2022年12月7日15時

紀伊中ノ島から徒歩で旧和歌山駅へと向かう

前回記事の最後に紹介した紀伊中ノ島の駅前風景

一連の記事で「和歌山駅(現紀和駅)」と何度も書いています。「東和歌山駅の地位が上がって和歌山駅に昇格し、それまで和歌山の代表駅だった和歌山駅は紀和駅になった」と

しかし紀州藩で有名な和歌山という古くからの都市で代表駅の交代があるというのはあまり聞いたことがありません。これも何度か書いてきましたが、すでに町ができていると線路は街外れに敷くしかなく、大きな都市の代表駅が街の中心部から外れているのはよくあること。別にそのままでもいいのではないか、となりそうですが和歌山の場合は前回の紀伊中ノ島の項でも記した通り、大阪から真っ直ぐやって来た阪和電気鉄道が当時の和歌山駅への乗り入れを拒んだことで現在の形になりました

ただ、その和歌山駅はどうなっているのかを伝えないと、文字と地図だけでは何のことか分からない。ということで紀和駅は阪和線ではなく紀勢本線の駅ですが、リポートすることにします

先に書きますが、ここから紀和駅は実は近い

徒歩10分です。線路があるので携帯のアプリも必要ないでしょう

高架に沿って進む

最初の写真を左に折れるとすぐ紀勢本線の高架が見えてきます。左側にある建物がJRの社員寮で、紀伊中ノ島の旧和歌山線ホーム跡のあたり。その中を突っ切ると早いのですが一応、公道を進みました

後は高架に沿って進むだけです

結論から言うと途中で信号はひとつだけ。大きな通りを渡ります。新しいマンションや住宅街と古い建物が混在しています

時系列的には南方貨物線の探索から、それほど日は経っていなかったので高架ばかりを見ながら歩くと廃線か未成線かと錯覚してしまいますが、もちろん現役の紀勢本線です

すぐ高架下が遊歩道となり

左右が公園となって子供たちの歓声が。公園部分はかつての「和歌山駅」の敷地内だったのでしょう。かなり広い

子供の自転車にビュンビュン追い越される。奥に見える黒い部分が紀和駅です

ムダを省いた姿に

紀和駅に到着しました

15年前に高架化され、ホームへは階段またはエレベーターが向かいます

外から見るとこのような高架駅。かつての駅構内は一帯が公園化され、お手洗いもあります

まずはホームに行ってみましょう

「和歌山・和歌山市方面」と案内されています。駅には、そのどちらか行きしかやってきません

簡易型IC改札と券売機がたったひとつに、1面だけのホームは、もちろん無人駅。よく言えばスタイリッシュ、ムダなものはすっかり省かれていますが、ここが戦後20年経つまで和歌山駅だったとは誰も思わないでしょう

私は紀和駅になってからの地上駅時代に来たことがあります。駅舎はありましたがすでに往時の面影はありませんでした

南海と阪和電鉄の挟み打ちに

紀和駅の駅名標。こうして見ると両サイドが和歌山駅、和歌山市駅ってすごいですね

和歌山駅は1898年に現在の和歌山線の終着駅として誕生。歴史は古い。その当時、南海はまだ市内中心部まで入っておらず、文字通りの中心駅でした。なぜここに駅ができたかというと紀ノ川の存在です。当時の技術では、なかなか渡れなかった広大な河川。和歌山線は紀ノ川に沿って進んでいますし、将来の南方面への敷設も含め、旅客はもちろん、貨物の海運という意味でもここに駅を設置するあったのです

ただ数年後に南海が紀ノ川を越えて和歌山市駅を開設。大阪ともつながったことで優位性がなくなります。和歌山市駅との接続も考慮して当駅~和歌山市駅が開通。中間駅となってしまいます

その後は前記事の通りで阪和電鉄が東和歌山(現和歌山)での接続を選び、阪和線として国有化されると大阪~和歌山、さらには和歌山以南への列車は当駅を通らなくなり、やがては駅名変更。元々、街外れの駅だったので周囲のにぎわいも消えました

現在、周囲は新たな住宅地となっています

昼間は1時間に1本

時刻表を見ると朝夕の多客時間帯でも30分に1本、昼間は1時間に1本の運行しかありません。駅周辺から大阪方面へ向かう人は紀伊中ノ島まで歩いた方が便利なので、やむを得ないところ。紀伊中ノ島の利用者が一時よりは増えているのは、紀和駅周辺にできたマンションや住宅に住む人が利用するようになったからだと思われます

ターミナル駅の面影は

かつては急行「きのくに」という、南海の難波から出て和歌山市~和歌山を経て国鉄に乗り入れ、白浜・新宮に向かう、今では信じられない列車が運行されていましたが、国鉄末期に廃止され、その後は紀勢本線でありながら、当駅付近を通る優等列車はありません。和歌山市~和歌山は区間運転として独立した形になっている支線扱い

広大なターミナル駅だったことを思わせるものは何もありません。現役の駅なので解説文や碑を残すわけにもいかない。わずかに駅正面の通りにのみ面影が残ります

和歌山市行きがやってきました。私は和歌山へと向かうので折り返しを待つためホームにむ和歌山市行きがやってきました。私は和歌山へと向かうので折り返しを待つためホームに向かいます

2両編成のワンマン車がやってきました。実は今回利用しているICOCA定期券利用者の「どれだけ乗っても1000円」エリアには和歌山線も入っているのに当区間は外れていて「別路線」の感を強くさせます

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