由岐駅

牟岐線の木造駅舎紹介10~駅の裏手が大いににぎわう

日和佐駅の駅名標

※訪問は2019年10月27日

「ウェルかめ」の舞台

阿波福井駅から南下していくと由岐駅。当駅については田井ノ浜駅や徳島バスとの記事でも紹介したので次の駅へと向かうことにする

日和佐駅。所在地は美波町。日和佐町と由岐町が2006年に合併して美波町となった

1939年(昭和14)の開業。阿波福井から当駅までが延伸してきた。その間は約15キロ。牟岐線が徳島県と高知県の県境を目指して少しずつ進んできたことが分かる

駅舎は当時からのものを改築しながら使用している。日和佐町の中心駅だったこともあり、立派な駅舎。かつてはみどりの窓口も設置されていて、私が四国にいた25年前、仕事で当地を訪れ、駅できっぷを買った記憶がある。もちろんずっと特急停車駅。ただし今は無人の簡易委託駅となっている

美波町はNHKの連続テレビ小説、倉科カナさんが主演した「ウェルかめ」の舞台。平成21年から22年にかけてということは、もう13年前。そんなになるのか、と改めて思ってしまうが、先日の余市駅での「マッサン」のように、全国各地に行くと連続テレビ小説の舞台となった場所では記念するものが必ず設置されている。放送年度を見るたびに「あのころは何をしていたのか」と、ふと思ってしまう

ウミガメの産卵で有名な大浜海岸は徒歩圏内。道中は日和佐町の中心地。ウミガメの産卵を見に行ける場所に宿もある

道の駅併設で人流が変わる

駅のすぐ西側は山が迫っているため、国道55号が走っている以外、かつては四国八十八カ所の札所のひとつである薬王寺ぐらいしか観光も含めて訪れる場所はあまりなかったが、今は事情が異なる

2005年に道の駅ができたのだ。その時に西口が新たに設けられた

レストラン、物販の販売所のほか足湯などもあり、週末でなくても人でにぎわっていた

駅舎は無人になり、券売機も撤去されたが、簡易委託として道の駅の売店できっぷの販売を行っている。つまりきっぷの販売場所も西口になった。JRと共用の徳島バスの停留所も道の駅内にある

窓口も閉鎖された東口

掘り下げる形での構内踏切を渡って上下ホームを移動することができる。駅舎と逆側はすぐ道の駅の入口

駅構内を経由しない場合は、奥に見える跨線橋での東西移動も可能。かつては2面3線構造で牟岐線では立派な構造だったことが分かるが、西口設置もあって1面は使用されていない。ただし上屋は歴史を感じるものだ

夕方になると高校生でにぎわう駅。2022年の1日の利用者は220人である

にほんブログ村 鉄道ブログへ

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

↑2つクリックしていただけると励みになります

牟岐線の一部区間ではJRの乗車券でバスに乗車できます

阿南駅の駅名標

JRの時刻表にバスの時刻が

牟岐線の運行上の重要駅、阿南です

徳島から当駅までは昼間も30分間隔の運行が行われていますが、当駅から先(南側)は昼間は2時間に1本と、急に本数が少なくなります

その阿南駅の時刻表ですが

あれ?と不思議な感じがします。JRの時刻表に徳島バスの時刻表が併記されているのです。あまり見かけない、というか見たことのない時刻表です

結論から言うと、ここ阿南から南側はJRのきっぷで徳島バスに乗車することができるのです。災害などによる代行バス以外で、JRの乗車券で路線バスに乗車できるなんてことは基本的にあり得ません。なぜなら両者は競合関係の間柄だからです

