下油井駅に到着

※訪問は2023年4月29日

一変する景色

岐阜から高山本線を北上すると美濃太田から景色が一変する。それまでは岐阜または名古屋のベッドタウンの印象もあったが、のどかな田園風景が広がり、やがて山中に分け入っていく。美濃太田から約40分

下油井に到着。所在地は岐阜県加茂郡白川町。お隣の駅が飛騨金山。旧国名で言うと、当駅までが美濃、ひとつ向こうは飛騨となる

名古屋駅から始発でやって来た今回の旅程はここに降り立つことが目的だったと言っても過言ではない。岐阜~美濃太田間は昼間も30分に1本の運行があるのに対し、美濃太田以北は2時間に1本程度の運行となる。先に当駅の時刻表を示すと

一定間隔で運行されているわけではないが、多いか少ないかと言われると決して多い方ではない上、駅間が離れていることが多く、名松線のように駅間を徒歩で埋めるのも、なかなか困難である。美濃太田から下呂までの途中駅は8駅しかないが、60キロもある上、自治体が異なるためコミュニティバスや路線バスも少なく、おそらく本日中の全駅訪問は無理だと思われる。そんな中、最優先で駆けつけたのが当駅だ

美しい木造駅舎が健在

駅舎とは反対側のホームで降りると待合室。かなり新しいものかと思ったが

意外と古い。戦後1年経ってのものだった。全国各地を回ると財産票を探すのに苦労することが多いが、JR東海は待合所や新たにできた簡易駅舎にもきっちり入れてくる。常にピカピカの駅名標も含め、細かいところにこだわりを感じさせてくれる

跨線橋を渡ると、お待ちかねの駅舎が見えてきた

美しい木造駅舎と対面である

勝手に抱いた危機感

下油井駅の周辺は小さな集落。駅のすぐ裏側は飛騨川が流れる。高山本線でよく見られる光景で、その分、人の住むスペースは限られる

民家が寄せ合って並ぶが、街並みはすぐに終わる

1日の利用者は50人ほど。もちろん普通のみの停車。今回、訪問先の最優先にしたのは駅の写真を見て「これは1日でも早く行かないとヤバいかも」と思ったからだ。高山本線でも多くの駅舎が簡易化されている。1分1秒でも早く駆けつけよう。だから時刻表うんぬんより、まずはここを目指した

だが真新しい駅名板などを見ていくうちに、そんな考えは杞憂だったのでは、と思い至るようになる。駅名板の下に財産票があるが、もっと分かりやすいものがあった

「昭和三年三月二十一日開業」と掲げられている。おそらく当時からのものではないだろうか。もちろん駅舎は開業時(1928年)からのもの

下油井駅は高山本線が白川口から飛騨金山まで延伸された時に設置された。たった2区間だけの延伸だが、山中の川沿いを行く路線の敷設はそう簡単ではなかった

開業時から貨物扱いをしていた

貨物ヤードが残る。貨物とは木材である

「東京五輪」との出会い

駅舎前に真新しいベンチがあった。最初に見た時は何だろう?と思ったが、しっかりと解説があった

白川町の木が東京オリンピック・パラリンピックの選手村ビレッジプラザで使用されたとのこと。このベンチは木材の再利用によって作られたそうだ

しっかり刻印もある。「木」へのこだわりを強く感じた。駅前には立派なトイレも設けられている。駅舎もしっかり残るのではないか。そんな安堵の思いで駅をあとにした

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