きっぷ

グリーンきっぷの2日間~大糸線の1区間でJR西日本完乗のゴールに感動

糸井川駅の大糸線キハ120

2月22日10時10分

最北のキハ120に乗る

今朝までJR西日本の未乗区間だった上越妙高から糸魚川までの1区間を戻り糸魚川で下車

北陸本線は新幹線開業によりえちごトキめき鉄道となりました。新幹線の改札口とえちごトキめき鉄道の改札口は別で1度外に出る必要がありますが、ほぼ並んでいます

これから乗車するのは大糸線。こちらはJRが運行していて糸魚川ではホームを間借りしています。大糸線の表示もありますね

ホームに降りると

切り欠きホームの向こうには既にキハ120が待っています。JR西日本のローカル線に投入されているキハ120は中国地方のイメージが強いかもしれませんが、北陸でも越美北線、高山本線そして大糸線でも走っていて大糸線が最北の運用。こちらに乗ります

やはりJR西日本のフリーきっぷ旅をするからには道中で1度はキハ120に乗らないと

大糸線の駅名標ですがえちごトキめき鉄道仕様ですね

最後の4キロが残ってしまった

2021年の9月に大糸北線の全駅訪問を行ったことは前回の記事で触れましたが、このときに「やらかし」があったのです。そもそものやらかしは私ではないのですが、その時もグリーンきっぷで大阪から金沢→糸魚川と進んで大糸線に乗車。大糸北線はJR西日本の最後の未乗路線として私的にわざわざとっておいた路線で宿も平岩駅近くの姫川温泉に確保して万全の態勢だったのですが、なんと路線トラブルでサンダーバードの始発が大阪駅から出発できないアクシデント。遅延によって金沢での新幹線接続ができず予定していた大糸線に乗れませんでした。旅程の方は急きょ組み直して全駅訪問は果たしたのですが、本数の少ない大糸線を糸魚川の駅で1時間以上ぼんやり待つのも何だし気候も良かったので「プラプラ歩くか」と散歩がてら姫川まで歩いたのです

線路は4キロありますが、外に膨らんでいるので徒歩はショートカットで進めます。実際はグーグルの行程とは異なり市役所まで真っ直ぐ南下してクニャクニャと細い道を歩きましたが難なくたどり着き、2日で全駅訪問を終えて翌日に糸魚川まで戻ったのですが、列車本数の少なさから帰りは根知駅からバスで糸魚川まで戻りました(糸魚川~根知の路線バスはそこそこの本数がある)

ということは、つまり糸魚川~姫川の1区間は乗らずに終わったわけです

気付いたのは帰宅してから。とはいえ簡単に行ける場所ではないので、ずっと機会を伺い、今回のきっぷが出たのを機に糸魚川~上越妙高とともに訪問することにしました。ですから前日の鳥取県では寒さにヘタレて現地で予定変更しましたが、ここだけは、たとえ吹雪であろうと新幹線と列車が動く限りは決行です

ただ問題は環境で姫川はホームだけの棒状駅で寒さをしのぐ場所がないことは前回の訪問で分かっています。ならば、もう1駅先の頸城大野まで行こう。ここなら駅舎がある。2区間進んでも完乗ですから

選んで良かった

10時31分発の列車はトコトコ進んでいきます

もちろん単行のワンマン運転。南小谷までがJR西日本区間ですべて無人駅。車内は20人ほどのお客さんが乗っていました

姫川を過ぎて無事に全乗ミッション完了。後はウイニングランのようなものですが車窓が急に変わりました

一面の銀世界。ちょっと驚きました。姫川では少し残っている程度だったのですが姫川~頸城大野のたった1・8キロでこんなに変わるとは

ホームに降りた時に「ワーッ」と声が出そうになりました。列車の有効部分だけ、きれいに除雪している姿もいいし

ホームからの眺めも最高

駅舎の姿も美しい

駅舎左手には駐車場ですが車の出入りした形跡はなく、というかもう入れません

右手の駐輪場では手押しで進んだ激戦の跡があります。ちなみに姫川で老夫婦の2人が降り、頸城大野で降りたのは私一人

大糸北線の各駅で見られる書体の駅名板

駅舎内。ただ幸運なことに無風で全く寒くはありません

時刻表。私が降りたのは10時39分の南小谷行きで54分の糸魚川行きに乗るため、わずか15分の滞在。寒さも考慮して短いで済むようにしたのですが、こうも暖かいともっといたかったなぁ、と相変わらず勝手なことを考える(笑)

