特に通勤通学時間帯は本数も多い。越中八尾以南の東八尾、笹津、楡原の3駅は停車列車がかなり少なくなります

岐阜から国道41号とほぼ並行して進む高山本線ですが、一部離れている場所もあり、笹津と富山の間は鉄道が旧八尾町を経由して迂回する形になるのに対し、国道は真っ直ぐ富山の中心部を目指します。富山地鉄笹津線は国道沿いを進んでいたわけで、廃線で地域の足がなくなることに対し、猛烈な反対運動が起きたこともうなづけます

ちなみに笹津~富山に限って言うと運行も多いバスは約50分、770円なのに対し、鉄道は約40分、510円とコストと時間では鉄道に軍配が上がります。ただしバスは富山の繁華街である総曲輪(そうがわ)を通ります。総曲輪は全国各都市で多く見られるように、JR富山駅からは若干離れています

富山駅に到着。13時前です

越中八尾は10年以上前に行ったのが最後で千里や西富山は降りたこともありません

適当旅らしく駅構内にある回転寿司で、今さらながら午後の作戦を練る。西富山の駅は路面電車で富山大学まで行けば十分に徒歩圏内だ、などと調べていると電話が鳴って家で緊急事態の報告。すぐ帰宅しなければならなくなりました

ついているというか、ついていないというか、これが山中の無人駅だったら、すぐ帰ろうにも帰れないところでしたが富山駅にいるので、すぐに帰れる

予定外でしたが早い時間に北陸新幹線のホーム

まだ明るいうちに大阪駅到着となりました

高山本線は地形上、たびたびの豪雨被害に遭ってきました。その度に懸命な復旧工事が繰り替えされています。過去には電化の計画もあったようですが岐阜市近郊も未だ単線非電化のまま

私が降りたことのない魅力ある駅舎も、まだあります。次回は計画を練って訪問したいと思います

これで夏の青春18きっぷの旅は終了です

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~2度の廃線を経験した駅

9月9日11時20分

貴重な遺産を次々と

楡原から1駅富山側に戻って笹津で降りました

ホームは1面2線。ホーム上の待合所で発見したものが

鉄製の案内板。今やあるようでないものとなりつつあります。長年の排煙を受けているようですが、こちらはまだまだ使えそう

駅舎へは跨線橋で向かいます

かつては跨線橋にも、このような文字が描かれていました。最近見る機会が少なくなっています。私が見落としているものもあるかもしれませんが、直近だと中央本線旧線の辰野支線、川岸駅(長野県、今年10月)

昨年までさかのぼって和歌山線の粉河(和歌山県、昨年7月)

こちらは明朝の渋い案内文字付きですが、これぐらいしかありません

ただ笹津駅のものは、かなり危ない感じがします

広い駅前とピカピカな駅舎

跨線橋を渡って駅舎に行くと

無人駅ですが立派な駅舎が建っています

旧駅舎は大正期のものでしたが、2000年代に入って現駅舎となりました

コミュニティーセンターにもなっているようです。そして駅前ロータリーは広い

国鉄の高山本線がここまでやって来たのは昭和初期のことです。ではなぜ旧駅舎が大正生まれだったかというと、富山鉄道の駅だったからです

笹津は岐阜県の神岡鉱山から神岡鉄道により鉱石が運ばれる拠点となり、その際に富山鉄道の笹津~富山が敷設されました。しかし高山本線ができたことによって鉱石輸送はそちらが中心となり、富山鉄道の路線は廃線

しかし復活を望む声は廃止当時から多く、戦後になって新たに富山地方鉄道の笹津線として当駅~南富山が新たに開業。ただ今度は自動車普及による波で実績が低下。当時は全国的に軌道線が車の邪魔だという時代で75年に廃線となりました

