越中八尾駅

夏の青春18きっぷのシメを今年も高山本線で~訪問手段は鉄道のみの駅で地元の皆さんと触れ合い

東八尾駅の駅名標

※訪問は2023年9月9日

越中八尾から運行が極端に減る

越中八尾から1駅。東八尾で下車し、これで高山本線のJR西日本区間は下車完了

JR西区間の高山本線には運行に大きな特徴があって、富山~越中八尾は多くの区間運行が行われているのに対し、越中八尾~猪谷は極端に本数が減る。これは猪谷を挟んだJR東海区間もそうで、猪谷~飛騨古川は本数が少ない。だが、その中でも路線バスのある駅とない駅があって後者は難易度が増す上、山間部は駅間が離れているため徒歩もままならず、悪条件がそろっている

JR東海区間については、この時に触れたが、JR西区間についてはどうなのかというと、本数が少ない東八尾、笹津、楡原のうち笹津と楡原については、路線バスがかなりある。特に笹津については

昨年同時期に訪れた時の記事で「路線バスが多くいので不安なし」と紹介している

ところが東八尾については、周辺にバス路線というのが走っておらず、なかなか行くのが難しい(正確に言うと徒歩15分ほどのバス停から越中八尾方面へ朝夕に1~2本出ているほか、富山駅行きのバスも早朝に2本出ている)。越中八尾からは約4キロなので、もう少し気候が良ければ歩くが、今の時期、私には無理である

ちなみに周辺が大きな町である越中八尾からもバスでは富山駅まで行けない。付近を走るコミュニティバスがあるだけ。なぜこのようなことになっているかというと、それは高山本線の線形にある

猪谷を出て富山駅に向かう高山本線はしばらく国道41号と併走。楡原、室津の両駅はほぼ国道沿いにあるが、国道が真っ直ぐ富山駅に向かうのに対し、高山本線は大きく西に弧を描き、やや遠回りするように富山駅へと向かう

昭和初期の敷設の際も、八尾町に配慮して弧を描く計画だったが、地元から「これだと八尾の中心部を通らない」との声が出て弧が大きくなった。その後の道路の充実で国道とは大きく異なる経路となったため、路線バスのルートからは外れてしまったのだ。室津から富山駅へは私鉄路線があったことも影響している

越中八尾~富山については列車本数も多い上、特急停車駅にもなっているので訪問難易度は高くないが、東八尾だけがポツンと残る形になっている

戦後生まれで駅舎なし

その東八尾は単式ホームと待合所だけがある駅となっている

こちらが駅の入口。簡易な構造だがお手洗いはちゃんとあって手前の白い建物がお手洗いで、奥の黒い建物が待合所

盛土にあるホームからはのどかな光景が広がる。民家が点在していて他は農地。手前に貨車がポツンと置かれているのが違和感があるようでないのがいい。景色に刺激を与えている

駅の開業は戦後の1956年。それまで越中八尾と笹津の間は駅間が8キロもある上、前述の事情で私鉄路線も路線バスもない。あまりにも不便ということで駅の設置運動が起きて開業となった。当初から1面1線構造の無人駅

私が乗車したのは15時前。すでに下校が始まっていたようで、高校生が降りて四方へと別れていった。駅前は何もないようだが、1日の利用者数は62人。これは猪谷や楡原よりも大きい数字だ

ホームがにぎやかになり

こちらは待合所。翌日に城端線でも見かけたものと同じで老朽化したものが県内で一斉に建て替えられたようだ

東八尾の時刻表。2時間に1本程度の運行で昼間は4時間ほど運行がない。私が乗って来たのは14時46分の猪谷行きで、15時39分の富山行きに乗車する。50分ほどの待機

駅を出たところにあるのは城生神社。角川といい坂上といい、今回の旅は駅近くで神社によく出会う(角川は駅構内だったが)

縦の駅名標とキロポスト。岐阜から205キロもある。本日のスタートは美濃太田だったが、行ったり来たりしながら180キロ近く移動してきたことになる

そんな中、ホームが急ににぎやかになった。付近のウォーキングをされている地元の方々で5人のグループ。皆さん、明らかに私より人生の先輩だ

先頭でやって来た男性に「こんにちは」とあいさつすると、どう見ても地元の人間ではないと瞬時に判断されたようで「どちらから?」。「神戸からです」と答えると、驚いた様子で「なんでここに来たの?」

ここからは北海道の落合駅と同じく「全国の駅を訪問しているんです」と話すと「へー、そんな人がいるんだねぇ」

そのうち後続の方々が合流してきて、男性が「この人、神戸からわざわざ来たんだって。全国の駅を回るのが趣味らしい」と紹介されて、ちょっとしたスター扱いになりかけたが、一人の女性が「そんな趣味は世の中にない」と一言。私についての「取材」は、ここで終了である(笑)