2人のお客さんがやってきました。糸魚川へ向かうようです

駅名標をしっかり撮って撤退することにします。それにしても大分北線は優等列車どころか快速も走っていないのに私の乗車は必ずグリーンきっぷという路線になっています

この風景を見られたのですから、今にして思うと未乗区間になっていて良かった

松本と糸魚川から少しずつ進んできた大糸線。元々は国防ラインとして計画されましたが大糸北線の中土~小滝がつながって全通したのは戦後の1957年です

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グリーンきっぷの2日間~JR西日本の未乗区間を埋める

北陸新幹線のグリーン指定券

2月22日8時

貸切のグリーン車

もい全国的にもすっかりおなじみの光景。朝の金沢駅。今日の最高気温は6度の予報ですが雪は夜のうちにやんだようで、この時間でかなり少なくなっています

駅前は本当に立派になりましたね。私が金沢にひんぱんに仕事で訪れていたのは20年以上前のことで、当時の金沢駅は全国の都市でありがちな「何もない駅前」でした。町の中心部(繁華街)は香林坊と片町という歩くには、ちょっと距離のある場所で初めて訪れた昭和の時代に駅前のホテルに泊まり困ったのは忘れられない思い出ですが、今は駅近辺と繁華街とは逆方向の港側の再開発が進んで、中心部まで行かなくても完結できるようになっています

例によって牛丼店で朝食。今日はいつお昼を食べられるか分からない日程なのでしっかり食べよう

考えてみればグリーン車ばかりに乗る旅で毎朝牛丼店で朝食というのも妙な話ですが、あくまでもグリーン車は手段のひとつなので食事の豪華さは別問題なのです

金沢からは北陸新幹線に乗車

もちろんグリーンです。6回の権利のうち4回目。元々はやくものパノラマグリーンに乗るためのもので他は別に普通車でもいいのですが、せっかくの権利なのでありがたく利用します

北陸新幹線のグリーンは2回目です。2021年9月以来

落ち着いた色がいい。そしてなぜこのように写真をバンバン撮れているのかというと、車両には私だけの貸切で発車したから。お隣の新高岡で一人乗って、富山からは数人が乗車してきましたが、貸切グリーンというのは、なかなか心地の良いものです

3日間きっぷもあるのだが

さて今回利用した2日間きっぷ。3日間用と5日間用は一人では利用できないと最初に記しましたが実は一人用もある。JRで受け付けるものではなく主要旅行会社で発券してもらう「西なびグリーンパス」というもので、こちらは一人利用も可能。50歳以上などルールはほぼ同じで3日間用が3万円、5日間用が3万5000円と、やや割高(2日間用はない)になりますが、十分に元はとれる料金です

今回もそちらを利用する手はあったのですが、やめました。理由はというと

絶対にローカル線に乗りたくなるから

2年前は5日間の夏休みをとって5日間用を利用。3日間は北陸方面へ行き、1度帰宅して残る2日間は山陰方面に出かけました。つまり今回とは逆の行程でパノラマカーの座席を確保したにもかかわらず「そうでない日」に当たったのは、この時。そして5日間で何をしたかというと

大糸北線(JR西日本管内)の全駅訪問

越美北線の全駅訪問チャレンジ

山陰本線の益田~浜田の全駅訪問

グリーンとは無縁のものばかり(笑)。地方に行くと必ずこうなるというか、ローカル線に乗りたくなるのですよ。ということで今回は煩悩(?)を捨てるべく2日間のきっぷにして日程を凝縮させました

車窓では

雪景色とそうでない景色を見ながら

1時間で上越妙高に到着。昨秋の東日本パスで長岡方面から特急「しらゆき」で来て以来です

石川県から新潟県まで。約170キロを1時間で走るのですから新幹線はやはり速い

昨年10月は、ここから北陸新幹線に乗って軽井沢へと向かいました。その時にふと「糸魚川~上越妙高」が未乗車区間になっていることに気付きました。これはいつか必ず埋めなければならない、と思っていたところで今回のきっぷが登場。新幹線にホイホイ乗れるきっぷというのは、なかなか出ないのでこのチャンスを逃すわけにはいきません

雪の中、しらゆきが停まっていました

いい景色ですね。ただ当然ながら寒い

そして駅名標でも分かるように当駅はJR東日本の管轄。昨秋のきっぷでは、ここから金沢方面には行けず、今回のきっぷでは長野方面に行けないという境界駅

「あなたの持っているきっぷは、ここでは取り扱いできません」と書いてある。でもいいのです。ここからは自由席で金沢へ向けて折り返しますから。滞在30分で金沢行きのはくたかに乗り込みます

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グリーンきっぷの2日間~在来線特急乗り継いで500キロ

スーパーはくとのグリーン指定券

2月21日17時50分

3時間20分の旅

倉吉から3時間20分ほど。終点の京都に到着です。3時間超えは長いといえば長いですが、あっという間に感じました。私鉄の有料特急にもいえることですが在来線特急というのは、都会部分を走る時、多くの人がホームに並んでいる中を悠然とやり過ごすエグゼクティブ感がたまらない。そんな車窓を眺めていると、すぐでした。新幹線にはその感覚は生まれませんから

特にスーパーはくとは姫路~京都間では追加料金なしの電車では凶暴ともいえるスピードを持つ新快速が15分間隔で運行される、その合間をぬって走るので気動車としては驚くべき速さです。当初は電化計画があり、智頭急行側はやる気満々だったそうですが、因美線の電化がJR西日本の予算不足によって実現されず気動車になった経緯があります

姫路を過ぎると車窓からもホームも人の姿が増えていきます。西明石からは複々線ですが、姫路から西明石までは単なる複線。この間は貨物列車も走るし、普通(明石以東は快速になります)も走る。遅延が起きた時、確かに有料特急の存在はじゃまなのかもしれません

