※訪問は2025年3月26日
駅舎内の理髪店といえば
駅舎に入る理髪店と聞いて真っ先に思い浮かぶのは

因美線の因幡社駅。2020年の8月23日。予備知識なしで朝8時過ぎに駅に降り立った私は人の気配がするので様子を見たところ

駅舎内に理髪店が入っていて、すでにテレビがつけられていて驚いた記憶がある。駅が無人化された1970年代からずっと入居していたそうだが、私の訪問後まもなく50年の歴史に終止符を打ったようだ
美方高校新聞で歴史を知る

あらためて加斗駅駅舎。加斗という地名は加斗庄という荘園から来ていて鎌倉時代にはすでにあっという。明治の町村制施行で加斗村が誕生し1955年(昭和30)から小浜市。駅舎はおそらく1921年(大正10)の開業時からのものだ

入居する理髪店が営業している時間帯はきっぷ販売も行う。カタカナの「キップ売場」の文字がなかなかいい

駅舎内に2022年の美方高校新聞が張られていた。これだけで歴史が分かるようになっていて、とても優れている。理髪体験記まであって完成度も高いし、上から目線に感じられてしまうと申し訳ないが、長らく記者をした私が高校生の時には、これだけの原稿はとても書けなかったと思う
ほとんどが、この記事の受け売りになってしまうが、店主のご婦人は戦後間もなく加斗駅前で開業した理髪店が実家で、1973年にご主人とともに実家を継いだ。時を同じくして加斗駅は無人駅となり、駅が荒れないように夫婦で駅の掃除をしたり、花を植えたりしていた。JR移管の10年以上前で、国鉄の民営化など、まだ具体化していないころである。
そのような日々の活動を行ううちにJR西日本の社員とも知り合いになり、ボランティア活動を20年以上続けた1995年に理髪店が立ち退かなければならなくなったところで、簡易委託のきっぷ販売を条件に駅舎内での理髪店営業を持ちかけられ、以降30年間営業を続けている。厳密には1973年の無人化から半世紀以上にわたって駅を守ってきた。2018年にご主人が亡くなられた後も、一人で店と駅舎を守り、予約制で理髪店を続けているという。駅や駅付近に住んでいるのではなく、小浜線を利用して毎朝の通勤だ
駅で降りてみて、このような物語に触れることはなかなかないが、たまに出会うと目頭が熱くなってしまう
1日の利用者数は約100人

同じ場所には「加斗の宝物」と書かれた絵が張られていた。当駅とお隣の勢浜駅が旧加斗村の村域にある駅。ただ勢浜駅は小浜市になってからの開業だ

加斗駅の1日あたりの利用者数は108人(2023年)。駅舎には徳川家康の人生訓があり「堪忍は無事長久の基」だそうだ。「うーん」とうなりながら、やって来る列車を待った
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