
※訪問は2025年8月26日
30年来のあこがれの人に出会う心境

結果的にすべての駅を訪問できたが、不測のハプニングに見舞われた場合も絶対に降り立たなければならないと思っていたのが、こちら「南阿蘇水の生まれる里白水高原」駅
この記事を読んでくださっている方なら、お分かりだろう。日本一長い駅名として長らく高い知名度を誇っていた駅だ。鉄道も含めた雑学クイズでの出題率も高かった。もちろん私もその存在はずっと知っていたが、なかなか来る機会な恵まれず、こうしてようやく初訪問できた次第。開業が1992年(平成4)なので30年来のあこがれの人に会う気持ちだ。もちろん気分は高まる
とにかく巨大な駅名標
ホームに降り立つ

率直な感想は「駅名標デカッ」だった。ここまでの2枚の写真ではうまく伝わらないかもしれないが既出の他駅と比べると違いが分かるのではないか

こちらは阿蘇白川駅のもの。たまたま同じ車両だったので、車体と比較していただきたい
1992年、日本一長い駅名の駅としてさっそうとデビューした
駅前の周辺案内図で足が止まった

水源などを示した案内図だが、否が応でも右下に目が行く

長い駅名についての解説がある
日本一合戦の先鞭をつける
当駅は読みで22文字、文字表記で14文字。それまでの首位だった鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」駅は読みで22文字、文字表記が13文字だったので、読みで首位タイ、表記で首位となった
以下の経緯はこの説明文にある通りで、2001年に読みが24文字、文字表記18文字の一畑電気鉄道の「ルイス・C.ティファニー庭園美術館前」に首位を奪還されたが、美術館の閉館によって6年後に駅名変更となったため、再び首位の座に返り咲いた。当時「・」は文字数に数えるのか、という論議があったことが懐かしい。そもそも車内アナウンスができない上、きっぷの券面に余分な文字が入って面倒だということで駅名に「・」が入ること自体が珍しい時代だった(JRの鉄道駅で正式名称となっているのは群馬県の万座・鹿沢口の1駅しかない)
つまり1992年から約20年間首位で、一時陥落したものの6年後に再び返り咲いたことになるが、今度は2015年に富山地鉄の富山軌道線に「富山トヨペット本社前(五福末広町)」停留場が登場。こちらは読み24文字、表記17文字で全国首位となった
その後については京福電鉄の「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前」(京都市)が首位の座を奪い、さらには「富山トヨペット-」が再び改名
2021年に「トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前(五福末広町)」停留場という読み32文字、表記25文字という最長不倒距離ともいえる駅名となった…と思いきや2023年に岡山電気軌道で「西大寺町・岡山芸術創造劇場ハレノワ前」停留場が誕生。こちらの読みは32文字で「読み部門」については首位タイとなった
そもそも岡山の駅については明治期の開業以来、ずっと「西大寺町」だった駅名が100年以上の時を経て改名されたももので、わざわざ「日本一合戦」に参加した感がある
JRや大手私鉄では、まず不可能な「長い駅名合戦」。鹿島臨海鉄道の「長者ヶ浜-」の開業が1990年。その2年後に誕生した南阿蘇水の生まれる里白水高原駅は「長い駅名合戦」の先鞭をつけた駅であることは間違いない。写真で分かる通り、案内図の解説文は日本一の座から降りたことで1度は紙かテープで塞がれ、歳月とともに風雨や雪によりはがれてしまったようだが、そこにまた歴史を感じるのである。ぜひ、このままの姿でいてほしい


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