ちなみにJR西日本のフリーきっぷは、フリー区間に智頭急行が含まれているものがほとんど。今回のきっぷもそうでした

同一ホームでサンダーバードを待つ

京都に到着。スーパーはくと完乗のミッションは終了しました

有名な0番線ホーム。各地に存在する0番線は切り欠きなことが多いのですが京都駅は違います。そのまま出発できる。案内表示にある18時9分のサンダーバードに乗車します。米子から一気に当日中に金沢まで行くなんて、なかなか強引な移動ですがきっぷの有効期間が2日間しかないのと、この日のうちに金沢まで行かないと翌日の重要ミッションに影響が出るため、この日のうちに移動です

今回の移動で最も乗り継ぎがタイトだったのは、ここで20分しかない。朝の雪で伯備線も数分の遅れが出ていてヒヤヒヤしていましたが無事乗り継げそう

すぐに次の電車が来る(サンダーバードの前に草津線直通が入る)ので慌ただしく作業が行われます

その間、ちょっと外の空気を吸いに行く

寒い。車内でウトウトしていた目が一瞬で覚めました

写真ではよく分からないかもしれませんが雪が舞っています。日が長くなってきたなぁ、なんて感じる余裕はなくすぐ構内に戻る

サンダーバードの入線。おそらく前身の雷鳥時代から何百回も乗っていますが京都から乗車したのは初めてです

そもそも在来線特急同士の乗り換えをした記憶がほとんどない。JR四国で宇和島方面から岡山へと行く際に「宇和海」と「うずしお」を乗り換えたことはあります。四国で働いていた時は高松から同様に「いしづち」「宇和海」を何度も乗り換えました。高知で「南風」と「あしずり」を乗り換えたこともあります。ただこれは予讃線、土讃線という同一路線によるもので、全く赤の他人の路線の乗り換えをしたのはいつ以来なのか全く思い出せません

座席は念願のこの席。念願も何も座席確保の時点で1人席はここしか空いていませんでした。グリーン車って繁忙期以外はそんなに混んでないイメージですが、サンダーバードのグリーンはいつもお客さんでいっぱいの印象です。何か特別な気分に浸れる席です

金沢到着は20時13分。倉吉から520キロの鉄道移動でした。米子からだと570キロ。東京~新大阪より長い距離を移動したことになります。朝の新神戸~岡山~米子を入れると今日は一体どのぐらい乗ったのでしょう…もう計算しません(笑)

それよりも心配なのは、金沢に近づくと夜の車窓からも分かったしんしんと降る雪。明日は少しは暖かくなってほしいと祈るのみです

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グリーンきっぷの2日間~スーパーはくとが京都始発の理由

スーパーはくとのグリーン券

2月21日14時

スーパーはくとのグリーンに初乗車

倉吉駅に戻ってきました

ラーメンを食べたばかりなのに駅弁を購入(笑)

まぁ、食べられますよ。朝の6時の朝食以降は何も食べていなかったのですから。順調に行けば、この後は夜の8時過ぎまで何も食べられません

肉系かカニ系か迷ったのですが、肉系としました

少しだけ時間を戻すと

14時24分発のスーパーはくとに乗るべく改札へ。常時駅員さんがいるステンレス改札は減少する一方なので貴重な鉄道風景になりつつあります

ホームでは既にスーパーはくとがスタンバイ

山陰本線内は倉吉~鳥取間しか走らない上、途中の停車はないので地上ホームとしてはここだけでしか見られない光景です

発車まで10分以上ありますが、さすが始発駅(上り下りの概念だと終着駅)。もう乗れるようです

スーパーはくとのグリーン車は初めて乗ります。入口が格好いい。原則5両編成でグリーンは4号車の半分。スーパーはくとにもパノラマカーはありますが、グリーンは対象となっていません。両端の指定席か自由席がパノラマカーの可能性あり。可能性としたのは私が乗車したのは写真のように貫通式なので、この場合はパノラマにはならないからです

座席は1対2。在来線グリーン車で見る形

グリーンの網棚は飛行機のような開閉式で、細かい部分でこだわりを感じる。なお普通車も含めて電源コンセントあり。後からの設置ですがニーズに対応しています

非電化も高速運転

鳥取から因美線に入り、智頭から智頭急行に乗り入れ。山陽本線の上郡で再びJRの線路に戻り、後は山陽本線と東海道本線をひた走ります

姫路で山陽新幹線と接続するダイヤとなっていて名古屋、東京へスムーズに行けます。もちろん新大阪、京都にも新幹線乗り換えが多少速いですが、乗り換えの面倒と運賃を考えると、ほとんどのお客さんはそのまま乗車すると思われます(ここは重要な点)

智頭急行については改めて取り上げたいと思いますが、元々は国鉄智頭線として計画され工事も始まっていながら、国鉄の経営悪化によって凍結されていた路線が第三セクターとして1994年に開通したものです。特筆すべきはほぼ高架の高規格路線となっていること。鳥取自動車道の全通は2013年で約20年後ですが、自動車専用道に先駆け最高時速130キロという気動車最速の高速運転を実現したことでバスに優位性を逆転されることはありません。好調な路線です

