※訪問は2023年12月14日
事実上最後の駅訪問
鵜原駅に到着。これが大網以南で最後の訪問となる。大網から千葉にかけては首都圏ダイヤのようなものなので、事実上2日間の旅はここで終わりである
1面2線の島式ホームにログハウス風の待合室がある
両隣の勝浦、上総興津は特急も停車する駅だが、当駅は普通のみの停車。周辺は森に囲まれたようになっていて一見すると、なぜここに駅が?となりそうだが、駅の開業は1927年(昭和2)。勝浦から上総興津まで延伸された際に同時設置となった。元々は鵜原村だったが、駅の開業時にはすでに興津町となっていた。いずれにせよ、最初から駅が設置される予定だった
多くの文化人に愛された理想郷
駅の設置理由は駅前の地図を見れば分かる。駅そのものは山中の谷間のような場所にあるが、駅の設置時にはすでに観光名所だった
中でも有名なのは鵜原理想郷で、入口までは徒歩10分ほどでたどり着ける。荒波に浸食されたリアス式海岸の美しさは多くの文化人を魅了し、理想の別荘地として開発する計画ができたことで理想郷の名前が付いたという。勝浦市のHPによると与謝野晶子は1936年の4~5月に当地に滞在して76もの歌を詠んだ
私と同じ電車で降りた5人組の外国人旅行者グループはスマホアプリ片手にスイスイと歩いていった。スペイン語のグループのようだったが、東京から1時間半以上もかかる普通のみしか停車しない駅からの観光地を外国の方が訪れる時代だということを実感する。どのように紹介され、どのようにオススメされているのだろう
無骨ながらも味わいのある駅舎は今のうち
駅舎は無骨なコンクリート製。昭和2年から、この姿ではないと思うが、いつから現在のものになったのかは分からなかった。形具合やさび具合から見ると国鉄時代にはすでに現駅舎となったと思われる
無人駅でICリーダーと乗車証明書発券機があるだけだが、窓口があった痕跡はある。証明書発券機が丁寧に格納された形になっているのはなかなか見かけない
こちらの看板は最近のものだと思われるが、こちらの車両とも房総半島では見られなくなる季節が迫っているのかもしれない
そんな味わいのある駅舎だが、間もなくお別れである
今年の2月に日本郵便とJR東日本が「鵜原駅で郵便局窓口業務と駅窓口業務の一体運営」を発表した。駅舎を郵便局として郵便局が駅の窓口業務も行うというもの
そこで思い浮かぶのはこちらである
ちょうど1年前に訪れた内房線の江見駅。この形式になるようだ
現在の駅り隣には元々郵便局があり
ローカル線駅の近所にある郵便局は、いつも撮るようにしているのだが、郵便局ごと駅舎内に引っ越しするのだろう。新駅舎は2025年夏と発表されている
「ようこそ」と「またのお越しをお待ちしています」の看板が残るのかどうかは分からないが、現在の駅舎を訪問するなら今のうちだということだけは間違いない
折り返しの列車を待っていると到着時とは別の外国人旅行者グループが駅にやってきた。こちらは英語である。訪日する方には有名スポットとなっているようだ。来年の夏に新駅舎が誕生すると皆さん、驚き、喜ばれるのだろうか
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