渚駅の駅名標

※訪問は2023年9月9日

ポツンとたたずむ簡易駅舎

渚駅に到着しました。山中にポツンとたたずんでいて周囲はわずかな民家があるのみ

すぐ向こうは飛騨川。国道41号は駅舎と逆側を走っているので駅前を通る車も少ない。飛騨川の向かい側には小さな集落があるが、降りるだけでは一体何のための駅なのか分からなくなってしまうほどだ

これは昔からの渚の集落が1キロ離れたところにあるため。地図だけ見ていると、なぜここに駅が設置されたのかは、ちょっと分からなかった

駅舎はこぶりな簡易型のもの。1998年に現在のものとなっているので、旧駅舎がなくなって25年が経つ

渚=海ではない

駅の所在地は高山市久々野町渚。かつては久々野町に属していたが、2005年に久々野町が高山市になった

渚といえば、海と砂浜をイメージする人が多いだろう。私もその一人。ただ「渚」の意味は「海、川、湖など波の打ち寄せるところ」。つまりは「水際」ということ

おそらく流行歌やテレビ、映画の影響でいつの間にか渚=海という刷り込みがされていたのだと思う

この付近はには、かつて水際を利用した船着き場がいくつかあって、それが地名となったようだ

実は「渚駅」はもうひとつあって長野県松本市のアルピコ交通にも全く同じ駅名がある。松本だから全く海には縁がない

こちらは松本市の中心部に近い。付近が湖だったことが地名となったという。国内に「渚駅」はこの2つしかなく、いずれも海とは無縁な場所にあるのがおもしろいところだ

高山本線の渚駅は駅舎を兼ねた待合室から直接ホームに入る

すれ違い可能な2面2線。両隣の飛騨小坂、久々野とはともに7キロも離れている。もちろん現役の駅だが、どちらかというと遠い両隣の間に設置された山中の信号場の役割を果たしている。行先もホーム別でしっかり分かれているようだ

時刻は8時すぎだが、山中はガスも多い

渚駅の開業は1934年(昭和9)と古いが、全国各地の国鉄駅の多くが有人だった昭和40年代の1969年に早々に無人化されている。駅の立地や両隣が一部の特急停車駅だということもあり、当駅の2022年度の1日の利用者は乗降合わせて6人。高山本線の駅で利用者が1ケタというのはは3駅しかなく(他は杉崎と禅昌寺)、この6人というのは1人の杉崎(これも凄い数字だが、全国を回っていると驚かなくなっている)に次いで下から2番目である

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