青春18きっぷ

衝撃的な発表~青春18きっぷの大幅ルール変更について

今年夏の青春18きっぷ

8月の中央本線で出会った光景

8月に中央本線の普通に乗車した時のこと。2両編成の車内は混み合っていました。その中に見るから大学の山岳部か山岳サークルであることが分かる大きなリュックを背負った10人以上の男女グループ。奈良井で下車したのですが、到着直前にリーダーらしき方が「18きっぷ持っている人は誰?再確認して5人ずつのグループに分かれよう」と声かけしました。「ハイ、私が」と女性が答え、別の人に手渡しました。見ると、手には何枚もの青春18きっぷ。会計係もしているようで財布を兼ねた大きな袋と枚数を何度も確認している。皆さん、どう見ても同業者(鉄道ファン)ではない。過去、何度も18きっぷのグループ利用を目撃しましたが、同業者以外の利用に出会ったのは初めて。「こんな使い方もあるんだなぁ」と大いに感心しました……

というエピソードを現在進行中の中央西線の駅巡りで入れ込もうとしていたら、昨日衝撃的な発表がありました。今冬からの18きっぷのルール変更です

大きな変更点は2つ

1.現在5日間利用できる18きっぷに加え、新たに3日間バージョンを販売する。ただしいずれも5日連続もしくは3日連続で使用しなければならない

2.グループ利用はできない

影響が特に大きいのは連続使用のルールです

これまでの18きっぷは期間内なら、どの5日で使用してもOKで、それが最大のストロングポイントでした。写真は昨年春のもので、間もなく窓口が閉鎖される青森県の川部駅で購入した後、小山駅(栃木県)からの両毛線に始まり、松阪(三重県)からの名松線、後はにじんで見えにくいですが、豊岡(兵庫県)を中心とした山陰本線、岡山を中心にした山陽本線で利用しました。今夏は、ほぼ長野県内で2日と3日に分けて利用しましたが、今春は空路入った新潟駅で購入した後、松本(長野県)、一ノ関(岩手県)、三ノ宮(兵庫県)、三次(広島県)と、これまた全国各地。とにかく期限内であれば、どう使ってもいいのですが、今回のルール変更でそれもできなくなります

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降り鉄にとっての最重要きっぷ

18きっぷというのは、駅訪問を目的とする者にとっては最重要と言っても過言ではないきっぷです。乗車券は100キロを超えると、きっぷの期限内では途中下車が何度もできる(大都市近郊区間をのぞく)のは有名なルールですが、運行本数の少ないローカル路線では、そのルールはなかなか使えません。一度降りると次の列車が来ない。ではどうするかというと、ダイヤを確認しながら行ったり来たりを繰り返す。ただ戻るという行為は途中下車を逸脱するものですから、別料金となるわけで普通に運賃を支払うと、たちまち高額となってしまうので、18きっぷというのは、駅訪問を目的とする者にとっては最重要と言っても過言ではないきっぷです。乗車券は100キロを超えると、きっぷの期限内では途中下車が何度もできる(大都市近郊区間をのぞく)のは有名なルールですが、運行本数の少ないローカル路線では、そのルールはなかなか使えません。一度降りると次の列車が来ない。ではどうするかというと、ダイヤを確認しながら行ったり来たりを繰り返す。ただ戻るという行為は途中下車を逸脱するものですから、別料金となるわけで普通に運賃を支払うと、たちまち高額となってしまうので、その場合はフリーきっぷが必要。では万能なフリーきっぷは何かとなると必然的にJR各社の移動が自由な18きっぷとなります

また訪問駅のほとんどが優等列車の停まらない駅なので、特急に乗る必要はなく、そもそも現状ではJRの路線の多くは優等列車の走らないところが圧倒的。そういう意味でも18きっぷは極めて有能なきっぷなのですが、利用日から3日間もしくは5日間連続で使用しなければならないとなると、行動エリアが限られてしまいます。さらにはたまたま空いた日ができたので、日帰りでフラリという自由きままな近場旅もできなくなります。突き詰めると普通に働いている社会人で5日間のお休みが、そう簡単にはとれないという原点的な問題もあります

ストロングポイントと今後の不安

今回のルール変更で唯一ともいえるストロングポイントは「自動改札機を利用できる」ということ。自動改札機があるということは、それなりに利用者が多い駅となりますが、これは過去何度か触れてきた話で時間のかかる先客がいた場合のストレスがハンパない

