西桑名駅

カワイイ電車は開業110年 北勢線を行く~番外編 3つの線路幅を味わえる国内唯一の踏切

※訪問は2022年3月5日

※動画あり音声注意

桑名駅至近でアクセス容易

三岐鉄道北勢線の全駅訪問を紹介してきたが、最後に番外編として、オタク向け名所とされる国内唯一の踏切の紹介を

オタク向けというと、秘境感があふれている印象を与えるかもしれないが、ここ桑名駅からすぐの場所にある。踏切なので、もちろん料金は無料である

なお訪問は3年前のことなので、周辺の状況に多少の変化があるかもしれませんが、ご容赦ください

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歩行者専用がミソ

目的の場所まで桑名駅から、数分で着いてしまう

グーグル地図では一度道路を渡って回り道をするように表示されているが、実際は線路に沿って歩道があるので、もっと早く着く。北勢線の西桑名駅を右手に通り過ぎ、真っ直ぐ歩けば、そこが目的の場所

あまりにも絶妙な時間というか、ちょうど近鉄特急「ひのとり」が通過していった

あらためて踏切の外に立つ。ご覧のように歩行者専用の踏切となっている。自転車も手押しで可能なようだが、自動車はやって来ないのがミソである

国内唯一というのは近鉄の標準軌、JRの狭軌、そして北勢線の特殊狭軌(ナローゲージ)の3つの線路幅、それぞれ1435ミリ、1067ミリ、762ミリを同時に渡ることができる踏切という意味

こうして歩いてみるとナローゲージの幅の狭さがよく分かる。ひとつの踏切ではなく近鉄は益生第4号踏切、JR東海は桑名駅構内踏切、北勢線は西桑名第2号踏切と、各々名前が付いている3社の踏切だが、一体化していて、事実上ひとつの踏切となっている

運用的には、長めの踏切を渡っている途中で列車が来ても

本数の多い近鉄については独立した遮断機があり、手前で待つことができる。とはいえ

おっしゃることはごもっともで、あまり立ち止まってウロウロするわけにはいかない。そしてこの踏切は線路を挟んだ東西を住民の方々が、階段やエレベーターを利用せずとも渡ることができる貴重な生活道路にもなっている。私の滞在中もかなりの人が踏切を渡っていた

絶好の撮影ポイント?

ただ、このような平面的な写真だと読んでいる方も実感に乏しいかもしれない。何か良い場所はないかと、ふと見上げると

左手に跨線橋が見えた。階段もあって登れるようだ。あそこからなら良い写真が撮れるのではないかと足を運ぶことにする

そして撮影したのが、こちらの写真。随分と端からの撮影となっているが、危険防止のためだろう。跨線橋の途中は高いフェンスが張られていてカメラを差し出すことはできない。車もビュンビュン走る跨線橋の途中で立ち止まる人だらけになると通行のじゃまだし、何より危ない。当然といえば当然だ。近鉄の線路側から登って渡りきったところで何とか撮影となった

関西本線強化のネックに

西桑名駅を出た北勢線の電車がやって来た。このあたりでJRや近鉄の線路と離れつつある。地図でも分かるように北勢線は近鉄そしてJRの桑名駅の東側から出た後、グルリと回り込むように近鉄とJRの線路をオーバーパスとして西側へと向かう

JRの関西本線は国鉄時代末期に名古屋~亀山が電化され、スピードアップしたことで客足が伸びた。名古屋から四日市までは、主に近鉄との競合区間で単線非電化の国鉄は長らく圧倒的不利に立たされていたが、JR移管を契機に電化で伸びた客足をさらに増やして近鉄に対抗しようと複線化を計画。ところが、ここ桑名の北勢線オーバーパス部分を複線とするには大がかりな工事と経費が必要になることがネックとなり、結果的にごく一部の複線化を行っただけで現在に至っている

そんな景色も眺めながら足を運ぶんでみるのもいい。JRは特急「南紀」も含め全列車が停車する。近鉄も「しまかぜ」と名阪ノンストップ特急(津のみ停車)以外はすべて停車。通過特急についても時刻表でおおよその通過時間は推測できる。ナローゲージから近鉄特急までが同じ踏切を渡るシーンは、見ていて飽きない。簡単に行ける場所なので、ぜひ訪問を