智頭急行の登場は影響が大きく、山陽新幹線+伯備線のルートで近畿圏から米子へのコースが新たにできたのとは対照的に同じ県内の鳥取は速達性という意味で取り残されていたのですが、京都~鳥取間は山陰本線の特急に比べ1時間近くも短縮されました。その後、岡山から鳥取のルートにも利用され、今は特急のスーパーいなばが走ります。考えてみれば岡山と鳥取は隣県で因美線という路線があるにもかかわらず、わざわざ兵庫県経由でしかも上郡でのスイッチバックまでして特急を走らせるというのは凄いアイデアです

気になるニュース

鳥取県の山中に入ると雪景色が広がります

こちらも岡山と鳥取の県境付近、特に岡山側は豪雪地域となっていますが、お構いなしにビュンビュン走ります

そのように利便性に優れたスーパーはくとですが、気になるニュースが昨年5月から入っています。鳥取県知事が「JR西日本がスーパーはくとを姫路発にしようという提案を必ず持ち出してくる」と語ったもので、県議会の答弁ですから公式発言です

スーパーはくとには智頭急行所有の車両が使用されますが、JRは智頭急行に使用料を払っています。この金額が年間15億円で姫路発にすることによって大幅に縮小したい意向のよう。うがった見方をすれば、新幹線からの乗り継ぎにすると新幹線代ももうかると計算しているのでは?とも思ってしまいます

しかし京都からのお客さんは別として大阪や神戸の人がわざわざ新幹線乗り継ぎを選択するとは、とても思えません。新快速で姫路に向かうでしょう。ただいつも混雑している新快速に乗ってから乗り換えるぐらいならバスを選択するというのが普通の考え。好調な輸送が一転、旅客の大幅減を招くのは自明です

そもそも、なぜスーパーはくとが京都始発になっているかというと、山陰本線ルートの代替機能を担っているから。1988年3月の時刻表(復刻版)が手元にあります。既にJRに移管され、伯備線の電化も完了。城崎温泉(当時の駅名は城崎)までも電化されていますが、京都~鳥取は特急「あさしお」が1日3本、大阪~鳥取は、これは今もある特急「はまかぜ」が同じく3本運行されています。城崎止まりの特急も普通や快速での乗り継ぎが設定されていて現行のダイヤよりはるかに多い。これらが智頭急行の登場で、ほぼすべて消滅してしまったわけです。それを今さら京都、大阪からの直行はやめます、では話が成り立たない

ただスーパーはくとの京都~大阪間の利用者が少ないことは鳥取県知事も認めているようです。好調な利用者をわざわざ減らすなど論外なので、落としどころがあるとすれば、そのあたりだと思います

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グリーンきっぷの2日間~山陰本線のダイヤに悶絶

倉吉駅の駅名標

2月21日13時30分

久しぶりの倉吉駅に驚く

倉吉に到着しました。十数年ぶりにやってきましたが、橋上駅舎化され立派になっていてビックリしました。以前来た時は廃線となった倉吉線のホームが残っていたのですが…

ホームの端には記念碑が残っていて

旧跨線橋の橋脚の一部を残しています。神戸工場から運ばれ100年も利用されていたんですね

以前来た時は、もちろんこの跨線橋を使用したのですが、何も考えていませんでした。なくなった後にこのような形で「そうだったんだ」と価値が分かる「鉄道あるある」です

ここからは特急「スーパーはくと」に乗車します

ただ事前に旅程を決める時はそうではなかったのです

JR西日本の在来線特急で乗ったことのない列車が3つあります。「きのさき」「びわこエクスプレス」「おはようエクスプレス&おやすみエクスプレス」。後の2つについては通勤用の特急でそれぞれ東海道本線と北陸本線を走る。もともと本数の多い路線に運行されるので乗車そのもののハードルは高くないように見えて、必ず草津や米原、もしくは敦賀や金沢の宿泊が必要となるので意外と難しい。しかも運行が平日のみという条件が付くシビアさで、どちらかというとあきらめています

それに対しきのさきは京都から城崎温泉に向けて1日4往復もしているので、それほどハードルは高くないはずなのですが、自分の住んでいるところから山陰本線を経ての京都という行程はふだんほとんど使わず、大阪から福知山線を経るこうのとりばかり使うことになります

つまり意図的に乗車しないと乗れないのですが、今回はいい機会なので乗ってみましょうと調べたのですが、鳥取から行こうとすると、これがまた難しい

まず前提として米子から京都を目指す際、鳥取で必ず運行が分断されることが挙げられます。そして鳥取県と兵庫県の県境越えとなる、この区間は優等列車が運行されておらず(1日1本のはまかぜがありますが朝6時発と全く使えない時刻です)、電化区間の城崎温泉まで行ってようやく大阪や京都に向かう特急が出ています

そして鳥取での乗り継ぎがまた厳しい。県境越えの本数が少なくなるのでそうなるのですが、一部の列車を除くと鳥取での双頭な待ち時間を強いられます

鳥取までは特急があります。米子~鳥取は「スーパーまつかぜ」と「スーパーおき」、倉吉~鳥取はスーパーはくともありますが、ここからが辛い。一番驚いたのが今回の旅程に一番合いそうな

米子12時17分発のスーパーまつかぜ。こちらは

鳥取着13時24分

そして

鳥取発城崎温泉行き普通13時19分!

