今別駅

不通区間の津軽線28・8キロを訪ねる~レールはピカピカそれでも旅客列車は来ない

※訪問は2025年7月10日

ワゴン車の代行バスで

今別駅前の代行バス&わんタクの停留所。わんタクについては後ほど触れるとして、私が今から乗車するのは代行バスの2便。8時13分発である。時刻表に記されているのは主にJRの駅だが、実際は他の停留所があるため、もっと細かく停まる

代行バスがやって来た。蟹田から今別までは大型バスだったが、この便はワゴン車。ただし2台での運行である

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農地の中にたたずむ駅

約30分で中小国駅に到着。幹線である県道から少し奥まった場所にある。バスの停留所は県道上にあるため少しだけ歩く。正面奥に踏切が見える。その左手の黄色い建物が駅の施設だろう

踏切手前の左側に駅があるが、1度渡ってみる。ここから先は農業用の道路らしく狭くなっていて、私がいる間も軽トラックの出入りを見かけた

振り返ると単式ホームの棒状駅が見えた。県道近くには多くの民家があるが、駅そのものは農地の中にポツンとたたずんでいる

JR東日本、JR北海道両社の駅

中小国駅の開業は1958年(昭和33)。前記事で紹介した今別駅と同じく、津軽線が蟹田~三厩で延伸、全線開業となった際に設置された。当初から現在の姿。周辺も当時から何があったというわけではないが、青函トンネルの開通によって鉄道ファンなら知らない人はいないほど有名な駅となった

青函トンネルを経て青森県へと入ってきた海峡線は、中小国駅の少し北側にある新中小国信号場で津軽線と合流する。信号場はJR北海道の管轄だが、そこに駅はないため信号場と中小国駅の間は津軽線と海峡線の重複区間とし、津軽線の起点駅を中小国駅とした。つまり中小国駅はJR東日本とJR北海道の共同使用駅となっている。共同使用駅や境界駅というと立派なターミナル駅を想像しがちだが、中小国駅については全く異なる。というのは中小国駅には北海道新幹線の開業以前からJR北海道の列車が停車することは一度もなく、停車はお隣の蟹田駅。蟹田駅の記事でも記したが乗務員の交代も蟹田で行われていた

ただそんな帳簿上の起点駅、共同使用駅だからこそ鉄道ファンは注目する。「中小国」は読めそうで読めない意外な難読駅だが、読めない鉄オタはまずいない。津軽線内では三厩、津軽二股と並ぶ青春18きっぷによる「必訪問駅」となっていた

ホームへはスロープで出入りする。雑草はきれいに刈り取られている

ホーム上に待合所があり、奥に部屋がある

当駅にも室内には時刻表がそのままだ

蟹田から新中小国信号場までは電化区間だが、電化は海峡線用のため当駅に停車するのは気動車のみだった

今別駅と中小国駅はともに旅客列車はやって来ない。ただレールはピカピカの「現役」であることが決定的に異なる。今も本州と北海道を結ぶ貨物列車が定期的に走るためだ。蟹田~当駅にかけては線路も生きているため、津軽線も当駅まで運行することは可能だが、利用者数からも、わざわざ折り返し設備を設ける必要はないと判断され、JR東日本は2027年春での廃駅を決めた。貨物列車の運行は続くため、あくまで帳簿上だが、津軽線は新中小国信号場が「終点」となる。JR北海道については正式な意思表明はないが、JR東日本を受けて信号場が「起点」になるのではないかと言われている

一度も旅客列車が停まらなかった起点駅。今はピカピカのレールで終焉の時を待っている

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不通区間の津軽線28・8キロを訪ねる~急速に自然に還る様子を目の当たりに

※訪問は2025年7月10日

何度も確認を繰り返し

津軽線の代行バスはすでに駅前に待機していた。後で分かったことだが、この大きなバスは利用者の多い時間帯仕様だ。青森から乗車して蟹田に到着したのが6時58分。代行バスの出発が7時8分なので接続時間は10分しかない。写真を撮っているうちに、すぐ出発の時間がやってくるので余裕はなかった。このバスは6時4分に三厩駅を出て蟹田駅に6時58分に到着する。つまりバスの到着時の様子を私は見られていない。蟹田駅から電車に乗ろうとするお客さん、特に高校生の数を見ると、このバスで蟹田駅まで向かう利用者はそれなりにいると思われる。ただ私が乗車したのは、時間帯的には逆向きなので乗客は私を含め5人だった

乗車時に北海道&東日本パスを提示しすると降車場所を尋ねられる。「今別駅」と答えると「奥津軽いまべつ?」「いや今別です」「新幹線の駅ではなくて?」「いや、単に今別。奥津軽いまべつではありません」という確認と念押しのやりとりがあって出発。それは無理のないことで、朝の7時の代行バスというのはお客さんもなじみの顔が多いだろうから、見たことのない旅人らしき人間に行先を今別と言われても運転手さんが疑問に感じるのは当然だ

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改修工事を終えたばかり

代行バスは北へと向かう。車で津軽半島を走ったことはないため、車窓には興味津々だ。途中、中小国信号所の付近を通る。道路から少し離れていて間近で様子を見るわけにはいかないが、架線の規模で雰囲気は分かる。新幹線駅の奥津軽いまべつ(在来線の津軽二股でもある)も過ぎて約40分。あっという間に今別駅に到着した

駅前から去っていくバスを見送る。車窓で分かったが、駅近くに来ると街に入る。このあたりが今別町の中心地なのだろう

振り返ると

今別駅の駅舎。まだ朝のム8時前だが、駅周辺からは家に出入りする人の姿と声がする。少なくとも農地の真ん中にある駅ではない。もっとも「駅の利用者」は私だけだが

駅舎に入ると、中はきれいにされている。イスの座布団が北国らしい。よく見るとエアコン完備だ。まだ朝の8時前で、この日はそれほど暑くはなかったため、冷房の出番ではなかったが、冬場も北国でよく見かけるストーブとは異なり、エアコンを使用するのだろう。駅舎は2017年に改修されたばかり

当時すでに無人化されていたので駅舎そのものの管理は町が行っていると思われる

駅舎内には豪雨被害以前からの時刻表が設置されている。あくまでも休止扱いなので、そのままなのだろう。鉄道が動いていないことを知らずにこの駅にやって来る人は、まずいないのもある

こちらはホームに向かう待合部分。奥にはきれいなお手洗いがある。ホームへ行こうとしたらドアは施錠されていて焦ったが、駅舎の外から入れるようになっていた

表現する言葉が見当たらない

スロープからホームに入る方式の単式ホーム。開業は1958年(昭和33)で蟹田~三厩が開業した際に設置された

ホームに出ると、そこにあるのは錆びたレールと、そこに覆いかぶさんばかりに成長している草木。ホームの雑草は定期的に刈り取られているようだが、そのコントラストが大きすぎる

同じ角度を駅舎寄りから。「51」と記されたキロポストが印象的だ

開業時は島式ホームですれ違いのできる構造だった面影が残る

こちらは逆方向。正式には、まだ現役の線路だが草むらの中に埋もれていく錆びたレールに現役感はない

こちらはホーム側から見た駅舎

駅舎の表側と駅舎内とは異なり、使用されることのなくなったホーム側は、どちらかというと放置状態だ

冬場は雪に覆われる駅周辺。それだからこそ、夏になると、ここぞとばかりに草木は急成長するのか。自然に還る速度を痛感した訪問だった

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