また関西圏の方は分かると思いますが、1日の利用者が1万人になろうかという駅でも時間別の無人化が進んでいて、そこにあるのはこちら

今、18きっぷを置いていますが、インターホンでオペレーターとつながらない限りは改札の通り抜けができません。このストレスはなかなかのもので、近年私は18きっぷでは関西圏の自動改札機がありそうな駅はできるだけ避けるようにしています。昨春の和田岬線103系終了の時は、たまたま18きっぷシーズンだったこともあり、長蛇の列となっていました。7月に北海道&東日本パスを利用した際も、このストレスがない良さを実感しましたが、東京都心から離れていくと、当然ですが自動改札機のない駅ばかりになるので、ルール変更の困った点と良かった点を天秤にかけると、その重みははっきりします

北海道&東日本パスの話が出たところで、もうひとつ気になるのは他のフリーきっぷへの影響です

北海道&東日本パスについては、こちらで説明していますが、問題は料金

今夏までは7日間利用で1万1330円でした。5日間利用の18きっぷ1万2050円より安いのですが、この料金は維持されるのでしょうか?

強制連続利用ということで18きっぷより安価になっていると私は理解していましたが、もし現行の料金のままだったら、JR北海道と東日本しか乗らないという条件下では、今後圧倒的にお得になります。しかもこちらは三セクにも乗れる。現実の私は5日間のみの利用でしたが、大いに元を取りました

フリーきっぷといえば、年に一度のこちらも気になります

秋の乗り放題パス。冬季の18きっぷの3日間用とルールは全く同じで自動改札機も通れます。3日間用18きっぷは1万円。随分と差がありますが、どうなるのでしょうか。まず5日で1万2050円、3日で1万円というのは、ちょっと割高すぎる気がします。3日で1万円ということは1日3333円。乗ってみると分かりますが、在来線の3333円って意外とハードルが高い。分かりやすい例を挙げると大阪から名古屋までの乗車券が3410円です。日帰りではなく、そこからさらに2日間、利用しなければならないことを考えると、かなり乗ったり降りたりしなければならないことがお分かりかと思います

今回のルール変更は駅員の削減、負担減ともうひとつ、金券ショップ対策があると思っています。途中まで利用したきっぷの転売を防ごうという意思が見えます。また利用初日が決まっているので、仮に残り2日間の期限があっても、ショップは売れ残りのリスクを考えると引き取りにくい。この理由はあくまで私の想像ですが、私的に確定しているのは、今冬の旅はちょっと考え直さなければならないということです

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北海道フリーパスと青春18きっぷ~自らの体験で比較

旅の質量で異なるが

12月10日から青春18きっぷの利用期間が始まります。私のような駅巡り中心でローカル線の比重が高い者にとっても、乗り潰しがメインの人でも重宝なきっぷですが、これが北海道となると多少事情が異なります。とにかく北海道は広い上、エリアによっては普通列車の運行が極めて少なく、特急に乗車せざるを得ない区間があるからです。その反面、普通しか走っていない区間もあり、その意味では廃線を控えた根室本線の富良野~新得間は、旭川~富良野の富良野線も、滝川~富良野の根室本線も青春18きっぷにはピッタリかもしれません

その一方でJR北海道では7日間、道内の在来線特急に加え、一部のJRバスも乗り放題(指定席は6回まで)という北海道フリーパスを発売しています

料金は写真で分かるように青春18きっぷが1万2050円で北海道フリーパスが2万7430円と約2倍。前者は利用期間が決まっているのに対し、後者は通年発売です。ただ年末年始とGW、お盆の期間は利用できません

大きく異なるのは青春18きっぷが期間内であれば、任意の5日間を選べるのに対し、北海道フリーパスは最初の利用日から7日間という縛りがあること。つまり北海道フリーパスを利用するのなら、まとまった休み、最低でも4~5日は道内に滞在しないと慌ただしいだけになってしまうどころか、元をとれなくなってしまいます。つまり旅の質と量によって利用法も変わってくるのですが、8月31日から9月5日までの6日間という青春18きっぷ期間に北海道を訪れ、北海道フリーパスを使用したので、料金を比較してみることにしました

