乗継割引

今こそ違った乗継割引の使い方をしよう

大阪~金沢間で運行されているサンダーバード

来春で廃止

JR各社は先日、来春での乗継割引の廃止を発表しました。新幹線から在来線特急へ乗り継ぐと在来線の特急料金が半額になるというこの制度。ちょうど1年前に岡山駅の乗継割引が発表された時にも記事を書いています

まさか1年後に乗継割引の記事を書くことになるとは思ってもいませんでした

システムの詳細については、この時にも記しているので参照していただきたいのですが、なぜなくなるのか、どのぐらいの影響が出るのかを分かりやすい例で示してみましょう

駅弁1個分の料金

9月に長野県に行ってきました

新幹線で名古屋まで行き、特急「しなの」に乗り換えます

こちらが往路のきっぷ

そしてこちらは帰路のもの。乗車駅は異なりますが、チケットには「乗継」と印字されています

往路では名古屋駅で

駅弁を購入しましたが、乗継割引の特急料金を見ると名古屋~篠ノ井の正規料金は、この倍になるわけですから、駅弁に加えビールを買っても、まだおつりが来ます。単純に駅弁だけ買うなら1500円と、かなり高級なものが買えます

JR各社は「チケットレスの増加によって需要が減った」を理由に挙げていますが、少なくとも関西や東海地区の新幹線沿線から長野県に行く手段は「新幹線+特急しなの」の一択ですから、この区間の需要が減るはずがない。というか窓口や自動券売機できっぷを購入すると自動的に半額割引が適用されます。私的にはきっぷに全く興味がない、言い値で支払うという方にも、私のような「1円でも安く乗車してやろう」と考える鉄オタにも公平な制度だと評価しています。鉄道料金は元々、こうでした

今回の決定は体のいい値上げであると同時に、鉄道会社にとっては紙のきっぷを減らして経費削減を図る良い機会となっています

新幹線の1区間料金に注目

10月にはサンダーバードと北陸新幹線で新高岡まで行き、氷見線と城端線の全駅訪問を完成させてきました

これがその時のきっぷです。もちろん乗継割引が適用されていますが、ここで注目してほしいのは金沢~新高岡の特急料金。サンダーバードは指定席ですが、新幹線は自由席としました。なぜかというと、この区間は自由席と指定席で大きく料金が異なるからです

特急料金は季節や利用日によって変動しますが、この記事を書いている本日(2023年11月6日)の料金だと金沢~新高岡の指定席料金は2200円なのに対し自由席は880円と大きく差があります。原則的に両者の金額の差は指定席料金の530円ということになっていますが、新幹線の1区間については「特定特急券」という自由席利用に限り適用される料金があり、その料金は約900~1000円ほど。この制度は後から新幹線駅が誕生した場合でも元々の区間に適用され、例えば東京~新横浜(品川駅ができた)、名古屋~豊橋(三河安城ができた)などがこれにあたります

新幹線の1区間なんで仮に自由席が満席でも気にすることはありません。1区間の新幹線利用も在来線利用と所要時間に大きな差がある場合は結構な人気で、私の知るところでは東京~新横浜や博多~小倉は利用者が多い

在来線特急だけ利用する

さて、ここから本題となります。おそらく分かっている人は分かっていて既に利用されている方法かもしれません。道義的な部分もあるので文字にするのは私も控えてきましたが、乗継割引制度は、あと半年もないので書いてしまいます

大阪~金沢の在来線特急料金に注目してください。写真のきっぷはe5489で購入したもので、やや正規料金とは異なりますが、大阪から金沢まで行こうとしてサンダーバードに乗り込むと(2023年11月6日の料金)、指定席特急券が2950円、自由席特急券が2420円となります

一方、新高岡までは乗継割引と特定特急券が二重に適用されるので金沢まで指定席利用なら2350円、自由席利用なら2090円

なんと新幹線まで利用して遠くに行く方が特急券は安くなってしまいました。両方の制度を組み合わせた結果、こんなことが起きるのです

つまり最終目的地が金沢であっても特急券を新高岡まで買い、乗車券は金沢まで買えば数百円お安く旅ができるということ。新幹線のきっぷは放棄となってしまいますが、指定席なら乗りたい人に迷惑をかける可能性があるのでおすすめできませんが、必然的に自由席となるので迷惑はかからない

