※訪問は2025年5月28日
最初から決めておけば

大行司駅にあった東峰村の案内図。大行司駅近くに自治体としての機能が集まっていることがよく分かる。宝珠山炭鉱で栄えた東峰村(当時は宝珠山村)だが、石炭を運ぶことが目的で戦前から工事が始まった日田彦山線は戦争により工事が中断。戦後に再開されたが、難工事のため全通は1960年(昭和35)。すでにエネルギーの主役は石油に移行しつつあり、その3年後に閉山となってしまった
それでも地域にとっては重要な足だったことには間違いない。村内にあった駅は筑前岩屋、大行司そして宝珠山の3駅。その区間がまるまるBRTの専用軌道となっていることは、何度か記した通りだが、大行司~宝珠山は結構近い
徒歩30分。グーグル地図によると高低差26メートルの下り坂だそうなので、比較的楽な徒歩移動だ。最初から専用軌道区間の駅すべてを訪ねるつもりなら、徒歩訪問はまずこちらを軸に考えていただろう。最初に立てた計画が終わってから、あらためて計画を練ったので1時間近く歩くことになってしまったが、そのおかげで雄大なめがね橋も見られたし、地元の方といろいろお話もできたので結果的には良かった
1駅分の回収ならず
さて今回、2日にわたって日田彦山線BRT内にある旧鉄道駅を回ったのだが、実は1駅だけ行けなかった。豊前桝田駅だ。道の駅があった歓遊舎ひこさんと彦山の間にある駅でホームと待合所のみの駅だったという。BRTの停留所はかつての駅に近い県道上にあり、停留所の前を3回通り過ぎた車窓からホームは見えづらかった
実は訪問の道程だけは考えていて、筑前岩屋駅到着が10時39分なので、大行司まで1時間近く歩いても大行司発11時52分のBRTに乗車できる。その場合は12時21分に豊前桝田に到着。その場合は約40分の待機で13時1分の日田行きがやって来る-というもの
ただ地元の方といろいろお話したこともあって大行司到着は11時47分になっていた。出発まで5分もない。前回の記事でも記した通り、大行司の停留所は77段の階段を登った場所にあるので、写真だけ撮って急いで階段を登ればギリギリ間に合ったが、せっかく1時間近く歩いてたどり着けた駅である。新たに復元された駅の雰囲気も味わいたい
ということで12時8分の日田行きに乗ることにした。次の豊前桝田行きはちょっと待っていられない。今日は帰る日だし、博多からはすでに新幹線のきっぷを確保済み。乗り遅れた場合は乗車券部分も無効になるという3割引チケットなので絶対に乗り遅れるわけにはいかないので断念

そもそもてくてく歩いてお腹も減ったので、光岡駅近くのコンビニで買ったおにぎりをいただくことにした
旧鉄道駅にある工夫
今回日田彦山線BRTに乗車して気付いたことは「旧鉄道駅は特別待遇」ということだ。BRTはバスなので、乗降客のない停留所は通過する。それは当然のことだが、旧鉄道駅の停留所については必ず停車するのだ。豊前桝田や大鶴のような旧駅からやや離れた道路上にある停留所も同様だった
そして旧鉄道駅の停留所には必ず便利な電光ボードが設置されている

こちらは鉄道の駅ともなっている夜明駅のものだが。現在の運行状況を逐一知らせてくれるもの。バスなので多少の遅延はあるが、それも表示してくれるので利便性は高い

大鶴のような屋内ではない停留所にも設置されている
BRT化したことによって運行本数は増え、豪雨被害前よりも乗客も増えているという。定時運行や大量輸送という意味では鉄道に比べて劣るバスだが、細かく停留所を設けて病院や店舗、駅から離れた旧市街地に立ち寄ることも可能になったことは事実。何よりもJRの路線として運営、運行されている点が評価されるのではないだろうか
廃線が取り沙汰されたり、廃線が俎上に乗ったりしている路線は全国各地にあるが、過去に鉄道の廃線後に運行されるようになった代替バスの多くが結局廃線になっているケースは多い。新型のバスを投入した上でこれだけの設備が設けられているのなら、鉄路の廃線に寂しさは残るものの、地元の方々は安心だと思う。予定変更で細かく沿線を回れ良かったと思う2日間だった


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