長距離バスの一部区間を鉄道と共用

まずシステムから説明すると、適用があるのは徳島バスの「室戸・生見・阿南-大阪線」線。高知県を出て大阪へと至る長距離高速バスですが、その中の阿南~甲浦間では途中乗降ができる上、その中の阿南~海部高校間はJRの乗車券を持っていればバスに乗車できるという制度。牟岐線は徳島から終点の阿波海南までの距離が78キロしかなく、徳島から乗車した場合は、きっぷの制度上、途中下車はできないのですが、徳島バスに乗る場合は阿南の改札口を出て乗り換えること可能で、普通乗車券はもちろん、各種企画乗車券も利用可。青春18きっぷも利用できます

この制度には牟岐線のダイヤ変更が大いにリンクしています。牟岐線では特急「むろと」が1日3往復運行されていたのですが、2019年に徳島~阿南間を30分に1本の普通として運行を開始した結果、特急の運行が朝夕の1往復のみとなってしまいました。他はすべて普通列車で、特急停車駅である主要駅間の輸送が大変不便となってしまいました

それを解消するための制度が、徳島バスとの共用ですが、元々が競合会社同士ですので、その両社が手を結ぶのは独占禁止法違反になるということで、簡単にはできないことだったのですが2020年に地方交通については特例が認められたことで法的な問題はクリア。昨年4月に運用が開始されました

途中利用できる駅と停留所は阿南→阿波橘駅→由岐→日和佐→牟岐→浅川→阿波海南となっています

JRの時刻表にもバスの時刻表を掲載することが運用の条件となっています

田井ノ浜の帰りに利用

私は7月20日に利用しました

田井ノ浜訪問後、由岐まで歩いてきた私ですが由岐駅到着は13時半ごろ

大変立派な駅舎を持っているのですが、問題はダイヤで

ここからさらに南下して阿波海南方面へと向かうには、次の列車は14時52分で1時間半近くもあります。ただ列車より1時間近く早い13時55分にバスがあり、これは便利

駅舎向かいの役場前にバス停があり、こちらで待っていると

バスがやって来ました。JRの乗車券を見せてから乗り込みます。この日私が利用したのはJR四国のバースデーきっぷ。行く先を告げて着席します

この区間は空いている座席に座るシステムとなっています。私が目指すのは牟岐でしたが3人かけ使用のバスは快適。電源コンセントもありました

約30分で牟岐へと到着。バスの問題点として停留所が必ずしも駅前ではないという問題があります。牟岐では徳島バスの営業所に停まります。牟岐駅までは徒歩5分ほどですが、私は過去何度か牟岐に来たことがあるため困ることはなく、おそらく初めての人でも駅へ迷うことなく行けるとは思います

もっともJRなどの注意書きを見ると阿波橘駅に対応する「橘営業所」については「駅から1・5キロ離れています」と書かれているため、こちらは要注意

今年5月には牟岐線の終点である阿波海南駅に近い海部高校前停留所も対象となり、利便性は増しています。うまくバスを利用して牟岐線の旅を楽しみましょう

にほんブログ村 鉄道ブログへ

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

↑2つクリックしていただけると励みになります

8月6日まで!田井ノ浜駅に行ってきました

2023年7月20日13時

4年ぶりの開業

降り立ったのはJR四国の牟岐線・田井ノ浜駅。単式ホームのみの簡易な構造です。今回、4年ぶりに開業したというので訪れました

そもそも「4年ぶりの開業」というのが、普通の駅ではないことを物語っています

どういう駅なのかは、降りればすぐ分かります

すぐに広がる砂浜。駅名からも想像できるように、こちらは海水浴場専用駅

一見、普通の駅名標ですが、よく見ると両隣の駅ナンバーはM18とM19。当駅には駅ナンバーは充てられていません。夏の一時期だけ開業する臨時駅。時刻表には「田井ノ浜停車」と注釈付きで表記されます。今年の開業期間は7月15日から8月6日まで。コロナ禍で2020年から海水浴場が休業となっていたため、4年ぶりの開業となりました

