牟岐駅

牟岐線の木造駅舎紹介11~路線名の駅は絶品の駅舎

牟岐駅の駅名標

※訪問は2023年7月20日

30年にわたる終着駅

牟岐駅に到着。戦時中の1942年(昭和17)に牟岐線は日和佐から当駅まで到達した。それ以前から路線名は牟岐線となっていて、この時期に工事が進んだのは、とにかく牟岐までは延伸するという強い意志を感じさせる。駅舎は当時からの豪華なもの。戦時中に建てられたものとは思えない

牟岐線という路線名は終着駅の意味があったから。ここから先は「阿佐線」として高知県に入り、後免で土讃線と合流する長大な計画だったが、戦時下で実現せず。この壮大な夢は戦後に工事が再開され、国鉄や阿佐海岸鉄道、土佐くろしお鉄道によって一部が実現したものの、室戸岬には達することなく現在に至っている

いずれにせよ牟岐から先に鉄路が延びたのは1973年(昭和48)だから30年以上にわたって終着駅だったことになる

周辺は牟岐町の中心部。メイン国道の55号から少し奥まった所にあるが、駅前のロータリーも広大ですぐに駅が分かる。港も近い。よく「むき」と読まれてしまうが、正しくは「むぎ]である

左側の建物も国鉄時代からのものだが、現在は使用されていないようで、お手洗いが残るのみとなっている

牟岐駅に来るのは3度目だが初めて気付いた。前回の東京五輪(1964年)の際、聖火が通ったようだ

古い案内板が復活

直営駅にして有人駅。当駅止まりの列車も多数設定されていて、終着の阿波海南に向かう列車も当駅で乗務員の交代が行われる。現在の牟岐線の運用は途中駅では徳島、阿南、当駅のほかは1日2・5往復が設定されている桑野以外に始発着の設定はない。また以前から行われていた当駅以南の特急車両による間合い運行は1日1往復となった現在も継続されていて、朝の上り(徳島行き)は阿波海南駅を始発の普通列車として出発した後、牟岐から特急「むろと」となる

駅舎内には四国内で活躍の列車の写真が掲げられていた

駅舎から1面2線のホームへは構内踏切を利用する。ホーム上屋も開業時からのもののようだ

ホームは1面2線の島式だが構内は広い

多くの側線があって現役

そんな中、初めて見たものがあった

大切に掲げられている。駅員さんに尋ねると、今年になって他の駅でゴミ扱いになっていたものが見つかり、「行先」だった牟岐駅に到着したそうだ。貴重な駅名板や駅名標が、いつの間にか消えて、どこかに行ってしまった例は枚挙にいとまがないが、このような事例を目にするとうれしいものがある

実は、いわゆる木造駅舎はこの牟岐駅まで。この先は鉄建公団によって工事が行われたため、線路の雰囲気も変わるが、終着駅の阿波海南まで残り10キロを目指す

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牟岐線の一部区間ではJRの乗車券でバスに乗車できます

阿南駅の駅名標

JRの時刻表にバスの時刻が

牟岐線の運行上の重要駅、阿南です

徳島から当駅までは昼間も30分間隔の運行が行われていますが、当駅から先(南側)は昼間は2時間に1本と、急に本数が少なくなります

その阿南駅の時刻表ですが

あれ?と不思議な感じがします。JRの時刻表に徳島バスの時刻表が併記されているのです。あまり見かけない、というか見たことのない時刻表です

結論から言うと、ここ阿南から南側はJRのきっぷで徳島バスに乗車することができるのです。災害などによる代行バス以外で、JRの乗車券で路線バスに乗車できるなんてことは基本的にあり得ません。なぜなら両者は競合関係の間柄だからです

長距離バスの一部区間を鉄道と共用

まずシステムから説明すると、適用があるのは徳島バスの「室戸・生見・阿南-大阪線」線。高知県を出て大阪へと至る長距離高速バスですが、その中の阿南~甲浦間では途中乗降ができる上、その中の阿南~海部高校間はJRの乗車券を持っていればバスに乗車できるという制度。牟岐線は徳島から終点の阿波海南までの距離が78キロしかなく、徳島から乗車した場合は、きっぷの制度上、途中下車はできないのですが、徳島バスに乗る場合は阿南の改札口を出て乗り換えること可能で、普通乗車券はもちろん、各種企画乗車券も利用可。青春18きっぷも利用できます

この制度には牟岐線のダイヤ変更が大いにリンクしています。牟岐線では特急「むろと」が1日3往復運行されていたのですが、2019年に徳島~阿南間を30分に1本の普通として運行を開始した結果、特急の運行が朝夕の1往復のみとなってしまいました。他はすべて普通列車で、特急停車駅である主要駅間の輸送が大変不便となってしまいました

それを解消するための制度が、徳島バスとの共用ですが、元々が競合会社同士ですので、その両社が手を結ぶのは独占禁止法違反になるということで、簡単にはできないことだったのですが2020年に地方交通については特例が認められたことで法的な問題はクリア。昨年4月に運用が開始されました

途中利用できる駅と停留所は阿南→阿波橘駅→由岐→日和佐→牟岐→浅川→阿波海南となっています

JRの時刻表にもバスの時刻表を掲載することが運用の条件となっています

田井ノ浜の帰りに利用

私は7月20日に利用しました

田井ノ浜訪問後、由岐まで歩いてきた私ですが由岐駅到着は13時半ごろ

大変立派な駅舎を持っているのですが、問題はダイヤで

ここからさらに南下して阿波海南方面へと向かうには、次の列車は14時52分で1時間半近くもあります。ただ列車より1時間近く早い13時55分にバスがあり、これは便利

駅舎向かいの役場前にバス停があり、こちらで待っていると

バスがやって来ました。JRの乗車券を見せてから乗り込みます。この日私が利用したのはJR四国のバースデーきっぷ。行く先を告げて着席します

この区間は空いている座席に座るシステムとなっています。私が目指すのは牟岐でしたが3人かけ使用のバスは快適。電源コンセントもありました

約30分で牟岐へと到着。バスの問題点として停留所が必ずしも駅前ではないという問題があります。牟岐では徳島バスの営業所に停まります。牟岐駅までは徒歩5分ほどですが、私は過去何度か牟岐に来たことがあるため困ることはなく、おそらく初めての人でも駅へ迷うことなく行けるとは思います

もっともJRなどの注意書きを見ると阿波橘駅に対応する「橘営業所」については「駅から1・5キロ離れています」と書かれているため、こちらは要注意

今年5月には牟岐線の終点である阿波海南駅に近い海部高校前停留所も対象となり、利便性は増しています。うまくバスを利用して牟岐線の旅を楽しみましょう

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