※訪問は2024年12月10日

簡易駅舎というより公園

比延駅到着は8時すぎ

簡易駅舎のさらに上を行く超簡易駅舎。背景にホームが見えなければ完全にバス停。ホームにはベンチはないので、座席定員は「3」ぐらいか

ここには立派な屋根を持つ駅舎があったが、約5年前に解体された。元の敷地が大きかっただけに遠目で見ると駅というより公園である

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大都市近郊区間の路線

私以外にもう一人の方が下車した。地元の方らしく、どんどん歩いていく

周辺は深い霧に覆われていて、あっという間に霧の中に姿を消していった。ご覧のように周辺は住宅街だが、2023年の当駅の1日の利用者は16人である

こちらは運賃表。大阪や神戸の中心部までも100キロ圏内に入っていて、駅の利用者数からのイメージとは違い意外と近い。大阪へ行くには谷川経由、加古川経由と2つの行き方があるが、そこは触れられていない。というのは、加古川線は大都市近郊区間の路線で大阪近郊区間に含まれているからだ。つまりどちら側から乗っても同じ料金となるわけだが、大阪近郊区間に含まれる100キロを超える駅から乗車しても、そのきっぷでは途中下車ができない

閑散区間の駅が大都市近郊区間となるのは東京の近郊区間でよくクローズアップされるが、加古川線の駅も同じ。現在、JR西日本では大阪近郊区間において常態のフリーきっぷを出していないので、加古川線で駅巡りをしようとすると青春18きっぷの季節に行うしか手段がない。ただその一方、大阪近郊区間における「大回り乗車」では、もちろん有資格者である。降り鉄である私には専門外のことだが、1日8・5往復(週末は8往復)の西脇市~谷川をどう乗りこなすかが、カギを握るようだ

JR西日本の発表資料

JR西日本は2023年12月に加古川線の利用状況を発表した。それによるとコロナ禍で利用者数が大きく減る中、西脇市~谷川の区間はそれほど影響を受けなかった。と書くと実に立派な数字のように思えてしまうが、実体は違って元々の数が少なすぎるので、影響が少なかった

同じ加古川線内でも西脇市~加古川は、コロナ前に6000人の乗車人員があったものが5000人になっているのに対し、西脇市~谷川はコロナ前の時点で100人ちょっとしかなく、コロナ禍で100人をやや割り込んだ。2022年の1日の輸送密度は21%で、運んだ人員は237人しかいない。JR西日本の電化区間ではワースト1位だという

別の資料では2022年の各駅の利用者数は西脇市~加古川では、いずれも3ケタを超えていて4ケタ利用の駅が5つもある(加古川駅のぞく)のに対し、西脇市~谷川では3ケタの駅はひとつもなく、20人に満たない駅が7駅中5つもある(谷川駅のぞく)

こちらの記事で私が見た乗車人員を掲載したが、朝の電車でさえ、高校生がいなければ利用者は限りなく1ケタになっていた

閑散区間におけるJRの資料は時として少なさを強調したがるものになりがちで、まるまる鵜呑みにするわけにはいかないものもあるが、わずか7駅のことで、自身も体感したものだけに信頼性は高い。そしてわざわざこのような資料を出すからには、狙いとしては「やめたい」ということなのだろう。もしそうなれば電化から20年で廃線という異例の結末となる

ただこの区間を廃線にするというのは、つまり30年前と同規模の自然災害は二度と起きない、という前提に立つものとなる。そのような前提は誰も断言はできないだろうが、未曾有の大震災から30年が経ち、いろいろなものが風化しつつあるんだな、と思ってしまう。福知山線の大阪近郊区間は谷川までで、30年前に山陽本線、東海道本線のバイパスを果たした時の路線をたどっている。私は大阪近郊区間の路線図を見るたびにあの時のことを思い出す

もっとも閑散すぎる路線の放置は、さすがに問題だろう。おそらく上下分離的な議論になる。しかし沿線の自治体に、それを支えろというのは、とても無理な話で、自然災害への対策というのなら、もっと大きな公費で支えるべき、というのが私の意見

明日17日、あれから30年の日がやってきます

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