笹津駅のやや北側に消防署がありますが、地鉄の笹津駅はここにあったようです。つまり現在の笹津駅は、かつての地鉄の跡地に建てられています

ホーム側から跨線橋を経た駅舎への導線はこんな感じ。妙なスペースに不自然さを感じるのも、駅前ロータリーの広大さに違和感を覚えるのも、そのためです

こちらもホームから見た裏側。奥の白い建物が消防署で手前が現駅舎。並んでいるのが分かります

また高山本線で富山方面へと向かうと車窓右手の草むらが分岐していく様子が残っていて廃線跡だと伺えます

帰ってから調べたことですが、廃線跡の痕跡は、あまり残っていないものの、12キロという手頃な距離だからか、南富山~笹津のウォーキングイベントは開かれているようです

駅舎内には地元紙が張ってありました。廃線は全国で見られる姿ですが、2度の廃線というのは、なかなかないことだと思います

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~難読というより難文字

9月9日10時50分

高台の駅

ギリギリ乗れた婦中鵜坂から30分

キハ120は楡原駅に到着です

こちらも読むのが難しい。難読駅には2種類あって、簡単な文字ながら思わぬ読みをするものと漢字そのものが難解なものに分かれますが、こちらは後者です

今は富山市となっていますが、十数年前まであった細入村の中心駅。楡原は地名です。特急停車駅である猪谷も細入村でしたが、役場があったのはこちらで駅前も開けています。猪谷の隣ですが区間距離は7キロとかなり長い。高山本線し神通川に沿って敷設されていて、このあたりまで来ると町がパーッと形成されてきて飛騨山地から出てきたというイメージとなります

付近は盆地となっていて背後の景色でも分かるように、婦中鵜坂あたりとは違って山間の町となっています

じっくり駅名標を眺めてもやはり、なかなか書くのも難しい

駅は高台にありスロープまたは階段で駅舎に向かいます

駅舎はJR移管後に改築されたかわいいもの。背後にホームに向かう階段が見えます。階段を使いたくなければ右手に見えるスロープでも可能。駅舎の時計が微妙に進んでいて、ちょっと焦りました

撤去された線路と撤去される待合所

さて、その階段ですが実は2つあります

ひとつは完全に塞がれています

再びホームに戻ると、現在のホームの向こう側にもうひとつホームがあることが分かります

かつては2面2線の交換駅だったものが単式ホームにされ、と同時にもうひとつのホームに向かう階段も入れなくしたのでしょう。2面ホームというのは構内踏切や跨線橋で結ばれるものですが、高台のカーブ状にホームは設置されています。駅舎から、それぞれのホームへと階段で向かい、いずれも屋根付きという、なかなか珍しい構造だったのですね

そのホームには

こちらはかなり年季の入った待合室が設けられています。駅舎ももちろん待合室として利用できますがホームにもしっかりと待合所があるという、なかなか親切な構造。入ってみようとすると

……

……

なくなるようです。しかも3日後の話。老朽化に伴うものでしょうか。これを書いている時点では、とっくになくなっていることになります。ホームの待合所撤去も各地で見られます。当然知らずに降りたのですが、間に合ったという表現が正確なのかどうかは分かりません

待合所の内部。この時期はあまり使われていなかった感じですが、歴史の証人がひとつ姿を消したことになります

当駅滞在は20分ちょっと。猪谷から折り返してきたキハ120に乗り、再び富山方面へと向かいます

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~先生お願いしますよ(泣)

9月9日9時55分

絶対行く駅へ残り20分での徒歩移動

今回、絶対行く駅リストの最後となるのは婦中鵜坂です。駅舎も何もない棒状駅ですが、高山本線で最も新しい駅で、なおかつ駅設置への課程も興味深いので、ぜひとも訪問したい駅です

現在いる速星のお隣なんですが、時刻は10時前。婦中鵜坂に向かう富山行きは1時間半後。それは待っていられない、というか私としては再び高山方面へと向かいたい。まだまだ行きたい駅はあります。となると、婦中鵜坂発10時21分に乗らなければなりません。もう30分もないのですが、任せておいてください。作戦は万全です

線路に並行して真っ直ぐ道路があります

駅間距離はわずか1・7キロ。グーグルマップによると1・8キロ、徒歩での所要時間は22分となっていますが、20分以内で歩けるでしょう。しかも道路はほぼ平坦で広い。迷うこともないので10時10分ぐらいには到着できるはず。速星の駅前にはタクシーもいますが乗ると怒られそうな距離。鼻歌交じりで歩き始めます

