※訪問は2024年11月20日
※現在、三岐鉄道の三岐線と北勢線は別々の1日乗車券が必要です
最初の駅は立派な造り

記念すべき三岐線の最初の下車駅は大安。漢字だけ見ると「たいあん」と読んでしまうかもしれないが「だいあん」である。歴史ある駅が多いイメージの三岐線だが、単式ホームながらも当駅には降りた時から新しさが漂っている
三岐の岐は岐阜県の意味
当駅は1931年(昭和6)の開業。三岐線は富田~東藤原が同年7月に開業して同年12月に西藤原までが開業して、ほぼ現在の姿となったが、当初の予定とは違って、今もこの形だ。路線名でおおよその察しはつくが「三」は三重県、「岐」は岐阜県からそれぞれ1文字ずつとったもの。このまま県境の山深い地域を貫いて関ヶ原方面まで敷設されるはずだったが、結果的に西藤原以遠の工事は行われず、早々の1937年に敷設のための鉄道免許が失効。岐阜県に入ることなく路線名だけに岐阜の文字が残った。新たに敷設されたのは戦後に設けられた近鉄富田駅へのわずか1キロの連絡線のみである
このような例は全国にもあり国鉄では越前(福井県)と美濃(岐阜県)を結ぶ予定だった越美線は県境を越えることなく越美北線と越美南線(現長良川鉄道)に分かれたまま終わっているし、山陽地方には行かず兵庫県で完結している山陽電車もある
当駅は最初の開業時に誕生し、当時の所属自治体は梅戸井村。梅戸井駅は今も隣駅として存在するが、駅名となった大安はまだ自治体名としてはなかった。開業時の駅名は地域に基づいて大井田駅だった。その後、1959年に梅戸井村と三里村が合併して大安町が成立。当地がかつて奈良の大安寺の寺領だったことに由来する
一方で駅名はそのまま大井田のままだったが、1986年に現在の駅舎が新たに建てられた際に大安町が建設費を出資して駅名変更となった

大きな駅舎は図書館が併設されている

きっぷ売り場があって、その奥が図書館。大安町は平成の大合併でいなべ市となるが、駅舎が誕生した際は、もちろん大安町の図書館

観光協会も入居している
旧大安町の代表駅
大安町の成立後は、当駅が代表駅の役割を担うようになった
大井田城跡を経て旧大安町役場(現大安支所)の役場の最寄り

駅前の周辺案内図は大安町時代のものが、そのまま残されている

駅へと戻る。窓口の営業時間はかなり長い

駅舎の待合室機能も充実している。そして下車した時にまず思ったのが

かなり「これでもか」と並んでいるホーローの縦型駅名標。まるで北海道の駅のようである。新旧の駅舎が並んでいるのが三岐線の魅力でもある


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