なんじゃあ、それは。椅子の上でズッコケてしまいました。5分ぐらい何とかならんのかい

ちなみに次の鳥取発はと見ると15時12分発と2時間近く待たなければなりません。それだけに、このたった5分を何度も確認してしまいました

この13時19分発に乗った場合、城崎温泉でこうのとりに2分、福知山ではしだてに3分という絶妙な特急乗り換えで18時7分に京都に着くので、鳥取での5分など待っていられないのだと思います。そもそも大阪や京都に行きたいのなら、スーパーはくとに乗ってください、ということなんでしょう

ということで、ハイハイとばかりスーパーはくとに乗ることにしました。そもそも福知山での乗車特急は、きのさきではなくはしだてなので、あっさり変更です

ミッションはスーパーはくと完乗に

だったらということで旅程を組んだ時点で倉吉~京都のスーパーはくと完乗に変更しました。考えてみるとスーパーはくとには数え切れないほど乗っていますが、三ノ宮と鳥取の間しか乗ったことない上、グリーンには乗ったことがないので、これもまたいい経験です

1時間時間があるので、お昼にしましょう

倉吉駅は街の中心部からは離れています。倉吉線で2つ先の打吹という駅が中心部でちょっと歩ける距離ではありません。バスは頻発しています

歴代倉吉駅の経緯も複雑で、まずは現在の倉吉は倉吉駅として開設。その後、倉吉線の前身となる軽便鉄道ができて町の中心部に倉吉駅ができたため、倉吉は上井駅に改称しました。これはすべて明治期の出来事。この状態が60年も続き、やはり特急停車駅が町の顔だろうということで戦後に再び上井から倉吉に駅名が変更され、倉吉は打吹駅となって廃線を迎えました

以前来た時は駅前はなんもないなぁ、と思ったことを覚えていますが、それ以降に発展したようです

食事の場所には困らない感じでしたが、こうも寒いとラーメン一択。身体も温まりました

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グリーンきっぷの2日間~東郷湖畔にたたずむ

松崎駅の駅名標

2月21日11時30分

コナン列車で移動

伯耆大山にやって来た山陰本線はコナン列車。運行開始から10年が経つ人気車両で「名探偵コナン」の作者である青山剛昌さんが北栄町の出身地であることから、コラボが実現しました

その北栄町の由良駅

こちらは前回、米子駅を訪れた際の写真ですが「コナン駅」の愛称が付けられ観光地としても人気スポットとなっています

駅舎内の待合室もコナン仕様。訪問は今とは真逆の季節で、駅からすぐのお好み焼き店で真っ昼間からビールを飲むほどでしたが駅舎内もエアコン完備で快適でした

と書いていくと派手なイメージを持つかもしれませんが駅舎は明治の開設時のものを基本にしているそうです。もっとも今月いっぱいで無人化されます

私が乗車したのは偶然ですがコナン列車の運行ダイヤについては鳥取県のHP「まんが王国とっとり」に掲載されています

再変更で1時間揺られる

さて現実の旅程はというと、またもや変更。個人的なことを言うと、テツ活動においては暑さよりも寒さの方がどちらかといえば耐えられる方なのですが、自分の予想をはるかに超えていたのか、これはいくつも駅は回れんなぁ、となって残りは1駅だけに絞ることに。倉吉からは特急に乗るので食事は買い込んでから車中で済ませばいいので結構駅は回れるのですが、今日はヘタレヤメです。手段も時間もあるのに行程を中止したのは、あまり記憶にありません。駅舎が弱いというか風が入ってきそうな駅は避け(笑)、さらに言えばお手洗いがあること。となると考えたのは倉吉のひとつ向こうの駅

伯耆大山から倉吉までは約1時間

この列車は倉吉止まり。3分の乗り換えで鳥取行きに乗車

キハ40系列となる47。これもJR西日本名物となる通称タラコの登場です。1駅目で降りたのが

松崎。山陰本線らしい木造駅舎です。訪問の時間帯はあまり人はいませんでしたが、1日に800人ほどが乗降します。その乗降を支えているのが

駅からすぐの東郷温泉

駅を出るとすぐ東郷湖。湖の中から温泉が湧くことで知られる人気の温泉地です

東郷湖を挟んだ場所にあるのが、はわい温泉。こちらは温泉を有効に利用するため湖の一部を埋め立てた場所にあります。「日本のハワイ」として話題を集めました。松崎駅は元々、東郷町の代表駅で、はわい温泉の羽合町、そして泊村が合併して湯梨浜町となりました。温泉のお湯、名産の梨、砂浜から文字をとっているそうです

