※訪問は2022年10月8日
奈良井駅で火がつく
6月に木曽平沢から徒歩で奈良井に到達したときのこと。駅舎内で張り紙が目にとまった
塩尻市のコミュニティバスの時刻表。塩尻駅から奈良井駅までを結んでいるようだ。当然のように青空フリーパスで行けない洗馬、日出塩、贄川の3駅も含まれている。これは良い情報ではないか。と同時に「こうなったら、幹線上のローカル区間の全駅訪問をしよう」
急に気持ちに火がついた。結果的にこの日は列車の遅延で、もともと予定していた駅訪問がいくつか行けなくなった。その分、倉本駅のような出会いもあって満足はしたが、ならば行けなかった駅はもちろん、すべての駅を訪ねたい。幸いにも9月に長野県に行く用事がある。この時に頑張って回ってみようということになった。この区間は中山道の旧宿場町も多く、古い駅舎がかなり残るのは、これまで紹介してきた通り。もっとも2年前までに名古屋から南木曽の手前まで中央西線の駅はすでに訪問済み。まずは、その中での中津川以北の3駅の紹介から始めよう
目の前は川だけ
ちょうど2年前の今ごろとなる10月8日、私は中津川駅にいた。名古屋から徐々に北上。手にはもちろん青空フリーパス。普通だと当駅で強制乗り換えとなる。さらに時間の許す限り駅訪問を行おう
やって来たのは
中津川のお隣の落合川駅。ご覧の通り駅舎はなく、待合所があるだけ
ホームに降り立つと
目の前は木曽川で民家は川の向こうに並んでいる。駅前が大きな町だった中津川から、わずか1駅で景色は一変した
目の前の川は落合ダム。木曽川に設けられた発電用のダムで1926年(大正15)竣工と歴史は古い。落合川駅は、それより少し先の1913年に信号場として設置された。ホームからの景色だけだと、まさに信号場だが、本来は中山道の落合宿に基づく。旧落合宿を中心にした落合村が1956年(昭和31)まで存在したが(現在は中津川市)、線路が木曽川沿いに敷かれたため、駅は村の中心部から、かなり離れたところとなった
明治生まれの駅が多い中央西線で、設置が遅れたのは、このような事情もあったとみられる
「駅前」はない
写真には工事中となっている箇所が多く写っているが、これは直前にあった豪雨で斜面の崩落があったため
駅を出ると人が1人通れるスペースしかなく
コミュニティバスもやって来ない時期となっていた。もちろん現在は復旧しているが
逆側の道路を見ても大変狭い。いわゆる「駅前」や「ロータリー」とは無縁の駅である
それでも以前はこの場所に木造駅舎が建っていたという。JR移管よりかなり前に現在の姿となっている。その分、駅名板の字体はかなりクラシックで、味わいはある。ダムをぼんやり眺めるのもいい時間だった。全国に多々ある「落合駅」は、どこの駅も特徴と歴史があって興味深い
ただ、こんな場所にあるのでは利用者もほとんどいないと思われるかもしれないが、2022年度の1日あたりの乗降客数は45人で、先に紹介した倉本駅の28人よりも多い。中央西線37駅(金山と塩尻をのぞく)中33位である
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