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カワイイ電車は開業110年 北勢線を行く~その1 「東」にあるのに駅名は「西」

西桑名駅の駅名標

※訪問は2024年11月20日

もともとは改札内を共有

朝6時45分の近鉄名古屋駅。時間帯は早く、方向的には通勤通学コースとは逆だが、人は多い

6時51分発の急行で桑名へと向かう。この時間帯に近鉄名古屋駅に来たのは初めてだが、大混雑とは言えないが発車ギリギリとなると、もう座れない。20分で

桑名に到着。JR東海、近鉄、養老鉄道の3社が利用。養老鉄道はもともと近鉄だったが、少し前までは津や松阪のように改札内は中間改札もなく共有されていた。4年前に新駅舎ができ、それぞれが別の改札となっている

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徒歩100メートルの乗り換え

今回は三岐鉄道北勢線の旅

桑名駅の東口から出て100メートルも歩くと北勢線の起点駅である西桑名駅がある。へばりついたような構造となっているが、元はもっと規模の大きな駅だった。そして起点駅でもなかった

駅の東側を国道1号線が走っているが、北勢線は国道を横切った先にある「桑名京橋」という駅が起点だった。だが1961年(昭和36)に渋滞が酷いということで、国道を横切る部分はカットされ西桑名が始発駅となった。西桑名駅も車庫も備えた規模の大きいものだったが、駅前の再開発で車庫は移転。かわいい駅となった

かわいい駅だが、路線内で圧倒的1位の利用者数(2023年は3461人。2位は星川駅の1019人)だけあって有人駅。行先案内がパネル式になっているのが印象的。写真を撮った時間は、たまたま電車の到着直前だったが、この後に到着した電車からはさすがに朝の7時台とあって通勤通学客がドッと降りてきた

さて、ここまでの記事で「東口」「東側」という言葉を意図的に使用してきたが、初めて当駅を訪れて感じるであろうことは「近鉄、JRの東側にあるのに、なぜ西桑名なのか」という疑問

これは種明かしをすれば何でもない、ここが西桑名という地名だったからだ。1914年(大正3)の開業時の駅名は「大山田」だった。これは所在地が大山田村だったから。1929年(昭和3)に大山田村は西桑名町となる。間もなく駅名も西桑名に改められ、1937年に桑名市が発足した後も駅名は変更されないまま現在に至っている。北勢線が近鉄の駅となってからも変わらなかったが、桑名駅と同構内にないのでは桑名駅と名乗らせるわけにはいかなかったのだろう

国内に3社しかない特殊狭軌

乗車するのは、かわいい駅以上にかわいい小さな車両。北勢線は線路幅762センチしかない特殊狭軌。日本の列車は旧国鉄からの流れをくむ狭軌(1067ミリ)と、新幹線や一部の私鉄で見られる標準軌(1435ミリ)に大別されるが、ごくわずかの特殊狭軌も残されている。かつては全国の森林などで活躍した軽便鉄道でよく利用された。スペースをとらずに敷設できるのがストロングポイントだが、車両は小さくなってしまうので人間を大量に輸送するには向かない。都市部を走っていたものも改軌が進み、現在残っているのは、ここ北勢線と四日市あすなろう鉄道(三重県)、黒部峡谷鉄道(富山県)の3社4路線のみ(四日市あすなろう鉄道は2路線保持)となっている

線路の幅にちなんで「ナローゲージ」とも呼ばれる。三重県のそれも比較的近いところに2社があるのも貴重だが、線路幅が標準軌の半分ほどしかない車内はどんな感じなのか。ちょうど通学時間帯で高校生が多く乗車する時間帯なので分かりやすい

「ひざ付き合わす」とは、まさにこのこと。一応、車内にはつり革もあるが、体格の良い男子生徒が並ぶと立つスペースも厳しい。つり革を持って立っているのは、座っている生徒のいわゆる「ツレ」が中心

とにかく、このかわいい車両で出発である

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