話はそれますが由良駅のお隣には浦安駅があって、当然ながら千葉県の駅より山陰本線の駅の方が古いため、こちらも話題となりました

駅名板の文字も独特ですね。急行の全盛期だった国鉄時代は多くの急行が停車していました。現在は無人駅

駅の開設は明治期ですが駅舎は昭和初期からのもののようです。ステンレス部分は後からできたものでしょうか。窓口も手荷物扱い所も随分しっかりした造りとなっていて多くの利用者がいたことを感じさせます

素敵な文字が残っているのに宣伝で隠れてしまっているのが残念。WESTERの告知なので最近張られたもののようです

ホームはかつての2面3線が2面となっています。現在、優等列車の停車がないのではわい温泉だけでなく、東郷温泉もお隣の倉吉からのアクセスが多くなっているようです

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グリーンきっぷの2日間~山陰本線の駅を巡る

伯耆大山駅の駅名標

2月21日11時

鳥取県唯一の自動改札から

米子駅の改札。鳥取県では唯一、自動改札機を備えた駅となっています

この後、倉吉を14時24分に出るスーパーはくとに乗車予定なので、まだ3時間以上あります。快速はほとんど姿を消してしまいましたが、それでもこの区間には1時間に1本程度の普通が運行されていて、うまく行ったり来たりすれば、いろいろな駅に行けそう

まずは写真の伯備線に乗車します。米子・東山公園・伯耆大山の3駅は山陰本線と伯備線の両列車が走るため本数も多くなっています。まずは「目の保養」となる伯耆大山へ向かいます。伯耆大山に30分ほどいれば、山陰本線の倉吉行きが来るという、ちょうどよいダイヤ

伯備線は電車です。115系改造電車の通称「食パン」。中間車を強引に先頭車に改造したもので、国鉄車両天国の岡山地区にも、いよいよ新車が導入されるようですが伯備線ではしばらく見られそうです

伯耆大山に到着。目の保養と書いたのは広い構内にズラリ貨物車が並んでいるから

最初の駅名は熊党

なかなか壮観な景色ですが、670キロにも及ぶJR最長の山陰本線で貨物列車が見られるのはここだけとなっています。山陰本線で貨物運行はすでに取りやめとなっていて貨物用免許も失効させています(このあたりは北上線と事情は異なります)

ここにあるのは伯備線から岡山に向かう貨物列車。どうでもいい話になるかもしれませんが、伯耆大山は帳簿上の所属は山陰本線で、伯備線では道中、貨物の取り扱いがないため、伯備線は貨物を扱う駅がないのに貨物列車が走る、というクイズのような駅となっています

京都からのキロポスト。下関(正式には幡生)までもうすぐ半分というところ。現在の京都からの営業キロは318・2キロと微妙に合いませんが、現在トロッコ列車が走る京都の旧線部分が組み込まれたものと思われます

国鉄末期に建て替えられた駅舎は美しい曲線を持ちます。明治期に開設された時の駅名は「熊党」。「くまんと」と読みます。駅の近くの地名です

壁の文字も美しい。その一方で昭和時代ゆえの

文字案件も残ったりするなど、いろいろ見どころは多いのですが

ホームの待合室で「エアコン運転中」の文字を見て、すぐ逃げ込んでしまいました。それほどまでに寒い。車窓から雪がないのを見て安心しましたが甘かった。というか風の強さは自分の想像を超える寒さ。とにかく山陰本線の倉吉行きに乗りましょう

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グリーンきっぷの2日間~旧駅舎以来の米子駅

米子駅の駅名標

2月21日10時

2年半ぶりにやってきた

米子駅には伯備線電化40周年のイラストがありました。72年に山陽新幹線の接続路線となって以来、10年かけて全線電化されました。非電化の10年は気動車で初のエル特急が走っています。それほど力が入っていたのです

米子を訪れたのは2年半ぶり。2020年の8月20日に来ています

コンクリート駅舎が役目を終えるということで思いつきのように高速バスに飛び乗りました

当時の写真です。戦後の高度成長期に各地で建てられた国鉄のコンクリート駅舎は現在もそれなりの数が残っていますが、ターミナル駅のビル形式はこの時点で米子と新潟のみ。機能重視でまるで役所のような妙に無機質なたたずまいは愛想のないものですが、いざ消えるとなると寂しいものです

現在は新駅舎建設中。橋上駅舎化されます

こちらの山陰鉄道発祥の地の碑は以前まま

鉄道黎明期に使用された上下が同じ形となっている双頭レールを利用した柱だという説明があります

時刻表の勘違い

米子は島根県とも接する鳥取県西部の主要都市で交通の要衝でもあります

おなじみの鬼太郎だらけの駅

境港へ境線が走っています。

そして特急やくもを降りた後は、もうひとつのミッションをこなすつもりでした

米子空港駅と米子空港を歩いて移動する

というもの。10年以上前、東京で勤務していた時に当地出身の同僚がいて帰省の際はバスで米子駅まで向かうのがいつものコースだったのですが「たまには境線を利用してみよう」と試みたそうですが「駅まで遠いし列車は来ない。もう使いません」とボヤいていました

確かに地方空港というのは各地からの飛行機がバンバンやってくる空港でない限り、バスの方が便利です。飛行機の遅延もバスは対応してくれるが鉄道は基本的に対応してくれない。米子空港駅のように途中駅の場合はなおさらです