社会実験からスタート

婦中鵜坂は「ふちゅううさか」と読みます。速星駅が旧婦中町の中心駅だったことは前回の記事で説明しましたが「婦中」という町名の駅は存在しませんでした。「鵜坂」は、もっと前にあった村の名前。いわば2つの自治体名が駅名として復活したわけです

元はというと高山本線の利用を喚起しようと富山市が始めた活性化の実験として臨時駅として2008年に富山市が経費を捻出して設置しました。臨時駅というか実験駅です。3年間様子を見る、ということになっていたのですが利用者は3ケタになり、3年が経過しても臨時駅のまま存続。さらに3年後の14年に正式駅に昇格しました。高山本線の新駅は約60年ぶりのことでした。利用者は順調に増え続け2019年には500人近い乗降がある駅となっているので十分に成功です

富山までは、わずか2駅、10分です。中心部への近さが成功の原因ーと、ここまではあくまでもデータとして知っただけなので、これはローカル線の駅の貴重な成功例として周辺も含め見ておきたいところです

なにゆえ分岐点が?

徒歩の方は順調で、右手にある野球場を見ながら「社会人野球の日産化学のグラウンドって、ここなんかなぁ」などと考えていると北陸道の高架をくぐり、踏切のある大きな道路に出ました。駅はすぐ向こうのはず。この時はナビタイム先生の導きでしたが、踏切を越えると線路の逆側、つまり線路の東側を歩いてきた道を西側に行けという、お達し。写真を見ただけですが、駅は1面1線棒状駅なのでホームはそちら側にあるのかな、という認識。住宅街の中の線路沿いの道をどんどん歩いていきます

と、チラリ駅のホームが見え始め

ホームは逆側(つまり最初歩いてきた道)やん!

これは焦りました。ナビを見ると最後は点線で線路を越えて駅に行くことになっています。これは不安。立ち止まってしばし思案。何か地下道があるのかもしれませんが、もしなかったら…

10時21分の次は12時31分の越中八尾行き。つまり2時間待っても猪谷の手前で終わりです。猪谷行きはとなると14時26分と4時間後で、お話にならない。既に富山市の市街地なので脱出はできるでしょうが、とにかく先生を信じるのはリスクが高いと判断。来た道を引き返して小走りも交えながら、ホームがある方向に進んでいくと

駅への通路が見えてきて(最初の道を真っ直ぐ行くと向こう側に出たことになります)

何とか到着。10時18分。3分前でギリギリセーフ

高山の朝は肌寒いぐらいでしたが、すっかり平野部に降りています。当然汗だく。ただ運が悪かったというか何というか久留里線の平山駅の時とは異なり、ホームには先客あり。スマホを触っていた若いお兄さんに「何だ?このゼーゼー言ってる汗だらけのオッサンは」といぶかしげな目で見られました。まぁ、そう思いますよね

とりあえず駅名標は必要だと写真を撮っていると、もう列車の音が

でも良かったです。勝手知ったるキハ120で。こちらは遠くで音がしてから、なかなか姿を見せないことを私はよく知っている(笑)。ホーム上は少しウロウロできましたから

ということで駅の周辺を見ることもなく出発しました

ちなみに最初のコースで来ると、右側に来ます。「勝手踏切など造らせないぞ」という強い意志を感じます

ただ今回掲載したグーグルマップもナビタイム先生と同じ指導をしています。もちろん最後は「…」で(それが不安なのです)

確かにホームの逆側が住宅街となっていて住民の皆さんは遠回りをしては不便きわまりない。古い駅だとよくあるのですが、臨時駅を含め、わずか20年前のことなのに近道を造らないままにするのかなぁ、しかし入れそうなコースはなかったなぁ、そもそも簡単に真っ直ぐ進む道路を指示するべきではないのか、などと独りごちながら列車に揺られていました

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~意外と普通に読む広大な駅

9月9日9時50分

キハ120も混雑

都会の電車にしか乗ったことが地方ローカル線に乗って、まず驚くのが単行(1両編成)運転の列車があることとボタンを押さないと開かないドアだそうです

もっとも後者については空調維持のため都会でも違う形で導入されていて、普通の待避が多い阪神の新型車両では車掌さんがすべてのドアを開けるものの、停車中は乗客がドアを閉められるようになっています。真夏とか真冬とか助かるのですよ。ただ見ていると、まだまだ定着とはいかず、ドアをプシューッと開けて入ってきたお客さんが閉めずにシートにどっかり座り「寒い」とばかりに他のお客さんが閉めるシーンがよく見られます。私も閉める側によく回りますが嫌みのように思われているかも

さて単行(1両編成)運転の代名詞のようになっているJR西日本のキハ120。間違っていたら申し訳ないのですが、高山本線では2両編成となっているようです。なかなかやるじゃないか!

