相生駅

青春18きっぷで相生-岡山を途中下車~いきなりメインディッシュの有年駅

有年駅の駅名標

※状況が変化している可能性があります

兵庫県最古の駅舎が存在していた

相生のひとつお隣で、すぐに私にとってのメインディッシュとなってしまいます。これを最後にしたいため、岡山側からたどる方がいいのか真剣に悩んでしまったほど

有年駅です。「うね」と読みます。さりげなく難読駅。これは2016年10月22日の写真です

このような木製の解説が建てられていました。ここにも記されている通り、開業は1890年というから明治23年。当時の山陽鉄道によって一度神戸からの終着駅となりました(間もなく線路は岡山県まで延びる)。こり山陽鉄道は現在の山陽電鉄とは異なっていて十数年後に国有化され、山陽本線となりました

駅舎はその当時からのもので、兵庫県最古の駅舎として長らく知られていました

駅舎内の様子。みどりの窓口こそありませんが駅員さんのいる駅

と同時に工事が行われていて新しいホームの付け替え作業は完成に近づき

新たな橋上駅舎もほぼ完成

使用も一部が開始されたばかりという状況でした

塩で大いに栄えた駅

駅の所在地は赤穂市。赤穂といえば赤穂浪士の時代から今に至るまで「塩」が大きな産業です。ただ鉄道黎明時に赤穂の町中や沿岸部には路線がなく、塩の運搬は課題でもあり、儲け話でもありました

そこで既存の山陽本線まで何とか線路で結ぼうと、いろいろな案が練られました。当時の大きな町で岡山側にも便利な場所は上郡ですが、地図を見れば分かるように山陽本線は大きく北側に迂回するように敷設されていて、ここまで線路を伸ばすのは無理となって指名されたのが有年。赤穂市の中心部から真っ直ぐ北にある。ということで1921年の大正10年に敷設されたのが播州赤穂~有年の赤穂鉄道

接続駅として有年が大いに栄えたことは駅前の解説にもあります

大変分かりやすい

地図の部分だけを拡大するとこのような形。駅の周辺はいろいろな店舗だけでなく、映画館やダンスホールまであり、大いににぎわっていたことが分かります。もちろん今はその光景は一変していますが、国道2号線の有年駅近辺は今も住宅が多く片側1車線の細い道路となっていることに、名残があります

全国各地には石炭などの鉱山や林業で栄えた駅は数多くありますが、塩で繁栄した駅というのは珍しい。赤穂ならではの話です

ただ戦後間もなく現在の赤穂線が相生から分岐して播州赤穂まで開通すると同時に存在意義がないとして赤穂鉄道は廃線。この赤穂線の影響は非常に大きく、元々岡山までの延伸を目的にしていた現在の山陽電鉄は計画を止めてしまいました。今は支線となって山陽網干が終点となっている網干線は現在の赤穂線のルートでの岡山到達を狙っていました。兵庫県内で完了しているにもかかわらず「山陽」という社名だったり、姫路駅に向かう際、本線と網干線の分岐駅である飾磨駅で網干線の線路が直線的で、本線が大きく弧を描いているのが、そのなごりです

長らくの静かな駅が

1951年の赤穂鉄道廃線後はひっそりと暮らしていた有年駅に変化が訪れたのは2010年代に入ってから。駅を訪れると分かるのですが、駅舎とは反対側に新たに宅地が造成され、駅へのアクセスの利便性を図るため橋上駅舎の構想が持ち上がります