その時の会話がずっと頭に残っていて、いつかはやってみようと思っていました。米子空港駅は空港の拡張工事のために付け替えられた境線の新線上に空港アクセス駅として設けられました

やくもは雪のため4分遅れての到着でしたが、10時31分の境線に乗って空港まで行って戻ってくれば、ちょうど鳥取方面の列車に乗れるという計画

しかしなにげにやくもの車中で時刻表をめくったところ、土曜日を中心とした列車であることが判明(日曜はほぼ同時刻の列車が定期列車として存在する)。おかしいなぁ、本数の少ない地方都市のことなのでアプリを含め入念にチェックを重ねたはずだったのですが…

いずれにせよ、どうしようもない。別の作戦を考えようとなって改札を出たところ

あれ???

10時31分の境港行きがちゃんとあるじゃないですか。しかも臨時便として。そういうこと(アプリは臨時列車に対応していた)か。当初の計画では米子空港まで行って戻ってくれば、ちょうど鳥取行きのスーパーまつかぜに乗れることになっていました。しかし、さてどうしよう。時計で分かるように出発間際です。短時間、逡巡した後

止めました

出発したからには必ず境港で折り返してくるはずで、それも時刻表通りのものだと思われますが、ちょっとリスクがある。ここは作戦変更。その作戦会議に絶好の場所が案内標の隣にあります

雪ひとつない米子駅を車窓から見て安心したのですが、猛烈に寒い。気温というより風の強さがハンパない。駅舎の中にいても芯冷えしそうです。ここでぬくぬくと過ごすことにします

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グリーンきっぷの2日間~豪雪のパノラマカー

新見駅付近は激しい雪だった

2月21日9時

車窓の変化に驚く

岡山を出たやくもは約1時間で新見に到着。そこから約1時間で米子に着くので運行上は新見が中間となります。その手前となる、こちらも全列車が停車となる備中高梁到着が8時40分。当駅までは本数も多いのですが駅のホームには、うっすら雪の姿があり、この時点では「ああ、以前の雪が残っているんだな」程度の認識だったのですが、その後は本格的な降雪。新見では既に吹雪のような状態となり、運転士さんもワイパーが必要となっています

雪また雪

昨年3月の青春18きっぷの季節に新見~備後落合+布原の全駅訪問を行ったのですが

車窓からはこんな感じ。伯備線の駅でありながら芸備線の列車しか停車しない駅で、ホームは1両分しかなく一瞬で通り過ぎてしまうのですが、すれ違いのための信号場としての性格も持っているため、駅手前からの減速があるため、何とか写っています。それにしてもホームのコンクリートは何も見えない。当駅は私の乗車電車の前に下りが1本、上りが3本停車したはずですが、少なくとも下りホームの1本は誰も利用がなかったようです。1日の平均利用者が0~2人という駅なので当然といえば当然ですが

そのお隣は備中神代。芸備線との分岐駅ですが

さらに1面銀世界。左側が芸備線用ホームですが、このあたりまで車両の端が来ることはありません

芸備線が分岐していきます

備中神代は以前の駅舎の一部が残してあったのですが

今は左側の待合室も含め撤去されています。車窓からは逆方向となりますが、チラリ見えた駅の入口付近は寂しいものとなっていました

それにしても、この写真は3月15日のものです。ご覧のように雪ひとつありません。今回の雪はそれまでに溶けるとは思えません

伯備線の最高地点

伯備線の新見~生山は県境越えとなる箇所で、特急やくもは1時間に1本の割合で走りますが普通の運行は極めて少ない場所となっています。上りと下りで若干異なりますが3時間に1本とかいう運行。それぞれの列車に乗っていると意外と気付かないのですが岡山、広島、鳥取、島根の4県境が接近する場所だというのは地図で分かります。木次線沿線の方は本数の少なさから、車で来て生山駅を利用するケースも少なくはないとか

県境越えですから、この付近が伯備線の最高標高点。鳥取県最初の駅は上石見ですが、標高は447メートルと県内唯一の400メートル越え駅。お隣の生山が288メートルですから100メートル以上も違います。そういえば昨年3月15日には上石見も訪れたのですが、駅前こそ雪景色ではなかったものの除雪した際の雪の塊はまだ残っていて驚いた記憶があります

2月21日の午前では最も雪が凄かったように見えたのは根雨駅で、こちらでは特急、普通との列車交換がありますが、駅で見送る乗務員の方も傘をささなければならない状況となっていました。いつの間にか運転士さんもコートを着ています。これだけ広い運転席で全面ガラス張りだと冷えるのも早いのでしょうね。大変だな、と思いました

さてパノラマカーの車内の様子はというと

実はガラガラでした。前の方だけお客さんがいるという、ならではの光景でした

ということでやくもは無事米子着。雪はどうなるんだろうと思っていましたが徐々に消えていき、根雨から30キロも離れていない山陰本線との合流点となる伯耆大山あたりでは、すっかり見えなくなっていました。車窓の雪は事前に予想していなかったものですが、なかなか有意義な乗車となりました