その2両編成のキハ120。富山に向かうにつれ、お客さんがドンドン乗ってきてキハ120名物(と勝手に私が思っている)のボックス独占は、ままならない状況に。青春18きっぷ最終盤で、明らかに同業者と思われる人もバッグをひざに載せたりと慌ただしい

私は富山まで行かず速星で下車。猪谷から約40分。もう富山までは3区間で10キロもありません。旧婦中町の中心駅。文字だけ見ると「何て読むのか」と、いろいろ考えてしまいますが、ご覧の通り訓読みを並べて「はやほし」と普通。全国の難読駅を見ている人こそ引っかかる、ある意味難読駅かもしれません。地名で駅から近い速星神社にちなむようです

地図でも描かれているぐらい大きな構内、多くの側線を持ちます

高山本線では貴重な駅

これは隣接する日産化学の工場につながるもので当駅は今も現役の貨物駅。そして現在の高山本線では唯一の貨物列車が運行されている路線となっています。高山本線においては貴重な駅

駅舎は

歩行者用の屋根が設置されていて少し分かりにくいですが、1927年(昭2)からの開業時のもの。駅舎の広さも維持されています

指指確認の文字は古そうです

みどりの窓口あり。富山中心部へのベッドタウンで利用者は増加傾向。一部の特急も停車する乗客4ケタの駅ですが、みどりの窓口については危うい状況のようです

立体型というか駅舎から少し飛び出る形の表示がいいですね。というか「全線きっぷうりば」をずっと見てきたのでJR西日本区間に入ったことを実感します

立派な駅名板。書かれた方の署名があるようですが達筆すぎて読めず。すいません

駅舎内の待合も立派です。冬場は大いに助かりそう

せっかくテレビまであるのだから、これならいくらでも時間をつぶせそうですが、あるあるというか、こういう時に限って時間がない。事前に決めた「どうしても行く駅」がある。列車はしばらく来ないのですが、とにかくそちらに向かいます

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~キハ120で「いつもの」旅

9月9日9時

JR東海から西日本へ

昨日に続いて猪谷にやって来ました。ただ今日は強制乗り換えのためです。社境の駅なので普通については運行が分断されます

背後の景色を見ると飛騨山地を抜けてきた、という気分になります

私が前日乗車した列車は先に行けませんでしたが原則的には富山側からも高山側からも乗り継ぎができるダイヤとなっています。すぐ発車の場合もありますが私の乗車列車は15分ほどの乗り継ぎ時間がありました

当然ながら国鉄時代は社境をまたぐ列車が運転され、JRになっても猪谷をまたいでいて、昨日も紹介したJR移管後1年の1988年時刻表によると富山側から高山を目指す列車は乗り継ぎが設定されていないものを除くとすべてが直通運転。高山側からも乗り換えがあるのは1本だけです

そして普通の本数については今とあまり変わらないことに気付きます

ローカル線の過去の時刻表を見ると、以前の本数の多さに驚かされることがしばしばで1日3往復と閑散区間の代名詞のようになっている芸備線の備中神代~備後落合は当時(多いか少ないかは別としても)8往復が運行されていました

現在高山~猪谷は1日8往復で、うち猪谷で富山行きにスムーズに乗り換えられるのは6本(少!)ですが、88年のダイヤも富山発が6本、高山発が8本とほぼ同じ。むしろ岐阜から富山まで直通する優等列車が急行の2本だけしかなく、後は鵜沼から名鉄に入る特急北アルプス(懐かしい)があるだけなので、4本の特急が富山まで直通する現在の方がむしろ本数が多いと言えます