停車は1日3往復

牟岐線は徳島県の東側を高知県との県境に向けて走る路線です

全長78キロ。現在の終点は阿波海南駅でDMVとの接続で有名になりました

田井ノ浜は徳島から46キロ。牟岐線は徳島から阿南までは昼間も30分に1本と運行の多い路線ですが、阿南から南側は2時間に1本と列車本数が少なくなります

その中でこの臨時駅に停車するのは

1日3往復のみ。他の列車は通過します

まず駅を降りて目につくのが

こちらの建物。一見、駅舎と思ってしまいそうですが、海水浴場の監視塔。その下ではかつてきっぷ売り場があったようですが、いつまで窓口が使用されていたのかは分かりません。1960年の設置と臨時駅としての歴史はあります

かつては特急が臨時停車することでも知られていて

こちらは2017年夏のもの。普通の他に特急が1往復停まっていましたが、2019年のダイヤ改正で特急「むろと」が1日3往復から通勤通学帯の1往復となったことで、停車はなくなりました

田井ノ浜駅からの脱出ルート

こちらは砂浜から見た駅の様子。訪問日の7月20日は学校の終業式があった日で、列車内は多くの高校生で座れない状況になっていましたが、いかにも泳ぎに行く、という風情のお客さんは車内に見当たらず、田井ノ浜で降りたのは私ともう一人の2人のみ。そろって明らかに同業者(鉄道ファン)でした

曇りということもあって泳いでいたのは、私より明らかに年上と思われる男性1人だけでした。拍子抜けしたことは否めませんが、その前の週末は多くの利用者があったとのことで、おそらく夏休みに入った現在は、かなりの海水浴客がいると思われます

誰もいない海水浴場は写真的には今ひとつかもしれませんが、ある意味ホッとしたのも事実で、お客さんでにぎわう海水浴場というのは、誤解を避ける意味でもなかなか写真を撮るのが難しい。この状況なら撮り放題です

そして駅で降りたからには帰る必要がありますが、1日3往復ということで、来るのも難しいですが、帰るのにもちょっと工夫が必要となります。簡単なのは田井ノ浜より南側の日和佐方面から訪れることで、12時51分着→12時56分発、14時51分着→14時56分発とすぐに対向列車がやってきます。隣の由岐駅で列車交換が行われるためですが、問題が2つほどあって、たった5分の滞在でせっかくの貴重な臨時駅訪問を終えていいのかというのが、まずひとつ。そしてもうひとつは、あくまで鉄道ファンの視点ですが、多くの人が徳島方面から来るはずなので、このパターンは使いにくいのです

海水浴を楽しむのなら別ですが、駅訪問を主とする鉄オタが、暑さを避ける場所もほとんどない環境で2時間滞在できるのか、となると、この炎天下ではなかなか辛いものがあります

由岐までは15分

解決策のオススメは大きな駅である由岐まで歩くことです。列車は結局2時間に1本しかないのですが、駅舎で休める上、バス路線もあります

1駅徒歩といっても意外と近い

ということで歩き始めました

砂浜の端から歩き始め踏切を渡り

右手に海水浴場を見ながら進む。民宿があって

臨時駐車場の横を抜けると

住宅街があります。写真でお分かりの通り

まぁまぁの坂を登っていくことになりますが、坂を下りるとすぐに由岐駅です

実は、この日の一番の驚きはそれから数時間後、牟岐駅などに立ち寄り、16時51分田井ノ浜着の列車に乗っていた時のこと。これは田井ノ浜駅の「最終」で、この後は上下とも1本の列車も来ないのですが、高校生の一人が下車していきました。しかも定期券で。ビックリしました。おそらく前後の駅よりも自宅が近いのでしょう。年間で1カ月も使えない駅の利用。こんな方法もあるんだなぁ、と感心しました

臨時駅としての役割が終わると田井ノ浜駅の入口にはロープが張られ、ホームに入れなくなります。訪問するのなら、ぜひ今のうちに

にほんブログ村 鉄道ブログへ>

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