この利用法は乗継割引が適用される駅へ在来線特急を長時間乗車する際、有効になります。乗継割引が適用される駅や特急にも制限がありますが、今は簡単に特急料金が検索できる時代。ぜひ、これからの数ヶ月で利用する機会があれば試してほしいところです

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乗継割引、今のうちに有効に利用を

影響大の岡山乗り換え

来年3月いっぱいで新幹線+在来線特急の乗継割引の一部が一部の駅でなくなることが発表されました

乗継割引とは新幹線と在来線特急を乗り継いだ際に特急料金が半額になるという制度

 

元々は東海道新幹線が開業した際、これまで通し料金で利用できていた特急・急行料金を新幹線と別々に徴収する(特急はひとつの列車について1料金が原則です)のは実質的な値上げになる、とのことで開始されました。元々、東京駅をまたいで運行されていた列車はなかったわけですから、東京駅での乗り換えには適応されませんでしたが、西側は大阪をまたいでさらに西へ向かう優等列車が数多く運行されていたので影響は大きく、この制度は東北新幹線など全国に広がりました

発表によると全廃ではなく、下関~岡山間の適用がなくなるとのこと。九州の小倉、博多については九州新幹線が一部開業した際にこの制度はなくなっています(JR九州は博多~新八代の在来線特急と新八代~鹿児島中央の新幹線を一本の料金にしたため矛盾が生じるとの理由。別の角度から見るとJR九州に入るはずの特急収入が大幅に減るからとも言われる)。それが岡山まで延長されたということ。定期運行の列車では新山口からの「スーパーおき」そして岡山からの伯備線「やくも」と瀬戸大橋を渡っての四国各方面への特急が対象となるため、乗り換えの多さから見ると岡山乗り換えは影響がかなり大きい

私もかなりお世話になっています

こちらは今春、岡山乗り換えで伯備線でやくもに乗車した時のもの。乗継割引を使用するときっぷにその旨が明示されます。本来2000円近くするものが930円。破壊力抜群なのは新幹線の乗車が短い場合で

新幹線はおなじみの1区間自由席料金ながら大阪~金沢で2時間半以上も乗車するサンダーバードが当然半額です。ただし乗継割引にはルがあって、きっぷを買う時に必ずセットで求めなければなりません

そしてこの制度、意外と知られていないのは新幹線に先に乗る時は当日中の乗り換えが必要だが在来線特急に先に乗る時は新幹線乗車は翌日でもOKというルール

これは東海道新幹線から九州方面へと向かう際に新大阪で寝台列車に乗り換えることを想定したもので、寝台列車に乗るのはもちろん新幹線乗車日ですが、九州から寝台列車に乗り新大阪で新幹線に乗り換える場合は必然的に前日の出発になるために設けられたルールです

今は定期寝台列車はサンライズしかありませんが(鉄道ファンにはおなじみのサンライズと新幹線の組み合わせによる乗継割引も岡山や坂出、高松では使えなくなります)、半世紀以上も前のルールが実態と乖離した今も生きています

この制度を利用すれば旅の幅がグッと広がりますよ。乗り換え駅で宿泊する旅行が可能になります

考えてみれば東京をまたぐ優等列車がなかったため制度が対象外となったと記しましたが、静岡から名古屋経由で長野に向かう列車があったのかと言われれば疑問(名古屋駅の乗継割引は継続します)だし、四国方面への特急も宇野~高松のフェリーが廃止されたための代替という位置づけでしたが、現行制度では岡山から快速で1時間もかかる高松での乗り換えにも適用されるという奇妙な形になっています(これは高松~徳島間の「うずしお」が今も1日1本、岡山まで乗り入れているからだと思われます)

とにかく四国方面、岡山を経由しての山陰本線へのお出かけを考えていらっしゃる方は、今のうちに是非利用してほしい制度です

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