※訪問は2025年7月11日

平賀駅から1駅の新駅

大きなビルの平賀駅から黒石行きに乗車して1駅目

柏農高校前で下車した。この部分の写真だけで想像ができるが、平賀駅とは大きく異なり、単式ホームのみで駅舎はなく、待合所があるだけの駅だが、そこに大きな特徴がある

スポンサーリンク

学校の移転により設置

柏農高校前駅は1980年(昭和55)の開業した弘南線の新駅。1950年の黒石までの全通以降、今日までに4駅が新たに開業しているが、そのうちのひとつ。駅名から分かるように県立柏木農業高校の最寄り駅

同校は平賀町(現平川市)の中心部にあったが、1980年6月に現在の位置に移転した。新駅はそれに伴うもので、開業が6月23日と、新駅らしくない日時となっているのは、そのため

田んぼの中にたたずむ駅となっているのも学校最寄りに後から設置したためだ。改札にあたる場所に駅員の詰所となっているようなきっぷ売り場があるが、現在は登下校時も稼働していないようで、いつまで使用されていたものかは分からなかった。ただし、このきっぷ売り場の塗装が当駅のセールスポイントである

目を引く赤い色

ホームにある待合所の前まで行くと思わず立ち止まってしまう

赤く塗られている。歳月とともにかなり色は落ちているが、赤く染められている。そしてそこに掲げられているのは

英語「LOUNGE」の文字。ラウンジというと、空港やホテルにある高級なものを想像しがちだが「待合室」「休憩室」の意味。だから全国の駅のホームにある待合所もラウンジなのだ。柏木農業高校の生徒さんや地元の方々によって塗装が施されたという

派手目な外観とは異なり、待合所に入ると落ち着いた緑色。天井には雲が描かれている。訪問日と同様の夏の空だ

さて駅の所在地は平川市荒田で、地図で分かるように、小さいながらも集落がある。当駅は地方私鉄の新駅の割には旧平賀町の中心部である平賀駅から線路で2キロもの距離がある。旧尾上町の中心部だった津軽尾上駅へも1・6キロ。つまり柏農高校前駅の開業までは駅間距離が3・6キロと、かなり離れていたのだが、実は現在の柏農高校前駅近くにも、かつて駅があった。地名通り「荒田駅」。弘南線は開業時は非電化路線で、戦後の全通時に電化された歴史は以前も記したが、開業後から蒸気機関車(SL)の台数や石炭不足の影響に悩まされ、ガソリンカーを導入することになった。簡易的な構造のガソリンカーは、どちらかというと現在、地方路線で走る単行気動車に近いものだが、当時はSLが主流。ガソリンカーのみが停車できる簡易構造の駅を3カ所に設けたが、そのひとつが荒田駅だった。ただ戦争に突入すると資源節約で、これらの駅は廃駅となってしまった

当時と同様の簡易構造である柏農高校前は約40年ぶりに荒田にできた駅となったが、1度廃駅となっているため、もちろん代替駅扱いはされていない。ホームに立つと、80年以上前の風景をついつい思い描いて空想の世界に入り込んでしまうのだ

にほんブログ村 鉄道ブログへ

にほんブログ村 鉄道ブログ 駅・駅舎へ

↑2つクリックしていただけると励みになります



      </section data-src=