上総一ノ宮駅の駅名標

※訪問は2023年12月13日

基本的には強制下車

上総一ノ宮に到着。到着というより強制下車である。外房線は当駅を境に運行や運用が大きく変わる。東京、千葉側から見ると茂原そして上総一ノ宮と二段階で運行が減るが、最も変化するのは当駅から。千葉方面からの電車は、ほぼすべてが当駅止まりで先に行くには乗り継ぎが必要となる。昼間については当駅から1時間に2本の運行が1本へとなるため、列車によっては長時間の待機が求められ、また東京からの最大15両という長大編成の電車もここまでで、当駅から先は主に2両編成。地元の人は、あらかじめ乗り換えに便利な車両に陣取るようだが、私のように慣れていないとホームを延々と歩くことになる。また地元の高校が試験中など早めに終わる日は2両編成が大変混み合うので時によっては座席争奪戦が大変なようだ(逆に東京方面へは昼間は100%座れる)

また千葉からずっと続いてきた複線区間は当駅までである。先にも部分的に複線区間が設けられているが、連続しているのはこちらまで。要衝の駅でもある

終着電車が多いということは、大都市圏にある「知名度の高い駅」である。日々通勤通学に利用していると、そこまで行かなくてもホームや車内のアナウンスで駅名がすり込まれる。首都圏なら「籠原」「小金井」は都市名でもないのに知名度は高い。関西圏なら「野洲」「網干」は結構な難読駅であるにもかかわらず、日常的に東海道線や山陽線を利用している人は、ほとんどが読めるはずだ

文字通り「一宮」の町

ただ読めても、そこに何があるか分からない駅とは異なり、当駅については想像が容易である。「ここに上総の国の一宮神社があります」と教えてくれているからだ

玉前神社が上総の国の一宮

駅から徒歩で10分もかからない。元々は玉前が付近の地名だったようだが、いつの間にか付近一帯が一宮と呼ばれるようになり、地名となった。自治体名も一宮町。駅から神社にかけてが町の中心部で裁判所などの国の施設も道中にある

京葉線の朝の快速廃止問題が全国ニュースになった際、千葉市長の声とともに一宮町長のインタビューも流れていた。やはり「一宮」という言葉のメジャー感は大きい

落ち着いた表情の駅舎は東京五輪を前にリニューアルされた。1897年(明治30)に当時の房総鉄道が大網から当駅まで鉄路を伸ばし開業した。全国各地そうだが、寺社仏閣というのは鉄道敷設の大きな要因のひとつである。最初の駅名は「一ノ宮」。後に「上総一ノ宮」となった。駅の住所も「一宮町一宮」だ

東京行きの発着駅なので、もちろん無人駅ではないが、みどりの窓口は2年前に営業を終了。指定席券売機が設置されている

東京五輪の会場にも

跨線橋の奥に自動改札機がある。こちらは新設された東口のもの

こちらは駅前の地図だが、駅舎と逆側には九十九里浜が広がって東京五輪のサーフィン会場になったため、新たにIC乗車のみ対応の東口が設置された

戦国時代には一宮城を巡る大攻防戦が繰り広げられるなど、見どころの多い町でもあるが鉄オタ的には長大編成から2両編成の乗り換えを体感してほしい駅でもある。ここから1時間に1本区間に入る

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