それに伴い、明治以来の駅舎は解体となるのですが、由緒ある駅舎を残そうという運動が持ち上がり2016年は、まさにそのまっただ中

ただ翌2017年9月の時点でも、そのままでした

しかし同年12月24日に訪れると

このような案内とともにすっかり駅舎は姿を消していました。しばしぼう然

右にある旧ホームの上に駅舎は建っていました。もう土台が残っているだけ

山陽本線なんて未来永劫、廃線になることはない路線ですが、地方都市にある古い駅舎を残す難しさを痛感した瞬間でした

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青春18きっぷでちょっと途中下車~相生-岡山の各駅紹介

青春18きっぷ

※各駅の施設が変化している可能があります

新快速で楽々移動

青春18きっぷのシーズンまっただ中。夏の18きっぷは期間も長いため、1年を通じて最も利用者が多い期間。今年は7月20日から9月10日までが利用期間となっています

「JR全線の普通列車が乗り放題」というルールの避けられない運命として普通列車で延々と揺られなければならないのですが、JR西日本の東海道本線、山陽本線の米原~姫路間は在来線の特急を追い越しそうになるスピードスター、新快速が走る18キッパーにとっての人気区間です。個人的なオススメはこの区間を利用して四国の高松に渡るコース。岡山からは快速マリンライナーで、こちらもストレスなく乗車できます

ただ、兵庫県と岡山県の県境越えとなる区間は普通のみの運行。しかも姫路~岡山をダイレクトに結ぶ電車は朝と夜にしかなく、昼間はすべてが相生での乗り換えとなります。これが名高い「相生ダッシュ」を生む原因となっています

相生ダッシュのメカニズム

こちらは2019年9月の相生駅での一コマ。18きっぷ期間最後の週末で朝の9時半。最も各地からの利用者が多そうな時間です。姫路からの電車とは同一平面で乗り換えられるのですが、写真に「殺気」があふれています

しかしなぜ相生での乗り換えを強いられるのでしょう?

それは相生以西では赤穂線が「本線扱い」を受けているからです

姫路から相生を経て西へ向かう山陽本線の電車は昼間はすべてが播州赤穂行き。観光地でもあり、沿線人口も多い播州赤穂へ姫路から直接行けるようになっています。相生からの山陽本線は有年、上郡の山中の2駅で岡山との県境に入ってしまうので、次第に播州赤穂方面が優先されるようになりました

しかも相生から岡山へ向かう電車は1時間に1本しかありません。この電車は姫路方面からの播州赤穂行きと平面接続ですぐ発車するため、18きっぷのシーズンは、岡山の電車に向けて殺到する場面が見られるのです

コロナ禍以前は相生発上郡行きという兵庫県内の2区間で完結する電車が1時間に1本あり、こちらも播州赤穂行きへの接続があったため、姫路から相生までは30分に1本の運行で、こちらに乗れば、早めに相生駅に着いて確実に着席するという戦法がとれたのですが、今は昼間は1時間に1本。余裕を持って岡山行きに座れる電車がこの時間帯はなくなってしまいました

また新快速は原則12両編成ですが、姫路で播州赤穂行きに乗り換え、また相生で岡山行きに乗り換えると編成数がどんどん減っていきます。大阪方面からの播州赤穂行きの直通がない時間帯は姫路駅でも座席争奪戦が起きるので、こちらも要注意。特に12両編成の後ろの方に乗っていると、かなり前まで移動しなければならないので留意しなければなりません。姫路までは15分に1本の新快速があるので、こちらこそは余裕をもって姫路で乗り換えたいものです

相生駅周辺は

そんな相生駅ですが、新幹線駅も併設している割に街の中心部から離れているため、駅前はホテルがあるだけで大変寂しい場所となっています

私がよく訪れていたのは道の駅であるあいおい白龍城。これは冬場の写真ですが温泉が併設されていて風呂に入った後、カキオコを食べにいつも来ていました

相生駅からは歩くと30分近くかかりますがバスだと10分程度(歩くのなら赤穂線の西相生から15分で行けます)

相生~岡山間は68キロ。電車だと約1時間。県境越えをはさんで途中12の駅があります

18きっぷのシーズンは、ほとんど乗ったまま通過されることが多いのですが、せっかく乗り放題、降り放題の青春18きっぷです。岡山市内に近づいていくと本数も増えます。どこかで途中下車して風情を味わってみてはいかがでしょうか。順番に駅紹介をしていきたいと思います

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