本線だけど地方交通線

「本線」を名乗りますが高山本線は地方交通線です。本州にある本線では唯一の地方交通線です。全長225キロと東海道本線だと東京から掛川あたりまで行っていまうので、なかなかの距離。日本海側から(岐阜を経由して)太平洋側まで抜ける鉄路は重要で大正時代の1920年から工事が始まり、山間部の狭路を通す難工事ながら、たった14年で全通しました

戦後に車社会の波が押し寄せ、各地の山間部ローカル線が苦戦する中、高山、下呂を筆頭に特級の観光地を持つため、一定の需要があります。また岐阜近辺と富山近辺では、それぞれ通勤通学の足として多く利用されています

岐阜近辺の利用者を見ていると複線電化してもいいのではないかと思えるぐらいですが、全線が単線非電化。特急の運行もあるため多くの駅ですれ違いが可能な構造となっています

マイカーですか

さて前日、猪谷まで乗車した時のこと

猪谷直前の車内の様子ですが、お客さんの少なさを言いたいわけではありません。猪谷から先は乗り継ぎがないのですから、こんなものでしょう

言いたいのは車内。まるで大都市圏の電車に乗っているかのようです。JR東海のキハ25ですが、とてもじゃないけど、1日8本のローカル線という感じではない。乗り心地も大変良い。気動車の感じではありません

それもそのはずで、つい先日まで名古屋市内まで通勤通学の足として多くの利用者を運んでいた武豊線が電化されたことで、その列車がゾロゾロと高山本線にやってきました。編成上、単行運転というのはありません

これから乗るのはキハ120。JR西日本のローカル線ではおなじみです。キハ25はこの世に登場してまだ10年ちょっと。キハ120は30歳ぐらいで、ちょっと年季が入っています

こうして並ぶと、若干若さの違いを感じますか

もっとも私にとっては乗る機会が多いキハ120の方が青春18きっぷの際は落ち着くといえば落ち着く。このあたりは個人の感想だけの話

カーテン、ボックス独り占めなどなど、私にとってはなじみの光景

気動車独特の音とともにJR西日本区間を走り始めました

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~岐阜県最北の駅はツイッターでお世話に

杉原駅の駅名標

9月9日7時

18きっぷの最終日

期限ギリギリ青春18きっぷの5回目、最終日を迎えました。9月9日ということで服装は盛夏のものですが、さすが山中とあって、この時間は肌寒い。秋の訪れを感じます

宿泊したホテルは高山駅からすぐ。そもそもの朝食やこの後、お昼がどうなるか分からないので駅前のコンビニで食料を買っておく。高校生や通勤の人でコンビニはにぎわっていました

これが本日の朝食。昨日はたまたま飛騨古川でお昼を食べられたので名古屋のコンビニで購入しておいた菓子パンも残っています。写真では駅前に誰もいないようになっていますが、この時間にはもちろんそれなりの人がいて、駅前のベンチでムシャムシャとコンビニおにぎりを食べるオッサンを見てどう思ったのか(笑)。ここは高山という大きな駅ですが、ローカル線の駅巡りの際に出会うコンビニは私に言わせれば神です。勝手に「神駅」と呼んでいます。その度にコンビニの駐車場でムシャムシャ食っています

しかしコンビニなんて最近のもので20年以上前は各地に今ほどあったわけではなく、その時自分はどうしていたんだろうと、ふと考える時があるのですが全く思い出せません。おそらく当時は地方の小さな駅で降りても食堂や商店があったのでしょう

猪谷行きに乗ります。美濃太田が始発の列車。高山駅では乗務員の交代が行われていました

岐阜県最北の駅

トコトコ揺られること1時間ちょっと。岐阜県最北の駅である杉原に到着しました

基本的には宮川に沿って線路が敷かれていますが、ここから富山側で県境が宮川に引かれていて川が蛇行しているため、線路としては富山県に入って一度岐阜県に戻った後、再び岐阜県に入る形になっています

駅舎です

木造のトタン屋根。高山本線でも何度か見た雪口仕様。朝霧に包まれていて雰囲気があります

開業時からのものです

そしてこの駅舎の写真は、私のツイッターのヘッダー写真となっています。お世話になっている駅。ちなみにアイコンは山陰本線の長門粟野駅

そんな当駅の乗降者数は

1日1人!