正式発表はまだですが、まだ1年はパノラマカーは伯備線を走る予定です。降りた直後は「思い残すことはない。これで満足」と思ったのですが、考えてみると観光に特化した列車以外でのパノラマカーというのは、JRではほとんどありません。ネットで早めに座席を確保すれば価格もそう高くはないし、座席の特性から、早めの確保は必然なわけで、こうやって記事を書いていると、またもう1回いや2回と乗りたくなってきます

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グリーンきっぷの2日間~大出世を遂げた路線

岡山駅でパノラマグリーンに乗車

2月21日9時30分

振り子式を迫力で体感

特急やくもは振り子電車です。これまであまり意識していませんでしたがパノラマカーの先頭車で前面展望していると車体ごと傾いているのがよく分かります

視線は真っ直ぐですが架線の柱がこんなに斜めになっている。迫力のある光景です

やくもに充当されているのは国鉄車の381系。伯備線が電化された国鉄時代の40年前から、内装は変えられているものの、ずっと使用され続けている、まさにクラシックカーです。長年走り続けている理由は他に振り子電車がないから。それは伯備線の歴史でもあります

岡山を出たやくもは倉敷から伯備線に入り、中国山地を横断。伯耆大山で山陰本線に合流すると、すぐ米子。この後は島根県に入り、松江そして出雲市まで運行されます。地図でお分かりでしょうが、ゴワゴワ感が凄い。線路がグニャグニャしているからです。大正期から部分開業していき全通は昭和初期。中国山地を行く他の路線と同じような時期で、当時の技術ですから川沿いに敷設するしかなかったのは、これも同じ。線形は悪く特急の看板を掲げ、少しでもスピードアップを図るなら振り子式にするしかないのです

思いがけないドラフト1位指名

山陽新幹線は1972年3月に新大阪~岡山が開業しました。3年後に岡山~博多が一気に全通となるので短い区間の先行暫定開業。「ひかりは西へ」キャンペーンの先頭部隊だったわけです。せっかく岡山まで新幹線がつながるのだから、何か「目玉」がほしいと目をつけられたのが伯備線です

今でこそ1時間に1本の特急が走る幹線ですが、それまでは決して高い地位にあるとはいえませんでした。1968年10月の時刻表(復刻版)を見ると伯備線の優等列車は1日3往復でいずれも急行。当時の特急はローカル線なんて走りません。うち1本は有名な集合と離散を繰り返す「ちどり」で宇野を「しんじ1号」として出発すると岡山で「たいしゃく2号」を連結。新見で芸備線で広島に向かうたいしゃくが別れた分、今度は広島からやって来た「ちどり1号」が合流して米子までともに向かうというもの

文字だけだと何のことやら分からないこの列車には、さらにストーリーがあってたいしゃく2号は備後落合で松江から木次線経由でやって来た「ちどり1号」と合流して供に広島へ向かい、しんじ1号は山陰本線から益田で山口線へと入り、終点が小郡(新山口)という蜃気楼列車かミステリートレインのような運行。今、企画列車にすると発売と同時に完売すること間違いなしです

長い説明となってしまいましたが、伯備線の地位は今ほど高くはなかったということ。閑散区間の代名詞のようになっている芸備線の新見~備後落合間にも1日3往復の急行が走っていて、普通を見ると新見~米子が1日6往復、新見~備後落合が1日8往復なので本数は芸備線の方が多い。目をつけられたのが芸備線~木次線のルートだったら島根県へ向かうメインルートは今ごろひょっとして…

ともあれ新幹線を岡山で乗り換えて山陰方面へ向かうメインコースとして大いに脚光を浴びることになります。私は小学生でしたがクラスメートが家族旅行で新幹線→やくもと乗り継ぎ出雲大社へ行った自慢げに話していたことが思い出されます。やくもという言葉を初めて耳にしたのは、その時です。10年後の78年10月の時刻表を見ると、まだ非電化だった岡山~米子間ですが1日6往復の特急「やくも」と2往復の急行が走っています。その後、着々と複線部分の拡大工事が進み、82年の全線電化から今に至ります

甲子園に1度も出たことのない無名校の選手がドラフト1位指名を受けて殿堂入りレベルの大選手になったようなものです。そもそも68年の時刻表では伯備線と芸備線は見開きで、それぞれ1ページずつしか与えられていないのですから明暗が分かれたことになります。また大きなあおりを受けたのは山陰本線で大阪、京都から鳥取、島根へ向かうメインルートからも外れていくことになりました。ちなみにやくもは伯備線の運用となるまでは新大阪から

先日までの記事で北上線を「悲運の路線」としましたが全く逆の路線ということになります

ただ線形だけは多少の改良を加えてもどうしようもなく、振り子列車が必要とされ、振り子列車の開発には大変なお金がかかるため、ずっと国鉄車両が使われてきました

備中高梁あたりで「このあたりは少し積もっているな」と感じていた雪は新見まで来ると猛烈な吹雪のような状態となってきました。2月の終わりごろ、かつて何度も伯備線を利用しましたが、こんな雪は初めて見ました

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