
※訪問は2025年6月7日
車止めに到達

羽前成田から約15分。終着の荒砥に到着した。フラワー長井線は30・5キロと短い路線だが、日本全国どこに行っても終着駅と車止めを眺める感慨はひとしおだ
奥には車両基地がある

乗ってきた列車。到着は11時40分だったが、次の荒砥駅発は14時21分と2時間半以上運行がない。ちなみに荒砥着の列車は、この間に13時19分着がある。ご覧の通り当駅は単式ホーム。このままではホームが詰まってしまう。一体どうするのだろう、と見ていたら列車は回送状態となって赤湯方面へと動き始めた。そして間もなく停車。スイッチバックして車庫に入っていった。1枚目の写真で分かる通り、ホームの先は車止めになっていて直接車庫に入れないための動きである。普通に考えると、このまま赤湯まで走っていけば良いりだが、減便ダイヤゆえの措置なのだろう
約20年前からの新駅舎

現在の立派な駅舎は2003年(平成15)からのもの。開業は1923年(大正12)。その前年に鮎貝まで延伸していたが、1区間(当時)のみ延伸されて当駅まで鉄路がたどり着いた。「たどり着いた」というのは、この間に最上川があったため。難工事を経ての到達だった。その時に架けられたのが最上川橋梁である
高台の街中で蕎麦を

美しい駅舎には「荒砥駅前交流施設」の名前が付けられている

白鷹町の観光協会が入居している。直営駅だが、訪問は日曜日で窓口業務はお休みだった。ただ車庫も備えるため業務にかかわる駅員さんはいる
さて時間はたっぷりあるのでランチタイムとしたいところだが、駅を出て驚くのは駅前には見事なほどに何もないというか何も見えない
ということで街中で蕎麦をと調べると
徒歩10分と、まぁまぁ歩く。10分という徒歩の時間はいいが坂を登っていく必要がありそうだ。ただ時間はたっぷりある上、とにかく駅前には何もないので歩いていこう。すると

頭上を走る国道との高架下で階段を発見。見上げると

そのまま国道に合流できるんじゃないの?とおそるおそる階段を昇ったところ

国道に到着。てっきりバイパスかと思ったら歩道付きの国道だった。しかもその場所は掲載した地図の和菓子屋さんの向かいだったのだ。ということで蕎麦店までの所要時間はわずか5分という結末
つまりここで何が言いたいのかというと
地図アプリに勝った
事実である(笑)
すでに記事を760本も投稿していて地図アプリ通りに進んだ結果、水たまりや降雪にさえぎられた経験を何度か紹介してきた。これは自然や天候に関するものなので、やむを得ないものだが、もうひとつの行動として「あえて地図アプリの指南を無視して突撃する」というものがあって、無事に短絡路を発見できた時の達成感は何ものにも代えがたいものがある。今回はそのひとつ。というか、これをやった時の勝率は極めて低く(笑笑)、その分、高揚感が増すのだが、たまには自慢させてほしい

ということで無事に美味しく蕎麦をいただく。実は前日から東北を訪れている今回の旅は蕎麦ばかり食べている
街が高台にあるわけ
荒砥は歴史を持つ街で荒砥城は平安時代にあたる源平の時代にはすでに地域の要衝として築城されていたという。「新戸」と記されたこともあり、新しく開かれた集落の意味とされる。ただ駅に到着して不思議に思ったのは最上川近くに集落がないこと。日本の各地では川の恵みを得るために川沿いに街が形成されることが多いが、駅と最上川の間は緩衝地帯のようになっている
そのナゾ解きは駅前の案内図にあった

やはり現在の線路より川に近い場所に集落が開けていたが、室町時代以前に大洪水により、突然街が姿を消してしまい、以降街づくりは高台で行われてきたという。とても納得

駅に戻ると減便ダイヤについての説明と現行の時刻表が張られていて現実に戻される。早い時期での復活を祈りたい


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