奥中山高原駅

宿もとらずに鈍行に揺られ飽きたら終わりの北海道&東日本パス旅~その19(誤記?で生まれた駅名)

奥中山高原駅の駅名標

※訪問は2024年7月5日

伝説の駅名物語

奥中山高原駅に到着

当駅は1891年(明治24)の開業と130歳を超える長い歴史を持つ。当時の駅名は中山。日本鉄道という東北本線などを敷いた民間会社だったが、しばらくして国有化され、大正に入り、国鉄内にある同名の駅名を変更する動きが全国で行われた際に、当駅も横浜線の中山駅と区別しようということになった。駅の歴史は岩手県の駅が古いが、国名を入れる対象は古い方となり「陸奥中山」に変更することが決定。ただ書類提出の際に「陸」の文字を入れ忘れてしまったところ、書類そのままが受理されたため「奥中山」という駅名になった伝説が残る

その過程で誰も気付かなかったのか、後から指摘はなかったのか、とツッコミを入れたくなるところだが、とにかく1915年(大正4)以来、ずっと変わらず「奥中山駅」として存在し続けている。「高原」が付いたのは三セク転換から

ただ駅名というのは強さを発揮するもので

奥中山はすっかり地名となっている

学校名や郵便局、店舗も含め奥中山である

東北本線の最高標高

駅舎は昭和に入ってからものとされる。木造駅舎にトタン屋根という北国らしい構えで丘の上に建つ形となっている

当駅にはもうひとつの顔があり、標高427メートルと旧東北本線では最も高い場所にあった駅だった。駅の北側で十三本木峠という最も高い地点に到達。旧東北本線と並行する国道4号の最高標高でもあり、古くから交通の難所だった。後に建設された東北自動車道はこの峠を避けて建設されたほどだ

そのためSL時代は峠を越えるため、最大で3両もの機関車が連結されていた

SLの運行があった1960年代までは鉄道写真のメッカとして知られていて駅舎内には当時の写真が飾られている。ちなみに国鉄ではこの峠を奥中山峠と呼んでいた

ワンちゃん駅長

その写真と並び、かつての名誉駅長の写真も飾られている。近年、当駅を有名にしたのはこちらである

当駅の駅員さんが飼っていたことで幼いころからともに「出勤」。利用客のアイドルになり、やがて名誉駅長となりニュースでも取り上げられた。ついこの間のことだと思っていたが、天国に旅立ったのは2009年。もうそんなになるのか、と思う

有人駅で1日の利用者は287人。十三本木峠の最高地点の手前ということで大きめの集落があり、前後の駅に比べると利用者はかなり多い

構造は2面3線。現在は柵に遮られているが、長大列車の待避もあった名残でホーム有効長は長い。中間線も設けられていたようだ。山中の駅だけあって「奥中山」と言われても違和感は感じない。間違いが「陸中山」だったら、さすがに気付いたか。滞在中に少し雨が降ったこともあってか、東北本線最高地点の駅は涼しく、寒いとまではいかなかったが汗もかかない良い季候だった

もう少し沿線の駅を巡ってみることにする

にほんブログ村 鉄道ブログへ

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

↑2つクリックしていただけると励みになります

宿もとらずに鈍行に揺られ飽きたら終わりの北海道&東日本パス旅~その18(意地の列車乗り継ぎ)

八戸駅の駅名標

※訪問は2024年7月5日

ここまで来れば…

昨日以来の八戸駅に到着。青いラインが青い森鉄道、緑のラインがJR東日本の八戸線。私の好きなタイプのJR東日本で見られる分かりやすい駅名標

小湊から八戸までは約1時間。ここで大きな決断を迫られる。この電車は9時26分に八戸へ到着し、9時30分発の盛岡行きに接続する。お手洗いの時間も危ない(列車内にお手洗いはある)絶妙すぎる乗り継ぎ時間だが、その次の盛岡行きは、なんと4時間後の13時35分。八戸以南の列車の半数は青森県内で完結する三戸行きで県境そして会社を越える運行は少ない。朝の通勤通学帯を過ぎると、お昼休みに入ってしまうのはローカル線の特徴だが4時間空きは辛い。八戸~青森の青い森鉄道は1時間に1本あるので、この時間帯を利用して青い森鉄道の各駅を巡りつつ、4時間を待つあるいは八戸で宿泊する作戦もあるが、今日も明日も好天とはいえ、今日は最終宿泊日。明日は花巻空港からの飛行機を確保しているので、鉄道と天候だけは何があるか分からないというのが、鉄オタ生活で得た、ある意味唯一の教訓である。日本の鉄道会社というのは、まず新幹線だけは何とか頑張って走らせようとして(その分、施設の備えは万全だ)、次が特急がバンバン走る在来線、その次が利用者の多い在来線ときて、すぐに止まってしまうのがローカル線である。特に戦前からの路盤をそのまま利用しているローカル路線はもろい。その意味では旧東北本線の三セクは、路盤的には力強いものを持っているはずだが、とにかく今夜は盛岡までは到達しておくことが無難だろう

ということで車内の1時間で相当悩む。ひとつ簡単な解決策があって、それは八戸から二戸まで1区間、新幹線に乗車することだ。ここは1時間に1本の運行がある。何なら青い森鉄道を満喫して夜の新幹線で盛岡までダイレクトに向かうという最終手段もある。旅の初日や2日目なら2000円~3000円を課金して、1区間の新幹線乗車を選択をしただろう(結局乗らなかったので詳しい料金は分かりません)。北海道&東日本パスでしかできない三セク内乗り放題の特権を使えば、料金的にかなり元はとれる。ただもう旅の最終盤。品川からグリーン課金もせず、トコトコ多くの列車に乗ってきたのだ。ここは意地でも別料金の課金はなく終わりたい

目指すは岩手県内の駅

ということで9時30分の盛岡行きに乗車

ということで盛岡行きのホームへと急ぐ。右側のラッピング列車が乗車するIGRいわて銀河鉄道。左側が八戸線の久慈行き。ここで初めて知ったのだが、久慈行きは9時29分発で乗車列車は八戸線にも接続していた。ちなみに右側で見切れてしまっているが、これは9時33分発の大湊線直通の快速「しもきた」である。来た方向を戻る列車にはなるが、どれも魅力的ではある

しかし、ここは真っ直ぐ南下である。岩手県内にもうひとつ、どうしても行きたい駅があるので、そこを目指す。ちょうど1時間かけて

お目当ての駅である奥中山高原駅に到着した

にほんブログ村 鉄道ブログへ

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

↑2つクリックしていただけると励みになります