ただ、これはあくまで宗谷本線の不通というアクシデントも含めた結果から導き出したものであることをご了承ください

実際の行程

まずは実際の行程ですが

8月31日

旭川空港に到着後、旭川駅で北海道フリーパスを購入して

宗谷本線をウロウロ→士別から特急で稚内へ→稚内から抜海へ行き、抜海泊

9月1日

大雨で宗谷本線不通につき、稚内から長距離バスで札幌へ→特急で札幌~旭川、旭川泊

9月2日

旭川~富良野→富良野~落合をウロウロ→富良野~滝川、滝川泊

9月3日

滝川~茂尻をウロウロ→滝川~札幌をウロウロ、札幌泊

9月4日

札幌~長万部(特急ニセコ)→長万部~昆布、昆布泊

9月5日

蘭越~新千歳空港をウロウロ→飛行機で帰阪

となりました

5月にも北海道フリーパスを利用していて、この時は

かなり特急に乗車したこともあって大幅に元をとっていますが、今回は特急に乗車したのは、わずか3回のみ。その意味でも比較しやすいものとなったかと思います

6日のうち1日は18きっぷを使用せず

実際の旅は6日間で18きっぷは5日分しか利用できませんが、冒頭で宗谷本線の不通があったと記した通り、うち1日は18きっぷの登板はなく終わります。その面でも、あくまで結果から逆算したものとなりますが、まず特急課金をしたとして利用した料金は以下の通り

士別~稚内 乗車券4840円+特急券2420円=7260円

札幌~旭川 乗車券2860円+特急券1830円=4690円

札幌~長万部 乗車券3630円+特急券2730円=6360円

特急ニセコは全席指定席なので指定席、他は自由席ですが、この3列車を合わせると1万8310円で18きっぷの1万2050円を合わせると3万360円。北海道フリーパスに軍配が上がりますが、特急ニセコについては、前日にダメ元で滝川駅の窓口に行ったら、たまたま空席があっただけで、そうでなければ小樽から函館本線の山線をトコトコ走っていたことになるので、だとすると、この6360円がなくなって2万4000円。他の2つの特急は絶対に乗らなければならないものですが、それでも18きっぷの方がお安い

今回の旅は最終日にもアクシデントがあり、山線で小樽までたどり着いた時に千歳線のダイヤが大幅に乱れていることを知りました。朝から好天で天候のことなど全く気にかけないでいたのですが、朝に千歳付近で大雨があり、一時千歳線や室蘭本線がストップしていたとのこと。時間はたっぷりあったのですが、飛行機に乗れないのだけはマズいと、とにかく慌てて千歳方面へと向かい、楽勝だろうと思っていた小樽~札幌のいくつかの駅は素通りすることになりました

さすが北海道の大動脈路線とあって千歳に着くころには通常ダイヤに戻っていましたが、今回の旅では特急に乗車した回数が少なかったので、長万部に出て室蘭本線の特急で千歳に向かおうなんて邪心を出したら危険なところでした

北海道フリーパスと普通料金を支払った場合の比較については、特急わずか3回の利用でしたが、こちらは行ったり来たりを多数繰り返したため、もちろんプラス収支となっています

気になる今後

北海道の旅というのは、天候によるアクシデントがつきもので、特に寒い時期はその可能性も高くなります。私のように自分のいる場所は何ともなくても離れた場所は全く違う天候となっていることも多い。18きっぷのみの北海道の旅は危険度が増すというのが私の基本的な考えですが、思わぬ出費が生じることもある、という前提できっぷの使い分けをしていただければと思います

さて先日、JR北海道から発表があり、来春から室蘭本線、石勝線経由根室本線の特急について「全席指定席」になるとのこと。現在、乗車券のみで利用できる石勝線内については空いている指定席に座れるそうだが、特急の短距離利用が目につく室蘭本線については、どうするのでしょう。券売機のある駅では自由席特急券を買って乗車していたが、そうはいかなくなるので窓口に並ばなければならないのか。えきねっとを使えない人はもちろん、現在25~50キロの特急は自由席630円なのに対し指定席は1160円と大幅値上げげとなってしまう。25キロ以下は320円→850円と倍以上の値上げです

北海道フリーパスについては現在「指定席利用6回まで」となっているが、このルールもそのままでしょうか。いろいろ気になる今後です

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