穂高駅

成り行きで大糸線の全駅訪問になってしまった話~安曇野観光の拠点を譲った駅

有明駅の駅名標

※訪問は2024年3月7日

全ドア開閉は当駅まで

有明駅に到着。当駅も大糸線の中で知名度の高い駅である。松本から当駅までの列車は車掌乗務の有無にかかわらず、すべてのドアが開く。当駅を過ぎるとワンマン運転の列車は1両目の後部ドアから乗車、降車時は運転士のいる先頭ドアのみとなり、きっぷの回収と運賃支払いが行われる。列車によっては当駅まで車掌が乗車し、以北はワンマン運転となる場合もある。大糸線の列車は原則2両編成(JR東日本の電車に単行運転はない)。つまり松本~有明でドアをひとつにすると旅客が多く時間がかかりすぎると判断されていることになる。有明折り返しの列車の設定もある

有明駅は島式の1面2線。構内踏切で跨線橋はない。開業は1915年(大正4)。信濃鉄道が穂高から1区間延伸させて暫定的な終着駅とした柏矢町、穂高それぞれの項で説明したが、この年の1月に松本市(現北松本)~豊科が開業すると、6月に柏矢町、7月に穂高と1カ月に1区間のペースで延伸が行われ、有明への到達は8月。現在の信濃松川駅(当時は池田松川)まで延伸されたのは9月のことなので、終着駅としての働きは2カ月未満である

観光拠点としての役割

有明駅に与えられた役割は安曇野観光そして登山の拠点だった。開業当時、有明村があったが、駅の所在地は北穂高村。有明村とは、やや離れていた。戦後に両村は穂高町などと合併して新たな穂高町となり、同じ自治体となっているが(現在は安曇野市)、今も駅の住所は安曇野市穂高北穂高である。このような事情がありながらも有明駅となったのには、穂高の次の駅を北穂高とするよりも、著名な有明山にちなんだ駅名とした方が分かりやすいとの判断だろう

駅舎は木造で戦前からのもの。リニューアルはされているが、山小屋風の駅舎は変わらない。登山の拠点駅を意識したものだろう。駅舎の柱を支える石は重厚である

現在、定期的に大糸線に入る優等列車は1日1往復の「あずさ」だが、以前は多くの優等列車が東京からの直通列車として入っていた。さかのぼり始めるとキリがないが、最も著名なものは急行「アルプス」だろう。こちらはJR移管後も夜行便として残っていたが、新宿方面から中央本線をやってきて一部は松本止まり、一部は大糸線に乗り入れていたが、70年代初期までは穂高に停車する優等列車はなく有明停車だった。それが国鉄末期の80年代に入ると穂高への停車が始まり特急も停車するようになった。一方で有明に停車する急行はどんどん減っていった。バスも含めた観光拠点は穂高となり、大糸線の定期優等列車が1日1往復の特急となった現在、有明に停車する優等列車はなくなった

現在の有明駅は簡易委託駅。1日の利用者は有明駅が約400人、穂高駅が約2000人と大きく差がついている

それでも立派な駅名板が掲げられているのは、重責を担った当駅への敬意だろう

駅舎内にはリニューアル前の駅名板が残る

もう一度ホームへ。優等列車が数多く停車していた時代からの留置線が、かつての名残だが架線は残され、まだ現役。緊急時用に備えられているという

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成り行きで大糸線の全駅訪問になってしまった話~有名駅まで東京近郊区間延長か?

穂高駅の駅名標

※訪問は2024年3月6日

知名度「高」の観光駅

穂高駅に到着。大糸線には松本を中心とする通勤通学のほか観光路線としての役割も持つ。知名度の高い駅も多いが、当駅はそのうちのひとつ

島式ホーム構造で1日約2000人の利用がある。平日の昼過ぎながら、多くの人が電車を待っている。奥に見えるのが構内踏切。跨線橋はない

訪問日は曇り空でこのような美しい景色には出会えなかったが、晴天のホームからの眺めはこのようになるらしい。もし見られたら、これだけでも来た甲斐がありそうだ

当駅は安曇野観光の拠点となる。徒歩圏はもちろん、駅前からは各方面へのバスも出ているほか、東京や大阪からの長距離バスもある。大糸線沿線への長距離バスは安曇野と白馬がセットとなっている運行も多く、鉄道のライバルでもある

目を引く駅舎

駅舎は社殿をあしらったもの。地名の由来ともなった穂高神社を模したもので、駅から至近というか、ほぼ駅前である

駅の開業は1915年(大正4)。大糸線の前身ともなる信濃鉄道は同年1月に松本市(現北松本)~豊科を開通させた後、急ピッチで延伸。同年7月には穂高までを開業させた。現在の駅舎は1940年(昭和15)に改築されたもの。その後、化粧直しは施されているが、原型は変わらない。1940年といえば、すっかり戦時体制のころで、当時の観光や神社参拝がどのようなものだったかは分からないが、時代背景を考えると大きな工事である

みどりの窓口は営業を終えたが、指定席券売機が設置。もちろん1日1往復の特急「あずさ」も停車する

来年春からSuica利用可能に

訪問時は出ていなかった話だが、今年6月に「長野県におけるSuicaエリア拡大」の発表を行った

それによると2025年春以降に篠ノ井線の松本~長野、大糸線の松本~穂高がSuica利用可能エリアになるという。現在、都内から長野県に向けては、中央本線の松本までである。高崎からの信越本線については在来線がある横川まで。これまでの例だと、IC乗車可能ということは東京近郊の大都市近郊区間に含まれることとなる。現在、この区間の「北限」は常磐線の浪江駅

浪江から松本までの乗車券を購入した場合、途中下車ができないばかりか、きっぷの有効期限は1日のみとなる。現実的にこの区間の乗車券を買う人は「試してみよう」の同業者(鉄道ファン)意外は、ほぼ皆無とみられるが、新宿から中央本線に乗車して松本までのきっぷを買った場合、もちろん100キロは超えているが、甲府での途中下車は不可能となっている。そのため、当ブログの過去記事でも塩尻駅や松本駅までのきっぷを買う際には洗馬駅や北松本駅駅までの乗車券を購入すれば、途中下車も可能だということを当該駅の記事で紹介してきたが、松本駅とした場合の事情が大きく変わってくる。篠ノ井線については、東京から長野に行く際、わざわざ松本経由で行く人はあまりいないはずなので、それほど大きく事情が変わることはないだろう(長野経由で松本に行くと必然的に北陸新幹線に乗車するので東京近郊区間のルールからは外れる)。問題は東京方面から松本をゴールとして中央本線の各駅で途中下車したい人だ

松本~穂高間は約16キロもある。Suicaエリアではないお隣の有明までは約2キロ。松本~北松本は800メートルしかないので運賃に大した差は出ないが、18キロ分も余分に乗車券を買わなければならないので、最初に買う駅によっては負担が大きくなる

6月の発表時は「サービス開始は2025年春以降」となっているだけで、まだ正式な日時や内容は発表されていないが、気になる点だ

ちなみに「ほだか」と読む人が多いが、正しくは「ほたか」である

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