※訪問は2024年1月10日

両隣も全く漢字が浮かばない

万能倉駅に到着。狭いホームでの列車交換が行われると平日の9時半というラッシュ終了後の時間帯でもホームは人があふれる

さてサムネにも使用した駅名標の写真をあえてもう1度使用する

当駅もそうだが既出の「みちのうえ」そして「えきや」。初見で3駅を漢字で書ける人は、まずいないだろう。当駅は、かつてあった万能倉村に基づく。ただし駅が開業した1914年(大正3)には周辺の複数の村と合併して駅家村(駅名標の行先のひとつはこう書く)となっていた。ただ駅家村の誕生は1913年と駅が設置される1年前なので、すでに駅名は決まっていたのかもしれない。駅の所在地は今も福山市大字万能倉で地名として残る

かつての山陽道の宿に近く、多くの倉庫があったことが地名の由来ともされる。またこれは駅家の由来にも通じるものがあるのだが、馬の鞍を作る場所があり「ウマノクラ」がなまって「マナグラ」になったという説もあるという。いずれにせよ超難読であることは間違いない。そもそも最後の「倉」が「グラ」と濁音付きになるのが難読に輪をかけている。かくいう私も、今こうして記事を書くまでは「マナクラ」だと思い込んでいて「えっ?」となった次第

開業時からの駅舎

駅舎それも簡易的ではない古いものが残る。規模は小さくなり、手も入っているが、原型は開業時からのものだろう。これは福塩南線においては重要なことで、沿線には古い駅舎がほとんど残っていないのである。というか、ちゃんとした駅舎を見かけることが少ない。そもそも駅舎があったのか、いつ解体されたのかも調べても分からない駅が多い。その中で当駅については10年以上前に無人化されながら、現在もそのままである

改札は消えたが、窓口の跡もしっかり残る

ひとつの要因として、当駅折り返しの列車が設定されていたことがあるのかもしれない。1日に1本、福山をお昼の13時台に出て当駅が終着、15分ほど待機した後に福山行きとして折り返す電車があったが、2021年秋のダイヤ改正で消滅した。湯田村駅の項でも触れたが、現在の福塩南線は1日3往復の井原鉄道直通乗り入れ以外の電車はすべて福山~府中の運行で、区間運転はない。福山を13時台に出る府中行きはないので注意が必要である(井原鉄道乗り入れが1本あるので神辺までは行くことができる)

大正期からの息吹を難読の駅名と合わせて伝える万能倉駅。勝手な考えかもしれないが、難読駅には古い駅舎が似合う気がする。ただ沿線内の様子を眺めていくと駅舎がこのままの姿で残る可能性は小さい気がしてならない。早いうちに木造駅舎の入口に乗っかる「万能倉 MANAGURA STATION」の文字を見つめにいってほしい

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