※訪問は2025年8月26日
時刻表の都合で最初の訪問駅に

豊肥本線からの直通列車なので始発駅である立野での乗降はしなかったが、南阿蘇鉄道となる立野から30分で終点の高森手前となる見晴台で下車。JRから線路を引き継いだ三セクにも、いろいろな規模があって、南阿蘇鉄道高森線は、わずか17・7キロしかない。だから全線乗車しても30分程度。総距離が短いからこそ熊本地震からの復興がかなったのだともいえる
そしてタイトルにもある通り、当駅については何の予備知識もなく降り立ったことをまず断っておく。単に時刻表の都合で最初に降り立った駅となった。ここからの文章では後に私が調べたことも含めながら駅の紹介をしていきたい
三セク移管後の新駅

見晴台駅は1986年(昭和61)の開業。同年4月に三セク移管された後の11月に設置された。同日開業した加勢駅と並んで南阿蘇鉄道の一期生の駅である
三セクの新駅というのは隣駅との距離が短いことが多いが
終点の高森駅までは大した距離ではない。後に出てくるが、もともとは湧水トンネル公園付近に高森駅が設置される予定で、暫定的に現在の場所に設置したおかげで駅前で大きくカーブしている。結果的に暫定的な駅は恒久的な駅になってしまい、そのおかげで見晴台駅から高森駅へは線路をショートカットするように歩けばいいし、そもそも当初の予定通りに高森駅ができれば、あまりにも距離が近すぎて新駅は造られなかっただろう
しかし地図を見ていただければ分かるが、駅の場所は住宅地や市街地ではなく農地だ。実際に駅で降りても周囲に民家は少ない。なぜそんなところに、と思われるかもしれないが、駅名の通り景観を誇る駅だったのだ

こちらは駅前からの景観。実に美しいのだが、この美麗さをウリにしていた駅だったのだ
開業当初、当駅は屋上が展望台になっていた。駅名は特に地名ではない。後に老朽化を理由に現在の建物となったが、屋上というのは維持に手間がかかるものなので、利用者数や訪問者数が合わなかったのかもしれない。熊本地震前のデータでは1日の利用者数は、限りなくゼロに近い1だったという
暑さゆえに
こちらはホーム側から見た駅舎。駅舎に入らずとも出入りできるようになっている

私が当駅に滞在できる時間は20分。外の写真は撮ったので、駅舎内を見る前に暑いので何か買おうと駅舎横に設置されている自販機に近づいてみて驚いた

なんと「午後の紅茶」一択。自販機の定番であるミネラルウォーターもお茶もない
首をひねりながら駅舎内に入ると理由が分かった。ポスターや説明文があった

この駅は午後の紅茶のCM撮影地だったのだ。熊本地震からの復興支援として当駅周辺で上白石萌歌さん主演のCMが撮られ、自販機はセットの一部として設置されたものが、そのまま利用されているものだという
上白石萌歌さんといえば、同じ九州の島原鉄道
大三東駅でのキリンレモンのCMについては、それを知った上で訪問したが、午後の紅茶については認識がなかった。CMでの歌は印象に残っているが、当駅だとは知らなかった

こちらは駅舎内。CMは2016~2018年のものだが、その時に存在を知った人の訪問は今もあるという。当駅で下車したのも乗車したのも私1人だったが、乗務員の方にはもしかすると、そのように見られていたのかもしれない。単に私が無知だっただけとはいえ、降りてみて初めて得た知識は、いつまでも記憶に残るものである


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