その後、列車到着までの歓談で「何もないのがこのあたりのいいところ」という話になり、そんな環境が気に入られ、有名人の別荘があるということも教えてもらった。なかなか有意義な情報だった

富山に到着。高山本線のキハ120は2両編成で、途中駅からは乗車してきた多くの乗客とともに下車。回収できなかった駅は秋へのお楽しみとしよう

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夏の青春18きっぷのシメを今年も高山本線で~これはムリと関西人の難読駅へ

越中八尾駅の駅名標

※訪問は2023年9月9日

時刻表とにらめっこして出した結論

前記事で絶対オススメとした角川駅の時刻表。現在の時刻は12時半。つまり坂上から11時58分の列車で到着して12時36分の猪谷行きに乗ろうとしている。というか他に乗り物がない。高山寄りの飛騨細江、杉崎は未訪問駅だが、列車は3時間後。飛騨細江までは6キロほどあり、歩いてもおつりが来るぐらいだが、この猛暑の中、山中の国道を歩くのは無理というものだ

そんなこともあり、90分の待ち時間があった坂上でいろいろ考慮した挙げ句に導き出した答えは「今日明日での高山本線全駅訪問は不可能」ということ。青春18きっぷは明日まで。つまり、また来なければならないのだ

ちょうど「氷見線、城端線を三セク化」の報道が出たころだった。こういうのは一度流れが決まると話がどんどん進んでいくものだ(結果としては非電化区間ということで、もう少し時間がかかることになった)

ならば明日は富山から高岡に出て氷見線の各駅を訪問しよう、と急きょ予定変更。早い話が18きっぷの最終日は高山本線でなく氷見線となった。おそらく10月には鉄道の日記念のフリーきっぷが出るはず。高山本線の全駅訪問は、その時に完了させよう

同業者も避ける列車

となると話は早い。高山本線のJR西日本区間では東八尾の1駅のみが未訪問。東八尾へと向かうことにする

ということで今年もやってきた猪谷に約30分。富山県とJR西日本の最初となる当駅には13時7分に到着。ただこの列車には、ほぼ誰も乗っていないぐらいガラガラなのは昨年の経験で知っていた。18きっぷのシーズンに同業者(鉄道ファン)が避けるほど。なぜかというと猪谷で接続も折り返しもないから。猪谷から次の富山行きは15時20分発、高山行きは15時8分。猪谷ではJR東海とJR西日本の列車が接続するダイヤとなっているが、朝と昼はこの1本だけが猪谷で行き止まりとなっている。だから同業者にも人気はなく、一般客は岐阜県内の飛騨古川まででほとんど降りてしまうため、途中から車内は寂しくなる。見たところ、猪谷まで来たのはほぼ全員が同業者のようだが、私を入れて5人だった

時間はあるので国道まで出てみた

ただ猪谷からの乗継ぎが2時間ないと断定するのは、正確には多少異なっていて駅から5分ほど歩いたバス停に行くと富山駅行きの路線バスはそれなりの本数があって、この時間帯なら時間的にちょうどいい13時35分が出ていて、楡原駅、室津駅近辺を通る

また猪谷は特急停車駅なので、富山行きは14時10分、高山方面行きは13時40分にそれぞれ「ひだ」がある。昨年は猪谷で30分待って高山までひだへ特急課金した

そして今回の私はというと

1時間待ちで越中八尾まで特急課金。八尾方面へはバスが通っていないので必然的にこうなる。毎度のことながら猪谷駅の無人駅の駅舎内で急に話し始める券売機にはビックリさせられた(笑)

重厚な駅舎の越中八尾駅

ということでわずか20分、越中八尾に到着。十数年ぶりにやってきた

平成の大合併まで八尾町の中心駅だった。1927年(昭和2)に富山から当駅まで高山本線の祖が開通。駅舎は当時からの立派な豪華な木造である。特急ひだも全列車が停車する

関西人泣かせというか、ほぼ100%「やお」と誤読してしまう。大阪の同名の都市は河内音頭で有名すぎるからだ。大阪府の駅は明治生まれ。読みは異なるが、同名だったので「越中」がつけられたと思われる。この後、列車に乗ると明らかに関西から来たと思われる学生さん風の18キッパー2人が「やつお、とは読めへんな」と話していたが、誰もが同じ感想を持つと思われる

ちょっといい味を出している案内板が残る

カウントダウンに入っているようだが、みどりの窓口が現役

駅名板の横には速星駅と同じく、輝く「みどりの窓口」がある。駅舎内のテレビではプロ野球中継。そういえば速星も駅舎内にテレビがあり、ワイドショーを見た。駅舎内でテレビというのは、ありそうで意外とない素晴らしいサービスだが、無人化されるとどうなってしまうのだろう

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