2019年のもので私が見ている統計では高山本線内の圧倒的最下位。次が渚駅の5人で、1ケタはこの2駅のみ。「乗降」ですから、日々同じ駅を利用する人がいた場合は最低単位は「2」となりそうですが、とにかく1人です。しかもコロナ前のものなので、その後の数字は分かりません

時刻表はこんな感じ。通勤通学に配慮した運行となっているようです

もちろん無人駅ですが国鉄末期ごろまでは駅員さんもいたようで、左側にある、おそらく手荷物扱いだった窓口も現役だったようです

貨物の取り扱いもあったらしくヤードが残っています

また現在は廃止されたスキー場の利用者でにぎわっていた時期もあり、私の手元にあるJR移管後1年の時刻表(復刻版)には急行「のりくら」について「12月25日から3月10日は杉原停車」と記してあります。急行がなくなった後も特急の臨時停車がありました

それでも県境の駅として、お隣の猪谷までが8・7キロと長いので列車交換をはじめとして運行には欠かせない駅

ホームには駅舎から階段を降ります

駅名板はかっこいい

毎回のように繰り返していますが利用者は1人でも駅名標はピカピカ。次の猪谷で降りるとJR西日本の駅名標となります

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宿も取らずに青春18きっぷで高山本線に突っ込んでみる~下があれば上も中もある

9月8日15時40分

駅名に惹かれる

上呂で降りました

お分かりでしょうが駅名に惹かれました

下呂については知らない人を探すのが難しいぐらいでしょう。下呂温泉は誰もが知る有名温泉地で高山本線においても美濃太田以北では高山と並ぶ重要駅。しかし地元の方には誠に申し訳ありませんが、私は「上呂」があることは結構最近まで知りませんでした。ここはぜひとも降りなければなりません

現在は下呂駅と同じ下呂市にありますが平成の合併の前までは萩原町でした。お隣の飛騨萩原が中心駅。駅を降りるとすぐ川で、高山本線と並行して走る国道41号が駅の横を走り、川の向こうにも街が広がっています

駅舎は開業時の1933年からのもののようで木造駅舎が残ります

ユニークなのは

こちらの部分。駅舎入口の駅名板とは別に、1文字ずつ「上」「呂」「駅」と3つセパレートされていて、しかも屋根付きという凝った仕様。実は当ブログのヘッダー部分にも、こちらの写真を使っていたことがありました。書体も独特というか「駅」の「馬」の部分、これは初めて見ました。手書きでしょうが、いつからあるものか分かりませんでした

駅名がセパレートされているのは、たまに見かけることがあり、印象に残っているのは

高校野球で有名な箕島駅(和歌山県・紀勢本線、2021年3月撮影)。近い場所に2つの駅名板が並んでいました。ただ、こちらは左側が明らかにJR移管後だということが分かる

上呂駅の場合は

駅舎入口にも年代ものの駅名板があります。この2つが見られただけで来た甲斐があったと思いました

中呂もあります

さて、これは旅から帰って調べて分かったのですが「上呂」「下呂」の間に「中呂」もあるのです。もちろん今もある地名。もちろん初めて知りました。高山本線の上りは上呂→飛騨萩原→禅昌寺→下呂と続くのですが、禅昌寺駅の住所が下呂市萩原町中呂。もっとも駅名は名刹であるお寺に由来するもので上呂より先に開業した禅昌寺駅は当初からの駅名。「3つの呂があれば良かったのに」などと鉄オタ的な考えではバチが当たりそう

いずれも、かなり以前からある地名で飛騨川の上流から「上呂」「中呂」「下呂」となっていて、「呂」というのは一般的に川に基づく意味を持ちます。古代の駅家(「えき」と読む宿場。日本に鉄道ができてステーションを和訳する際に用いられることとなった)の当地の名前が「上留」「下留」だったことに基づく、という説があるようです

上呂も小さな階段を上がってホームに向かいます。なお早朝と深夜近くには快速運転を行う普通が通過する無人駅ですが、さわやかウォーキングの開催日に一部の「ひだ」が臨時停車を行うこともあり、多くの人が利用するようです

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